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最終話

アレックス、いやギルモア伯爵。今日呼ばれた理由、わかっているかい?」


「ユリウス殿下、陞爵の件ではないのですか?」


「ユリウス、普通はアレックスの答えだと思うぞ」


ユリウス殿下の投げかけにレイフォード様がツッコミを入れている。



私は今日ユリウス殿下に呼ばれて王城にきていたが、レイフォード様もいて驚いている。


レイフォード様がいるということは、フェリシアがらみの話かもと思ったが、無難な答えにしたのだ。



私は今回の陞爵でテラード家から独立し、新たにギルモア家を興した。


前々から陞爵の話はあったけれど、伯爵とは本当に驚いている。


おそらくロックフェルトを支援したことも理由のひとつではないかと思っている。



おおやけになっていないが、王家がロックフェルトは破産寸前までさせてしまった失態がある。


ユリウス殿下から、ジャクリーンとビジネスパートナーになって、ロックフェルトの立て直しを援助すれば、フェリシアと上手くいく近道だと提案された時は、私もロックフェルトと一緒に潰す気かと疑ったが、王家の失態の話を打ち明けられた。


王家側も色々な方面から調べていたらしいが、いろいろと細工をされて見誤ったのは仕方ない部分もある。


だからユリウス殿下としては失態の挽回をしたかったのだろうと思っていた。



「はっきり言うぞ。フェリシア嬢とは結婚の話まですすんだのか?」


「ユリウス殿下にロックフェルトの支援を提案され、陰で助けていただきましたがビジネス以外では、何もおっしゃらなかったのに急にどうされたのです」


「それはだな、陞爵もある、貴族たちに邪魔される前に決めたほうがいいからだ」



私が疑っているのを気づいたレイフォード様が、ジャクリーン嬢が心配していることを教えてくれたあと、ユリウス殿下を意味ありげに見ていた。


そして我々はもしかしたら義兄弟になるかもしれないから、心配しているのだと爆弾発言をする。


ユリウス殿下はバツが悪そうな顔をした。



驚いた、つまりユリウス殿下は噂のあるマサーヤ王女との婚約せずに、ジャクリーンとの結婚を考えているということか。


だからロックフェルトの立て直しに熱心だったのか?


しかしジャクリーンは、ユリウス殿下が好きな素振りはまったくなかったように思う。



いや、私は恋愛面では鈍いから気づかなかっただけか?


正直フェリシアとのことは八方ふさがりで、自分ではどうしたらいいかわからなかった。


この際2人に相談するのはいいのかもしれない。



だから私はプロポーズをしようとする素振りを見せると、いつもかわされて言えなかったこと。


でもパーティーのエスコートは今まで通りでフェリシアの気持ちがわからなくなっていたこと、相談する人もいなくてどうしたらいいか悩んでいたことを正直に話した。



「こうなったらフェリシア嬢に直接聞こう。陰で動くとあとで話がこじれそうだ」


レイフォード様が私たち夫婦も同席するから、本音で話し合おうと提案してきた。


伯爵としてのお披露目のパーティーを開催しないといけない、できれば婚約者としてフェリシアに采配してほしいから、私は頷いた。





「お前たち、結婚するのか、それとも別れるのか?」


「シャルロッテ、その言い方はよくないよ」


ロックフェルト侯爵が私とフェリシアを前にさっさと結論を出せとはっきり言うのを、レイフォード様が止めている。


今、ロックフェルトの屋敷で4人で集まった早々の侯爵の発言だ。



「レイ、この2人は誰も言わなければ、ずっとこの状態のままだ」


ロックフェルト侯爵は最近私への当たりがきついように思う。


煮え切らない私たちを心配してくれているのだろうが・・・。



「お姉様、アレックスは最近あちらこちらから縁談話を取り寄せているそうですから、わたくしとは結婚する気がないのでしょう」


フェリシアはそれだけ言って、お茶を飲んでいる。


「なんだと、アレックス、本当か!!」


ロックフェルト侯爵はフェリシアの言葉で、私に掴みかかってきそうになったところを、レイフォード様が侯爵の腕を引っ張り落ち着かせている。


私も初耳な話で呆然としてしまった。



「アレックス」


レイフォード様の声掛けで、正気に戻った私は、フェリシアに縁談話を取り寄せなどはしていないと、そのうわさ話はどこからなのかと問う。


「アレックスのご両親、お兄様夫婦が派手に動かれていますわよ」


フェリシアは顔を少し傾けて冷めた目で私を見る。



「誤解だ!私は本当に知らない。私がプロポーズを君にしようとしたら、言わさないようにしていたのは君の方ではないか!」


「まだ伯爵になることが決まる前から、ご家族が動いていましたのよ!」


私が声を荒げるとフェリシアもイライラした口調で言い返してきた。



「フェリシアは知っていたのか・・・・」


レイフォード様がため息をついた。


そうか、ユリウス殿下とレイフォード様は、私の家族がしていることに気づいて、私に急ぐように忠告してくれていたのに、私は吞気に構えていたのか。



「フェリシア、私の家族がすまなかった。家族を説得するよ」


「正直、わたくしがここまで嫌われる理由はわかりませんが、説得してもわだかまりが残るのでは?」


これではフェリシアの行動を責めることはできない。


「いや、私が家族の行動に気づかなかったのがいけない。きちんと片をつけてくる」




1週間後、フェリシアを私の屋敷に誘う。


私の屋敷に入ったフェリシアは興味深そうに周囲を見渡している。


エスコートして庭の眺めがいいテラスへ案内をした。侍女たちがお茶を出し終わり下がらせる。


「フェリシア、私の家族がすまなかった。すべて片付いた」



レイフォード様が調べ上げた証拠をもって、家族の元へ行った。


本当にレイフォード様の情報網はすごいとしか言いようがないし、これからも私は頭が上がらないだろう。


私の父親は投資に失敗して負債をかかえていた。


家族には内緒にしていたらしく、私の縁談は負債の穴埋めに使いたかったみたいだ。


母には王家に睨まれているロックフェルトと縁を結ぶのはよくないと吹き込み、縁談話を集めていたようだった。


母はオーレリアン侯爵夫人と仲が良かったから、その話を信じ、兄夫婦は両親に逆らえなかったようだ。



兄に当主の座を譲ることを条件に、負債は私が肩代わりして精算したことフェリシアは話す。


「兄夫婦はフェリシアに思うところはない」


実際、シャルロッテ様がレイフォード様がと結婚したことで、マッケンジー公爵家と親戚関係になった。


つぶされるかもしれないところと婚姻関係を結ばないだろうと内心は思っていたらしいと伝える。



「そう」


フェリシアは一言だけでそれ以上は何も言わなかった。


「フェリシア、私の両親の行いは気分がいいものではない。しかも私が治める新領地は君の元婚約者の治めていたところだ。それでも私は君を諦められない」


「・・・・」


「両親とは結婚式では会うことになるが、あとは引退して領地にいるから、会うこともないだろう。だからはいと頷いてくれ」


「はい、よろしくお願いします」


やっとフェリシアを捕まえられた。



今日は王家主催のパーティーだ、フェリシアと正式に婚約して出る最初のパーティーだ。


フェリシアの薬指には婚約指輪が輝いている。


この秋の社交界はロックフェルト姉妹の話題で独占だった。


シャルロッテ様の結婚、フェリシアと私の婚約、そして今日発表されたユリウス殿下とジャクリーンの婚約発表だ


ユリウス殿下がウィンストン公爵家を継ぐことも驚いたが、婚約発表もこの短期間でよくできたなと正直に思った。


フェリシアもだが、ロックフェルト3姉妹は手強いのに、ユリウス殿下もレイフォード様もジャクリーンやシャルロッテ様をどうやって短期間で説得したのか知りたいが、今はフェリシアがそばで笑ってくれているのが一番だ。



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