第24話
無視するわけにはいかないので、マッケンジーと一緒にフェリシアたちのところへ行く。
「お姉様、レイ様。素敵でしたわ。2曲続けて踊られるほど、話が弾んでいましたけれど、何をお話しでしたの?」
「はぁ?2曲も踊っていたのか」
「お姉様、気づかれなかったのですか?」
あぁー、これはもっと噂が広まってしまう。
いや、作戦なのだからいいのか。
しかし我が国で2曲続けて踊るのは、恋人か婚約者同士、新婚の夫婦ぐらいだ。話に夢中だったとはいえ2曲続けて踊っていたとは!
マッケンジーが気づいていないはずがない。
フェリシアがいるからここでマッケンジーを問い詰めることもできない。
「フェリシアたちはもう踊ったのかい?」
「まだですわ、今はお姉様とお話を・・・・」
「帰ってからでもできるだろう、アレックスがやきもきしている。一度踊ってきたらいい」
「シャルロッテ様!」
「アレックス、本当のことだろう。いい加減、誰かに助けて貰うことはやめて、自分がしっかりフェリシアをリードしていけ。できないなら婚約も難しいぞ」
私の言葉にアレックスは何も言わなくなった。
言い方はきつかったかもしれないが、本当のことだ。
まぁ、ちょっと自分の苛立ちをぶつけたかもしれないけれど・・・・。
私とアレックスの気まずさに気づいたフェリシアがアレックスとダンスに行った。
「そうとうお疲れのようだね」
「誰のせいだと思っている?」
「作戦に同意したのは君だよ」
この言葉だけ私の耳元でマッケンジーがささやいた。
「「「キャァー」」」
近くに令嬢たちがいたようだ。
・・・・こいつはとことん相手を煽る気のようだ。
「シャルお姉様、派手な交際宣言ですわね。帰りはレイ様に送っていただきますか?」
今度はジャクリーンか。
「いや、ジャクリーンと一緒に・・・」
「ありがとう、そうさせて貰うよ。ちゃんと送り届けるから」
私の言葉に被せるように、マッケンジーがジャクリーンに返事をした。
「マッケンジー!」
マッケンジーは私の抗議をスルーしてジャクリーンに話しかけている。
「ジャクリーン嬢、我々はユリウス殿下のところへこれから行くが、君も一緒にどうだい?」
「わたくしは、まだ仕事の挨拶回りがありますから失礼いたします。ただ確認のために来たので・・・・」
「では姉上はこのままお借りするよ」
ジャクリーンが私たちから離れて行った。
「シャル嬢、嫌味は馬車の中で聞くから、今は笑顔で」
マッケンジーが私に小声で言う。
作戦とはいえ慣れないことをするもんじゃない。
まだこのつらい時間が続くのか・・・・早く帰りたい。
ユリウス殿下の周囲にいた貴族にも、おめでとうとか、やっと決意なさったのか、息子を推薦したかったのに残念だなど、当てこすりや、嫌味の貴族たちを笑顔で捌いていく。
ほとんどマッケンジーに任せていたけれど・・・・。
馬車に乗り込むなり私は馬車の端に寄りかかる。
「お疲れ様。よく頑張った」
マッケンジーの飄々とした態度にムカつく。
「慣れていらっしゃる方は余裕だね」
「嫌味がいえるなら、まだ大丈夫だ」
私は言い返す気力もなくなり黙った。
奴はため息をつくが、私に話しかけてくる。
「これだけ煽ったし、王家が国内の販売拠点を2つほど潰した。あと新たな噂も流したから、ヘロス商会もさすがに動くだろう」
「王家が国内ルートの拠点をつぶした?そして新たな噂?」
「そうだ。ただ本当に奴らは慎重みたいで、薬の売人も商会奴らの顔を知らない」
「どういうことだい?」
「いつも仮面とマントをつけているそうだ」
「顔を確認せずにマポラの販売をしているのか」
「それでも売れるということだ」
マッケンジーが厳しい顔をした。
「シャル嬢。今回の2つの拠点を潰して大量のマポラを回収した。あと王家が近いうちにロックフェルト侯爵領内を取り締まるだろうという噂を流した」
「それはヘロス商会と黒幕貴族が、我が家を元締めに見せかけるために、証拠を我が領内で王家に見つかるようにする細工をするということか」
「そうだ、ロックフェルト侯爵家を潰したいなら、この話に奴らは喰いつくだろうから」
「なら、今回の作戦はいらなかったのではないか?」
「それはないよ。ヘロス商会を動かしている貴族のあぶり出しには必要だった」
マッケンジーの言葉に納得いかないが、私は疲れ果てて頭が回らなかった。
ただ領都に戻ったらこんどこそヘロス商会を潰さなければいけない。
この機会を逃したら彼らを捕まえるのは難しくだろうから。




