桃太郎 かぐや姫編 起
さて、1年が経った。
冒険者としての評判も上がった。
俺はこのオワリのギルドでは最も評判の良い冒険者になっていた。
未だに仲間は使い魔のワイバーンのワイ子だけ。実質ソロだ。
パーティーへの誘いはあるのだが、やけにサル顔のオッサンばかりが俺をパーティーに誘ってくる。
運命力が働いているのだろうか。
そんなある日、貴族から俺に依頼が舞い込んだ。
石上とかいう中納言だった。
この世界では中納言って貴族扱いらしい。
もとの世界でも貴族か。・・・貴族か?
「桃太郎さん。しばらくの間ですが、あなたに私の手伝いをお願いをしたいのです。」
石上は俺が子供だというのにも関わらず、丁寧に言った。
初対面で俺の年齢についてなんかしら文句を言わない奴は珍しい。貴族なんてだいたいチェンジを要求してくる。
石上は見た目からしても、やさしそうというか、うだつの上がらないというか、なんとなく人のよさそうな奴だ。
「仕事であれば、きちんとこなします。」俺は石上に言った。「こんな見た目ですが、戦いではお役に立てますのでご安心ください。」
「ありがとう、頼りにさせてもらいます。」
石上はそう言って頭を下げると、仕事の内容について説明し始めた。
「実は、私、ある女性に一目ぼれをいたしまして・・・恥ずかしながら求婚をしたのです。ですが、なにぶん相手が絶世の美人だったものですから、他の貴族たちも彼女に求婚をしているようなのです。彼女はそれはもう、すっきりとっした顔立ちに大きな目、凛とした中にも愛嬌があって・・・」
「ちょっちょっ?6歳児なので、恋愛沙汰はお役に立てるとは思えませんよ?」俺は慌てて言った。「むしろ、連れ子とかと思われてしまうかも。」
「いえいえ、恋愛の相談ではなく、その女性にプロポーズを受け入れて貰うための試験として、サラマンダーの皮を持って来いと要求されまして、それを取って来てほしいのですよ。」
「サラマンダーの皮?サラマンダーは聞いたことありますが、皮が取れるのですか?」
「はい、ユカダンボーという魔術具の材料になる貴重品です。」石上は続けた。「市場で買えない物ではないのですが、ライバルの大納言と右大臣に買い占められてしまいまして・・・。」
「それを取って来れば良いのですね?」
「はい。」石上は頷いた。「大納言と左大臣はすでにサラマンダーの皮を手に入れてます。おそらくこの後、二回目の試験もあると思いますので最後までご協力をお願いします。」
「了解しました。ところで、その絶世の美人というのはそんなに美しいのですか?」
いちお、確認しとかんとな。
「ええ、この辺りでは有名ですよ。聴いたことありませんか?かぐや姫といいます。」
犬とかサルより先にかぐや姫出てきちゃったよ!




