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第28話

「おめでとうございます」


「素敵ですー」


「おめでとう」


今はシャルお姉様とレイお義兄様の2回目の結婚式が終わり、2人が領民へのお披露目で教会から出てきたところだ。


わたくしや、シアお姉様、アレックスは教会の外の階段で、フラワーシャワーをしている最中。



王都の結婚式のシャルお姉様はウェディングドレスを着ていたけれど、領都で行われている今日の結婚式は軍服姿の男装の麗人。


そしてレイお義兄様がウェディングドレスを着ている。


王都と領都で結婚式をする、領都ではシャルお姉様が男装、レイお義兄様がウェディングドレスを着る案は、シアお姉様からの提案だった。


だけどシャルお姉様の「断固反対!!」で1度はお流れになったのに、シアお姉様はレイお義兄様の母親である公爵夫人を味方につけて、決まってしまった。



しかも王都の教会を社交シーズン前の10月初めに抑えたと公爵夫人がいい、王都と領都で10月挙式になるという結婚が決まってから3か月程度での前代未聞のスピード婚になった。


シャルお姉様は呆然としていたけれど、シアお姉様と公爵夫人が頑張り、すべてを仕切って強硬してしまったのだった。



今教会の階段で反対側にいるレイお義兄様の父親であるマッケンジー公爵は複雑な顔をしてシャルお姉様たちを見ていて、隣にいる公爵夫人はニコニコと対照的。


そしてシャルお姉様の熱狂的なファンである貴族令嬢たちは、今日の式に参加するためにロックフェルト侯爵領までわざわざやって来て、わたくしたちからは少し離れたところで歓声をあげている。


今日の結婚式でも誓いの口づけがあり、どちらがリードするのかと思ったらシャルお姉様だった。



11月の社交の話題独占だろうから、シャルお姉様の心中は荒れているだろうと思う。


逆にレイお義兄様は面白がっているようにみえるから、誓いの件はレイお義兄様がシャルお姉様をそそのかしたのだろう。



そして隣のシアお姉様はやり切ったわというとてもいい笑顔だった。


ただ隣にいるアレックスの表情は硬い。


この結婚式の準備でシアお姉様と出かけるのが減ったらしいし、自分たちより先に、しかも3ヶ月ほどという普通では考えられないスピード結婚をしてしまった2人とは正反対だものね。



シャルお姉様の結婚式の話を聞いて、アレックスはまたしばらく使い物にならなくて大変だった。


シアお姉様に文句を言ったら、アレックスから正式に付き合いだしたあとは、結婚しようと言われたことはないらしい。


その話を聞いて思わずため息が出た。



シャルお姉様なんか、アレックスがさっさとシアお姉様を捕まえておけば、2回も結婚式をするはめにならなかったのにと、さんざんアレックスを罵っていた。


レイお義兄様はシャルお姉様の隣で笑っていたけれど・・・・。


アレックスにもレイお義兄様までとはいわないが、もう少し強引でもいいのに、シアお姉様には強気に出られないヘタレさんだ。


もういい加減、2人に振り回されるは終わりにしたい、横にいる2人を見てしみじみ思う。




わたくしがシアお姉様たちを横目で見ていることに気づいたのか、シアお姉様が話しかけてくる。


「ジャクリーン、3日後のマサーヤ王国へ行く準備はできたのかしら?」


「シアお姉様、今回が初めての旅行ではありませんわ。しかも仕事ですから大荷物にはなりません」


「仕事とはいえ、先方で招待されることもあるでしょうから、ドレスはそれなりに持っていきなさいね」


「なぜです?」


「今回はユリウス殿下の同行の一員よ。マナーがなっていないと笑われてしまうわよ」



「ユリウス殿下と行動を共にするのは日中の仕事だけだと思うのですが・・・・」


「何を言っているのよ。パーティーでも通訳をお願いされるわよ。」


「わかりました。ドレスも数点、持っていくようにします」


シアお姉様がしつこいときは、意外に当たることが多いから素直にうなずく。



社交シーズン前だけれど、ユリウス殿下がマサーヤ王国を訪問される。


表向きは新しい画期的な魔道具が開発されたらしく、その見学となっているけれど、おそらく今回の訪問で正式にマサーヤ王国の王女とご婚約になるのではないかと噂されている。


その訪問になぜかわたくしも同行が求められた。


マサーヤ王国語を話せる人が我が国に少ないためらしい。



断ろうと思ったのだけれど、シアお姉様がマサーヤ王国の有力者と知り合いになれるチャンスを逃すのはジャクリーンらしくない、何かあるのかと勘繰られた。


普段はおっとりしているシアお姉様だけれど、身内に対しての敵意やシャルお姉様とわたくしが普段とは違う行動をしたと思うと、どこからともなく情報を仕入れてきて暗躍が始まるから恐ろしい。


だから素直に聞いておくほうがいい。

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