犬山ネネは桃太郎の仲間だと言いました。
次の日。
関白藤原の前に俺たち3人は集められた。
3人というのは、孝高、ネネさん、俺だ。
昨日パーティーの後孝高が予言した通り、喜久兵衛とハナちゃんはこの場に呼ばれなかった。
二人は人質にしてしまったお詫びで、難波の巨大アミューズメントパークに連れてってもらっている。夕方からは梅田の劇場に落語を聞きに行くらしい。
「三人にお願いがある。」関白は頭を下げて言った。「魔王退治に協力してほしい。」
「いいですよ。」俺は二つ返事で答えた。
「失礼があったことは重々承知、詫びよと言われれば全力で・・・え?いいの?」
「バカバカしいことは止めましょう。」俺は言った。「重治さんを使って私たちを怒らせて、私たちへの贖罪を魔王退治へ向かわせるための説得にすり替えようとしたんですね?」
「素晴らしいな。」関白は素直に感心した。
気づいたのは孝高だけどな。
「魔王退治に行く。その代償としてあなた達が全力で謝罪する。この図式を作るために、重治さんが馬鹿なフリをして俺たちを怒らせ続けた。たしかに、喜久兵衛とハナちゃんがあれだけ楽しんでますんで、こっちは許したい気分でいっぱいですしね。」俺は言った。
「もちろん、報奨は払うし、できることは何でもする。」と、関白。
「もし私たちが、許さないと言ったらどうするつもりだったんですか?」孝高が聞いた
「誠意を見せるために、私の首を撥ねます。」重治が物騒なことを言った。
「・・・あなた自身が人質ってことですか。」
「いかようにも。」重治は静かに言った。
目の前で、重治さんの切腹の準備始められてたら、俺たちはどうしたかな。
どのみち、俺は桃太郎。
鬼退治に行かねばならぬ運命。
だったら、この申し出は受けるべきなのだ。
それに、俺からも通したい要求がある。
これはネネさんにも孝高にも言ってない。
「藤原さん。その代わり私からも一つ要求があります。」俺は言った。
「何でも申せ。」
「魔王退治に協力するのは私一人でお願いします。」
「桃太郎君!?」
ネネさんと孝高が叫んで同時に立ち上がった。
うっかりすると仲間が死ぬんだと。神様に言われちまったんだ。
みんなを連れて行くわけにはいかない。
「すまぬが、それは聞けない。」関白が言った。
「えっ?」
簡単に飲んでもらえる要求と思っていたのでビックリする。
「二人の、特に犬山ネネの力が必要だ。」藤原は言った。「倒すべきは魔王だけではない。魔王配下には四天王がいる。その一人を倒すのに犬山ネネの力が必要だ。そして、お前の使い魔の龍の力もあてにしている。」
え?犬山さん?ワイ子?
くそ、犬とキジが必要か!
これは桃太郎の強制力にちがいない。
「私が彼らの分も戦います。」俺は言った。「ネネさんもワイ子も連れて行くわけにはいかない。」
「桃太郎君、私もワイ子ちゃんも絶対に行くよ!!」ネネさんが言った。「なんでそんなこと言うの・・・。」
「死んでしまうかもしれないんですよ。」てか、神にこのままじゃ死ぬって言われたんだ。
「知らない!」
「ネネさん・・・。」
「桃太郎君一人危険な目にあわせて、自分だけ安穏となんてしてらんないよ!私強くなるもん。桃太郎君を守れるくらい強くなる。」ネネさんが言った。
「だから、一緒に行く!私達一緒に戦ってきた仲間でしょっ!」




