桃太郎と日本政府
「ごめん!ごめんって!!」
30代のおっさんがめっちゃ馴れ馴れしく6歳児に肩を組んでくる。
俺はちょっと不貞腐れている。
「ぶっちゃけ、君らに協力してもらわないといけないのは確かなんだけどさ、ちゃんとこっちが頭を下げて頼む側だってのは理解してるって。ね?機嫌直して。料理食べて?別にこれは魔王軍から姫路を守ってくれたお礼で、これ食べたら魔王退治行かなくちゃだめとかないからさ。」
いまは拉致されてきたオーサカ城で祝勝パーティーだ。
拒否権は無いとか言われて拉致られて来た時はどうしようかと思ったけれど、何のことはない。国を救った英雄扱いで、褒美も貰ったし今は豪華料理で歓待を受けている。
そして、俺に絡んできているのは藤原とかいうおっさん。かなり偉い人間だ。
いわゆる藤原氏ってやつだ。
関白とかいうミカドの代わりに政治を行う役職についているらしい。
それって、いわゆる総理大臣なんじゃないかという事にはうすうす気づいている。
とはいえ、人質をとってまで連れてくるのはやり過ぎだ。
みんな無事だったし、もう怒ってるわけではないが、簡単に許すのは何か嫌だ。
「しげっち、真面目過ぎてさぁ。」ぜんぜん偉い人の威厳なく藤原のおっさんが言った。しげっちってのは俺らを拉致ってきた人のことだ。「絶対連れて来てよとか言ったらもう拉致よ。」
しげっち、過激派過ぎない?
「しかし、関白。関白は魔王城攻略の最重要な駒として絶対に欲しいとおっしゃられました。」
しげっちが海鮮親子丼を片手に言った。
お前、呑気に飯食ってるけど、お前、一番悪いからな?
「でも、言い方あんじゃん。気をつけよ?ね?」
「御意。」
「モモちゃんも機嫌直して、ね。石狩鍋たべよ?」おっさんは言った。「しげっちもちゃんと謝って。」
「桃太郎様、申し訳ございません。お詫びにこちらの鮭グラタンを。」
お詫びがしょぼ過ぎんだよ。
こっちは友人二人が刃物向けられてんだ。なんか、ほっとしてちょっと流されかけていた怒りがまたふつふつと湧いてきた。
「モモちゃん、鮭嫌い?」
そういう事じゃねえ。
なおさら黙んまりを決め込む俺。
「いやぁ、しげっちにさ、酒の肴たくさん買ってこいって言ったら、魚の鮭たくさん買ってきちゃってさ!!」
マジかよ?
もう、しげっち首にしろよ。ほんとに。
だめだ、藤原のおっさん、当時を思い出して大爆笑し始めた。
さすがにちょっと腹立たしいので、膝を叩いて笑っているおっさんを放置してネネさんの所に向かった。
ネネさんもほっぺを膨らませてご立腹の様子だ。
「桃太郎君私気分悪い!(`^´#)」
「僕もです。」
「重治さんの勘違いだったってのは解かるよ?でも、もっとちゃんとごめんなさいして欲しい。」
しげっち、重治ってのか。
「ネネっち!モモちゃん!そんなに怒るなよ。俺もう怒ってないし!!」喜久兵衛が鮭とばをかじりながらやってきた。「ハナちゃんも怒ってないって。」
ハナちゃんがぶんぶんと首を縦に振る。
「二人とも全然食べてないじゃん!せっかくだし食べようぜ!!美味いよ!」
「喜久兵衛君もハナちゃんも刃物向けられたのよ?」
「ちょっと先方に反省が足りない。」俺も同意する
「も~。あ、孝高!」近寄ってきた孝高を見つけて喜久兵衛が言った。「孝高からも何か言ってあげてよ。」
「この件については僕から後で話したいことがあります。」孝高は言った。「でも、もったいないから、料理は頂いておきましょう。」




