第12話
「ライバルであるわたくしに自慢にきたのかしら。余裕ね」
アリーサ様はお茶を一口飲んだ後で話し出した。
「アリーサ様、違います。先日の件でお礼に伺ったのです。なぜそんな言い方をなさるのですか!」
私はアレックスを怒鳴りついた2日後、アリーサ様のお屋敷に伺ったところ、庭の東屋に通された。
東屋から見える庭園は、花が咲き乱れとても綺麗な眺めだ。しかも花々の色合いも工夫されているようで、庭師の腕がいいのがわかる。
侍女たちは少し離れたところにいるので、私たちの会話は聞こえていないと思う。
「アレックス様があなたに振られて、仕事で使い物にならないと噂されていますわよ」
「どうしてそうなりますの。ダメ出ししただけですわ」
「ダメ出し?」
アリーサ様が怪訝な顔をするので、仕方なく私はアレックスとの会話を話した。
「くすっ、やっと気づいたというか、意識したというところかしら?やっぱり惚気に来たのではないの」
「アリーサ様・・・・」
「まぁ、いいわ。お礼は受け取りました。そしてわたくしのためにも、さっさと決着をつけてちょうだいな」
アリーサ様に帰るように促され、これ以上話をすることができなかった。
屋敷に戻るとジャクリーンが待ち構えていた。
「シアお姉様、お帰りなさい。お持ちしていました」
私は着かえずに、ジャクリーンとそのまま居間に移動する。
「ジャクリーン、アレックスが仕事で使い物にならないって本当なの?」
「まぁ、珍しい。興味のないことにはまったくといっていいほど、情報収集をされないシアお姉様がこんなに早くご存じだとは」
ジャクリーンはわざと大げさに驚いて見せる。
「嫌味はいいのよ。ある方が教えてくださったのよ。言っておきますが、振ってはいません。ダメ出ししただけです!!」
そこで私はジャクリーンに、パーティーで襲われた時、アレックスに助けられたことから、お見舞いに来てくれた時の会話まですべて話した。
「はぁー、ここまでヘタレだったとは!!告白をすっ飛ばして、しかもシアお姉様がそれを指摘したときに、どさくさに紛れてプロポーズ?ありえないわ」
「あなたもアレックスがわたくしを好きだと知っていたのね」
あのヘタレと小声でアレックスを罵っていたジャクリーンに、私は拗ねたように言った。
「もちろんよ、アレックスがわたくしに共同事業を持ちかけてきた条件は、シアお姉様への橋渡しだもの」
あっさり認めたジャクリーンの話は続く。
「でもね、アレックスは助ける代わりに婚約するのは嫌だ。信頼できる男性だとお姉様に思って欲しかったみたい。そして恋愛結婚したかったようよ」
仕事はできるのに、恋愛については奥手なのか、ロマンチストというべきか、ただのヘタレなのかは、シアお姉様の判断に任せるわとジャクリーンは言った。
「ジャクリーン、わたくしから行動を起こすことはしないわよ。むしろアレックスでしょうよ」
「そうは言っても、現状仕事に影響でているのよ。シアお姉様からアレックスに何か言ってくださらない?」
ジャクリーンには数日様子を見て、それでもアレックスが使いものにならなかったら考えると話した。
数日はジャクリーンと従業員で頑張って貰いたい。
私だってまだ心の整理が追いついていないのよ。
翌日、出来上がったドレスを持ってきてくださったレイ様からも言われる。
「フェリシア、あのヘタレを振ったのだってね。噂がすごいよ」
「レイ様、振ってはいません。ダメ出ししただけです!!」
私はやけくそ気味にジャクリーンにした話をレイ様にもした。
「あははは、ここまで恋愛下手だとは・・・・。仕事はできる男なのにねぇー」
「レイ様、ジャクリーンからも仕事に影響が出ているから、何とかしてくれといわれて困っているのです」
私も本当に困っているのだ。
「ふーん、アレックスのこと、意識しだしたということかな?」
「そうではありません。ジャクリーンが困っているからで・・・・」
「なら、私とデートでもしますか?」
「はい?」
私はドレス姿のレイ様をマジマジと見た。
「レイ様、女性同士でデートとはおかしい言い回しですよ?」
「やっぱり、気づいていなかったみたいだね。私の名前はレイフォード・マッケンジー。マッケンジー公爵家の次男だよ」
なんですってー!!




