第14話
「それ違うから。妹のために訂正させてほしい」
どうやら妹様が5歳の時に、ユリウス殿下に一目ぼれして、お嫁さんにしてくださいと大勢の前で言って断られた時の話だそうだ。
帝国への留学は縁談話があって、向こうで生活できるか確認するためだったそうだ。
結果、縁談相手とも仲良くなり、友人もできてそのまま縁談相手と結婚したらしい。
「もしかして、レイ様が帝国の衣装に詳しいのは・・・・」
「そう、妹からの情報だね。ただ、生地は送ってくれないんだ。自分が使うからって、ひどいよね。こっちにいたときはさんざん面倒みてあげていたのに」
レイ様は話題も豊富で一緒にいて楽だった。
だけど何か面白がっているように見えるのはなぜだろうか?
私が尋ねても気のせいだよと言うばかりで、はぐらかされてしまう。
これから植物園をでて馬車に乗ると、次に行く場所のヒントをくれた。
景色がいいとろこに行くそうだ。
馬車をおりたところは塔みたいな建物の前で、見晴台と呼ばれていて人数限定で登れるらしい。
この時間帯は貸し切りにしたらしく、ゆっくり見られるよとレイ様はいってくれた。
「貸し切りですか?」
「あぁ、護衛もいるし、貸し切りにしないと逃げるところがない場所だしね」
レイ様は肩をすくめた。
レイ様は公爵令息だ、狙われることもあるのかもしれない。
「フェリシア、階段を登る。きつかったらきちんと言うように、ゆっくり登ろう」
「レイ様、ありがとうございます」
レイ様に片手を預けて階段を登って行く。
レイ様は私のペースに合わせてくれてとても気遣ってくれる。
こんなに大事に扱ってくれるエスコートって初めてかもしれない・・・・。
本来はこれが普通なのだろうか?
男性にエスコートされて、王都を見て回るなんて、残念ながら私には元婚約者のくそ野郎しかない。
しかもどこかでお茶をするか、相手の買い物に付き合うかだ。
うーん、お姉様やエリーザがいうように、殿方の誘いを受けていれば、ここまでくそ野郎のことを引きずらなかったかもしれない。
「フェリシア、きついか?無口になったけれど」
「レイ様、大丈夫ですわ。ただちょっと反省したまでです」
「反省?」
「はい、もっとお出かけしてもよかったかもっていうことです」
「アレックスと?」
「アレックスとは、パーティーやお茶会のエスコートだけですよ。なぜ彼がでてくるのですか?」
「えっ⁉デートしたことないの?」
レイ様は立ち止まった。
「誘われたことありませんけれど・・・・」私は首をかしげた。
「・・・駄目だ、アイツ。今までなにやっていたのだ」レイ様は首を振っている。
ふっーと息を吐いてから私に笑顔で話かける。
「フェリシア、もう少しで見晴台に着くからね、頑張ろう」
見晴台についた。遠くには王城が見える。
「王都の風景が見られる場所があるなんて、知らなかったです」
階段は結構つらかったが、しんどさが吹き飛ぶくらい、素敵な景色だった。
「いつもは見上げる建物を見下ろせるなんて素敵です」
私はもっと近くで見ようと見晴台のフェンスへ近寄る。
「フェリシア、身を乗り出すようなことは危ないからしては駄目だよ」
「レイ様、わたくしは子供ではありません」ツンとレイ様にしてしまう。
「あはは、ごめんよ。なんか子供がする喜び方だったからね」
レイ様の言葉に言い当てられた私は下を向く。
「フェリシア、じっくり堪能しないと勿体ないよ。貸し切りなんてなかなかないしね」
レイ様の言葉で気を取り直した私は場所を変えながら、王都の風景を楽しんだ。
「あら、植物園の近くに見晴台はあるのですね」
移動した場所の真下が植物園だったのだ。
「そうだよ。ちょっと左奥にあるのが、植物園で休憩した喫茶店だ。真下に見える池や遊歩道は、今日歩かなかった場所だ」
「レイ様・・・・ここって」私は顔を赤らめて指をさす。
「あぁ、植物園の奥まったところで、ひとけが少ないし雰囲気もいいから、婚約者同士・夫婦がキスしちゃうみたいなんだよ。フェリシアはここから丸見えだって知ったから気を付けなよね」
「そんな相手はいません」
「今はいなくても、知っておいて損はないだろう?」
「そうですわね」
私は植物園が見える場所からはそそくさと移動した。
急にレイ様が私を抱きしめる。
驚いてレイ様の腕の中から逃げようともがくが逃げ出せない。
「レイ様、おふざけはやめてください。やり過ぎです!」
私は言いながらももがくのを止めない。
さらにレイ様は私のあごを上に向かせて、レイ様の顔が近づいてきた。
「レイ様、やめてください」
レイ様の腕の中から抜け出そうともがき続ける。
「やめろ、嫌がっているだろーが!!」
レイ様の肩を掴み殴りかかろうとする男性が現れた。
レイ様はスッと避け私はレイ様の腕の中から解放され、助けてくれた男性に抱きしめられた。
「やっと来たか。ここまでしないと出てこないなんて、呆れるよアレックス」
レイ様は私を抱きしめている男性に向かって言った。




