桃太郎たちは悪い鬼をやっつけました。めでたしめでたし?。
「やった!やったぞ!!」真っ先に秀吉が俺に駆け寄って来た。
俺は、サルに親指を立てる。
俺はふらついて倒れそうになる。MP10でもさすがにフラフラだ。
「クルルルルっ!!」近くにいた、ワイ子が俺を支えた。
「はい、キビ団子。」ネネさんが俺にグレートポーションを渡した。
「ありがとう、ネネさん、ワイ子。」
「モモちゃん!すげええ!!」喜久兵衛とハナちゃんも駆け寄ってきた。
「勝った!勝ったぞ!!!!」
周りから歓声が上がった。
そうだ。
勝ったのだ。
周りを見渡す。
喜久兵衛、ハナちゃん、ワイ子、孝高、秀吉、重治、金太郎、かぐや姫、ジジィ、ババァ、高橋、クラスの皆も無事だ。あと、ついでに湯布院組。
そして、ネネさん。
誰一人死ななかった。
なんだよ、全然大丈夫じゃん。
良かった。
良かった。
ほっとしたら、何か涙が込み上げてきた。
ネネさんがやさしく俺の事を抱きしめてくれた。
「城が崩れないうちに行こう。」秀吉が言った。「そうな長くはもたなそうだ。」
なんだ、金銀財宝が手に入る流れは無いのか。
まあ、殺風景な城だったしなぁ。
まあ、どうでもいいさ。みんなが無事だった。
って、ん?
浦島が陣取っていた辺りに何か、小さい箱が落ちてる。
もしかして、異世界転生ものでいうところのドロップアイテムってやつ?
いまさら!?
まあ、いいや、開けてみよう。
箱に走り寄って持ち上げる。
漆塗りの黒い箱は真ん中を紐でちょうちょ結びされていた。
見た目も和風なのな。
紐をといて、蓋を開ける。
「桃太郎君!いけない!!」孝高の声が聞こえた。「その箱を開けちゃだめだ!!」
箱を開けると大量の煙が噴き出した。
しまった!
罠だ!!
「桃太郎君!!」ネネさんの声が聞こえた。
***
桃太郎を包んでいた煙が治まった。
桃太郎は無事だった。
犬山ネネの心配を他所に、桃太郎は箱を開けた瞬間のまま呆けたまま立っていた。
しかし、犬山ネネの瞳に映った桃太郎はもう子供ではなくなっていた。
彼は玉手箱の煙のせいで二十歳前後の青年の姿に変わっていた。
「桃太郎君?」犬山は恐る恐る確認した。
「ネネさん?どうしたんですか?」桃太郎は、犬山の心配などひとかけらも届かなかった様子で答えた。
犬山ネネは桃太郎がいつもの小さな桃太郎であって安堵した。犬山はたまらず駆け出して行き、桃太郎の事を抱きしめた。
いつもなら、お腹の辺りに来る桃太郎の顔は自分よりも上にあり、今度は自分の顔が桃太郎の胸の位置にあることに犬山ネネは驚いた。
それは、桃太郎も同様だったようだ。
桃太郎がいつもと違う感覚にすごく動揺しているのが犬山ネネに伝わってきた。
少しあってから、桃太郎は犬山ネネの背中を抱きしめた。
そして、彼は言った。
「犬山さん。俺は初めてあった時からあなたの事がずっと好きでした。今も、これからもずっと愛しています!」
END
***
――さて、今回、我々、月刊『人と日々』の取材陣は50年ぶりに桃太郎さんを発見する事に成功いたしました。
――そして、今回はそんな桃太郎さんにインタビューを快諾していただきました。
――宜しくお願いします。
「宜しくお願いします。」
――鬼退治はやはり大変でしたか?その辺りのご苦労がありましたら教えてください。
「そりゃあ著作権ですよ。」
――著作・・・権・・・?
「いえ、こっちの話です。」
――ちょっと、答えにくい質問かもしれませんが、ズバッとお聞きします。
「はい。」
――何故?鬼退治の後、行方をくらませたのですか?
「あー。やっぱそれですよね。その、実は、鬼退治のあと犬山ネネさんに告って振られまして、それでみんなに顔を見られたくなくって。」
――そんなことで居なくなったんですか?
「そんなことって言わないでくださいよ。10年くらい時々思い出しては「ウァ~っ!」ってなってたんですから。」
――失礼しました。
「まあ、18歳になる直前まで6歳でしたからね。振られるのは無理もありません。ネネさんにしてみれば私の事を6歳児としてずっと見てたわけですから。」
――ずっと一緒に旅をしてきた間、思いを寄せていたんですか?
「ええ。それはもう、出会った時から。」
――歳の差っていえば歳の差ですけど、子供の初恋にも聞こえてしまうのですが・・・。
「実は知り合いに遠回しに忠告はされてたんですけどね。私がそこら辺の所に気がつけなくて。その知り合いももっとはっきりと言ってくれて良かったんですけど。」
――そういえばネネさんは鬼退治の後すぐ、秀吉さんと結婚されましたよね?
「そう、そうなんですよ!しかも、ネネさん子供の誕生日がなんか早いんですよね・・・。」
――というと?
「いや、たぶん、鬼ヶ島へ向かう船の中でヤッてたんじゃ無いかと。ちょうどその時ネネさんとケンカ気味だったんで、私のほうもその辺りに気がつけなくて。分かります?この気持ち。」
――それはさすがにショックだったでしょう。それで姿を消したわけですか。
「ええ、まあ。」
――今までは、何をされていたんですか?
「いやあ、やさぐれて、大陸に渡って魔王になろうとしたこともあったんですけど、陳さんにボッコボコにされまして。で、結局日本に帰って来てしばらくウダウダとしていました。しばらくはちょっとダメな感じでしたね。秀吉に遠回しな嫌がらせとかしてましたし。」
――ほんとですか!?
「いや、嫌がらせって言っても大したことしてませんよ?『家康は斬られて豊臣が豊かになる鐘を秀吉が作ってる』って幕府にイタ電入れたりとか。」
――それ、結構大変なことになってましたよ。
「後で知ってびっくりしました。まあ、今は年賀状くらいはやり取りしてます。」
――最近は何をされていたのですか?
「すすきので桃と太郎っていうキャバクラとかを経営してます。」
――え?もしかしてかぐやさんのいらっしゃったところですか?
「そうそう。彼女にとっては天職でしたよね。おかげでグループを大きくすることができました。金田ジョージはご存じですか?」
――すすきののホスト界の帝王ですよね。
「彼をホストとして育てたのも私なんですよ。独立してしまいましたが。彼にもがっぽりと儲けさせていただきましたね。おかげで金が出来ましたんでね、今はワイ子と一緒にもう一度鬼ヶ島に行こうかと思っています。」
――おや、それはまたどうしてでしょう?
「最近ペットに犬を買い初めましてね。あと猿が居れば桃太郎だなーなんて思い始めまして。あなた、美人でサル顔の冒険者か美少女の猿の獣人に心当たりはないですか。」
――え?サルのですか?いいえ。
「そうですか・・・・。まあ、あと猿役の仲間を連れて、ワイ子とペットの犬と一緒にもう一度鬼ヶ島に行きたいんですよね。財宝も手に入れてないですし。」
――え!?鬼ヶ島には財宝が眠ってるんですか!!
「ええ。間違いないと思います。」
――それ、『人と日々』で独占取材させていただいてもいいですかね?
「構いませんよ。魔王退治に行ったときも他にいっぱいいましたし。」
――是非、お願いします。さて、『人と日々』の読者の皆様には近いうちに桃太郎さんとの宝探しについてお届けできると思います。
「猿役が見つかってからですよ。そこらへんはこだわってますから。」
――承知しました。そろそろお時間なのですが、何か一言ございますか?
「ここまで読んで頂きありがとうございました。」
――わざわざ、本誌のために一言ありがとうございます。
「いえ、こっちの話です。」




