第13話
「レイ様が、男性?」
だってどこから見ても女性でしょ。私はレイ様の頭から足まで見下ろす。
優雅にドレスを着こなして、確かに背は高くて、声も低めだけれど・・・・。
「なんでドレスを・・・・」
私の呟きにレイ様が教えてくれる。
「もともとドレスをデザインするのは好きでね。店のドレスの宣伝で誰かを雇うより、自分が着た方が宣伝になるかなって思ってね。着てみたら案外似合うし反響も高くて、店の売り上げも伸びたから、新作の宣伝でパーティーに行くときは、ドレスを着ているよ」
マッケンジー公爵家の汚点という輩もいるけれど・・・・と言って、レイ様は肩をすくめた。
あぁ、マッケンジー公爵家の方だから、ユリウス殿下と幼馴染なのも頷ける。
私のバカ、なんで気づかないのよ!!
「で、どうする?私とデートしてみる?」
3日後、迎えに来るから楽しいもうと私が断る前に強引に約束を取り付けられ、レイ様は帰って行った。
翌日、私はエリーザを尋ねて、アルファード伯爵邸を訪問した。
応接室に案内され、待っているとエリーザがお待たせと言いながら入ってきた。
私は侍女たちにも聞かれたくないとエリーザに話すと人払いしてくれたため、パーティーで起こった事件からレイ様の件までいっきに話した。
「まぁ、やっとアレックス様のこと、意識したのね。レイ様の件は呆れるけれど・・・・」
エリーザが首を振っている。私はムッとしてエリーザを責める。
「エリーザ、教えてくれてもいいじゃないの。薄情者!!」
「何を言っているの、わたくしたちがどれだけ言っても、冗談はよしてと流していたのはフェリシアでしょう」
「うっ、だってわたくしは、お姉様やジャクリーンほど美人でもないし・・・・。レイ様の件にしてもそうよ。教えて欲しかったわ」
「知らない方がおかしいのよ。有名な話なのに・・・・」
エリーザには呆れられた。
「エリーザ、どうしたらいいと思う?」
「レイ様と外出したらいいじゃないの。それからアレックス様のこと、どうするか考えてもいいと思うわよ」
「他人事だと思って!!」
「あなたは最初の婚約で男性不振なのだから、アレックス様以外の殿方と出かけるのはいいことだと思うわ」
エリーザに何とかならないかと相談にいったのに、逆にレイ様と外出するように勧められてしまった。
屋敷に戻ると、レイ様と外出することを知ったお姉様が、面白がって侍女たちに張り切って用意するように指示するし、ジャクリーンも私の部屋に来て、当日着る服を吟味したのだ。
「ジャクリーン、アレックスをどうにかしてほしいといっていたのに、レイ様との出かけることを勧めるの?」
「あのヘタレのことはいいです。今まで何度も機会があったのに、アプローチしなかったのですから。それよりもシアお姉様が、殿方と出かける気になったことのほうが嬉しいです」
私の姉妹はレイ様推しになっている。
なんかモヤモヤするがレイ様と外出する当日になり、レイ様が迎えに屋敷まで来てくれた。
レイ様は男装だった、いやこっちが本当の姿だったわ。
髪を後ろでひとつに括り、貴族の男性が外出する際の服装だ。
こうやって見ると本当に男性だ、でもドレスも似合うから不思議な方だ。
「やぁ、フェリシア、お洒落してくれたのだね。よく似合っていて綺麗だよ」
お菓子の入った籠を渡してくれた。
「まぁ、美味しそうなお菓子ですね。あとでいただきます」
「モワルーのお菓子だよ」
「今、話題のお店ではないですか!予約してもすぐには買えないと聞いていますわ」
「我が家が資本を出している店でね。多少融通が利くのだ。喜んでもらえてよかったよ」
セバスチャンにお菓子の籠を渡して、レイ様のエスコートで馬車に乗る。
「レイ様、今日はどちらに行かれますの?」
「あぁ、天気がいいから植物園はどうかな?」
「わたくし王都の植物園は、行ったことがないので嬉しいですわ」
「えっ、そうなのかい。今まで一度も?」
「はい、年頃になった時は家が大変な時期でしたし、子供のころ王都には秋だけでしたので・・・・」
「それなら楽しめるよ。今の季節は色々な花が咲いていて綺麗だから」
植物園は植物を近くで見られるように、脇道もたくさんあって、ゆっくり見て回れるようになっていた。
場所によっては、赤やピンク、黄色やオレンジなど、わざと同色系統の花の濃淡でまとめているエリアなどがあり、見ごたえ十分だった。
「フェリシア、もう少ししたら喫茶店があるから、休憩がてらお茶をしないかい?」
「レイ様ありがとうございます。ちょうどお茶が飲みたかったので嬉しいです」
うーん、レイ様はエスコートは、私へのなにげない気遣いがすごい。
喫茶店ではテラス席に案内された。
テラス席の各テーブルには、パラソルがあり日差しを遮ってくれるようになっていて、席からも整備された庭が見えて綺麗だった。
冷えたレモネードを一口飲んで私は口を開く。
「レイ様はよく植物園に来られるのですか?」
「なぜ?」
「植物の名前をよくご存じでしたし、おすすめのエリアを教えてくださいましたから」
「妹のお供でね。よく連れまわされていたのだ。両親が私か兄かどちらかと一緒でないと外出を許さなかったからね」
「ユリウス殿下に振られて帝国留学したという・・・」
私は口からポロッと言葉が出てしまい、慌てて口に手をやった。
「異世界でゆるゆる生活を満喫す」を告知通り、2025年7月7日に引き下げ作業させていただきました。
お読みいただいている方がいらっしゃいましたら、活動報告で詳細をお伝えしておりますのでご確認ください。
引き続きよろしくお願いいたします。




