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第29話

「ジャクリーン様、ご挨拶が遅くなり申し訳ありません」


船のデッキにいたわたくしに声を掛けてきたのは、シャルお姉様の副官だったロバート・カールトンだ。


「カールトン大将、ユリウス殿下たちがいるのだから、優先は殿下たちよ」


「お気遣いありがとうございます。マサーヤ王国には明日の朝到着予定ですので、ご気分が悪くなるようなら近くにいる者にすぐお声を掛けてください」


「ありがとう」



カールトン大将は、マポラの件で逮捕者が多くいた我が家の海軍立て直しのため、シャルお姉様の副官から大将へ昇格になった人だ。


今回、ユリウス殿下が我が家の船を利用してマサーヤ王国を訪問するため、貴族である彼が選ばれたのだろう。


挨拶が終わるとカールトン大将は船内に戻っていった。




我が家の海軍の船はマサーヤ王国の港町、ウィスローに停泊する予定になっている。


ユリウス王子一行とわたくしはウィスローから馬車でマサーヤ王国の王都まで行くが、宿泊先は王城だ。


数日間とはいえ正直気が重い。


ウィスローに着くとマサーヤ王国の騎士団とウィスロー伯爵が待っていた。



「私はマクラン・ウィスローです。この街の領主でございます。慣れない船旅でマサーヤまでお越しいただき、そしてお会いできて光栄でございます」


「私はクレイグ・サリバンです。マサーヤ騎士団第3部隊を率いています。今回マサーヤの王城までの護衛をさせていただきます」


「出迎えありがとう。道中よろしく頼むよ」


「はっ」



「今日はこの街にお泊りいただきたかったのですが、急がれるということで残念でございます。お時間があればぜひ帰りはお泊りいただければと思います」


「ウィスロー伯爵、ロックフェルトの船はこのままここで停泊させて貰う。しばらく迷惑をかけるがよろしく頼むよ」


「とんでもございません。ロックフェルト女侯爵様及び海軍の皆様が、海賊の取り締まりを強化してくださっているため、私の領も恩恵を受けております」


わはははーと笑いながら冗談とも本音ともとれる言い方でさらに話は続く。



「本来は私も海賊討伐をせねばならない立場ですが、ロックフェルトほど貿易で稼いでいるわけではありませんから海軍などとても・・・」


「ウィスロー伯爵、私の後ろにいる女性はロックフェルト侯爵の妹君だ」


「なんですと。・・・・失言をいたしました。申し訳ありません」


わたくしはユリウス殿下余計なこと言わなくていいのにと内心思ったけれど、ウィスロー伯爵に声をかける。



「今回、マサーヤ語が話せるためユリウス殿下に同行しております、ジャクリーン・ロックフェルトです。我が家は貿易に力を入れておりますからお気になさらずに」


「申し訳ない。我が領を利用する船は、ナッカリア王国からの魔鉱石輸入と他国船が中継地点として食材の補充が主なのだ」


ウィスロー領は貿易に力を入れなくてもやっていける領なのかもしれないわね。


勿体ないような気もするけれど他国だし、わたくしがどうこう言うことでもないわ。





「ようこそマサーヤへいらしてくださいました。今回案内をさせていただく、ルクレッツィア・マリア・マサーヤです」


ウィスローからマサーヤの王都までは、馬車で1日半かかる距離で、馬車から降りるとルクレッツィア王女たちマサーヤ王国の方々が待っていた。


このルクレッツィア王女様がユリウス殿下と婚約間近と言われていている方で、とても可愛らしい方だった。


ユリウス王子の4歳下だから18歳だと思う。


ただ王女といわれなければ、王女殿下の側近の貴族令嬢かと思うくらい、着飾っていないので内心驚いている。



「今日はゆっくりなさってといいたいけれど、新作魔道具を見たいでしょう?」


王女殿下は楽し気な口調だ。


「気遣いありがとう。できればお願いしたい」


2人は親し気な口調で話している。


つまり以前から交流があったということだろうか?




そのまま王城のある建物に案内される。


同行しているのはルクレッツィア王女の護衛、ユリウス殿下の側近1人と護衛、なぜかわたくしも一緒だ。


ユリウス殿下とルクレッツィア王女殿下に一緒に来るようにといわれたからだ。


正直、なぜ?と思ったけれど断ることはできないので彼らの後ろを黙って歩いている。



建物は厳重に管理されているようで、人も最低限の限られた人しか入れないらしい。


また魔道具で建物の一部は結界を張っているそうだ。


結界が張ってある部屋に入るため、王女殿下が壁にあるパネルのようなものに自分の両手をかざしている。



「個々人の手の大きさ・形が違うでしょう。このパネルに記憶させている者が案内する人しか入れないようになっているの」


「これも画期的だね。欲しがる人は多いと思うよ」


「そうね。でもいいことに使用されればいいけれど、悪いことに使われそうで公表していないわ」


誘拐・犯罪で使われることを懸念されているということかしら?


取り締まっている側としては、このパネルを利用されると助けられる人たちが助けられなくなってしまうかもしれない。



ロックフェルトは海賊の取り締まりをしているから、素晴らしいものだけれど王女殿下の意見に賛成だわ。


結界が解除され、王女殿下、ユリウス殿下、わたくしは部屋へ入り、他の人は結界の外で待機のようだ。


わたくしがなぜ入ることを許されるのかわからないが、一緒に中へ入るとすぐに結界が張られた。


「やぁ、ユリウス久しぶり。早速来たね」


わたくしは声を掛けてきた人物の顔を見て驚いてしまった。

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