第23話
「ウィンストン公爵、義理の娘をあまりいじめないでほしいね」
「これはマッケンジー公爵、君が助けに来るくらいだ。話は本決まりのようだ・・・・邪魔したね」
ウィンストン公爵は離れていき、マッケンジー公爵と2人になった。
「マッケンジー公爵、助けていただいたことは感謝いたしますが、義理の娘というのは・・・・」
「あぁ、私の願望を言ってしまったのだよ。気にしないでくれたまえ」
いや気にします。なんせあのウィンストン公爵に嘘をついたことになる。
「レイフォード殿が何かお話ししたのですか?」
「あぁ、ちょっと騒がしくなるから気にするなと。まさか君を口説き始めるとはなぁー」
マッケンジー、親になんていう報告をしているんだ。
父親ぐらいには本当のことを言っておけよ。
「その様子だと、まだいい報告は先のようだ。あんなひねくれた息子だが、君のことを支えることができる男だと思う。まぁ、考えてみてくれ
」私がなにかいうよりも先に、マッケンジー公爵は言いたいことを話して去って行った。
ここで奴を探して問い詰めたいが、ここは誰が聞いているかわからない。
この怒りをぶつけようがないではないか!!
「ロックフェルト侯爵、今よろしいでしょうか」
扇子を握りしめていると、また声がかかり、私は声のするほうに振り向く。
「これは、カールトン子爵と奥方。かまいませんよ」
私に話かけてきたのは、副官のロバートの両親だ。
「先ほどマッケンジー公爵とにこやかにお話しされているのを拝見しました」
ここも噂の探りを入れてきたのか・・・・ため息をつきたい。私は笑顔で切り返す。
「ウィンストン公爵と3人で話しておりましたのに、気づかれませんでしたか?」
「そうなのですか、大変失礼いたしました。おそらく我々からは死角でウィンストン公爵が見えなかったようです」「ご用件はそれだけで?」
「いえ、実はロバートのことですが、見合い話がありまして、本人に勧めたいと思っております」
「ご両親が勧めたいというのなら、いいお話なのでしょう。よいのではないですか」
私の言葉に子爵夫妻ががっかりした反応を見せる。
私に見合いを勧めてほしいという依頼ではないのか?
「ロックフェルト侯爵」
私は声がするほうに振り向くと、ユリウス王子とマッケンジーだった。
子爵夫妻は失礼しますといって去っていった。
私はマッケンジーをマジマジと見てしまった。
「今日はドレス姿ではないのか?」
「いや、さっきまでドレスで挨拶周りしていたよ。でも終わったから大至急着替えてきた」
「私としては、ドレスを着たもの同士で踊るところを見たかったよ」
「殿下、お人が悪いですよ。私たちを話のネタにして、笑おうとするのはいただけないです」
「いや、私は踊るつもりはなくて・・・・」
「周りは君たちに注目しているよ。踊らないとまた何か変な方向に噂されるよ」
「ユリウス殿下」
「というわけでシャル嬢、踊りましょうか」
マッケンジーが手を差し出した。
ユリウス殿下の手前断ることができない。
これは私が断れないようにするために、マッケンジーは殿下と一緒に来たとしか思えない、策士め!!
私はしぶしぶマッケンジーの手を取り踊り出すが、小声で抗議をする。
「今日はずっとからかわれてばかりだ。これで作戦が失敗したらただじゃぁおかないからな!」
「それで機嫌が悪かったのかい?それとも右腕の縁談話がショックだったとか?」
「はぁ?!聞こえていたのかい。ロバートにいい話なら結構なことだと思うよ。子爵夫妻のがっかりした様子は腑に落ちなかったけれど・・・・」
「クスッ、それは君に止めて欲しかったのだよ」
「どういうことだい」
「君の婿になることを期待していたということだよ」
私が理解していないような顔をしたからか、マッケンジーが教えてくれる。
「君の右腕に抜擢されたのだ。将来婿として考えていると子爵夫妻が勘違いしてもおかしくないよ」
私は踊るのを一瞬止めてしまいそうになったところを、マッケンジーがリードで誤魔化してくれた。
「もしかしたら、ロバート本人も思っている?」
「最初は思ったかもしれないが、ずっとそばで見ていれば違うとわかるだろう」
子爵夫妻の様子からロバートに何か言っているかもしれない。
だからロバートも内通者候補として考えられるといいたいのか。
私は結婚を考えていなかったから考えもしなかったけれど、周囲から見れば、婿として試していると見えるわけだ、迂闊だった。
ちょうど音楽が途切れたのでダンスフロアから離れようとしていたら、フェリシアのとびっきりの笑顔と腑抜け顔のアレックスが視界に入った。




