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桃太郎 学園編 因縁

 「でさ、休み時間にするスィーツの話が、やれ、どこのみたらし団子がおいしかっただの、どこぞの羊羹が美味しかったのだの、そんなんな訳よ。」かぐや姫は言った。

 結局、あれからもかぐや姫はめっちゃ絡んでくる。

 ほぼ、一方的に愚痴られる感じだ。

 一方の金太郎のほうは俺とかぐや姫が話してると眉をひそめるものの、俺の事を恋のキューピットだとでも思っているのか、めっちゃやさしくなった。毎回、金太郎が通りかかるたびに、かぐや姫を押し付けるせいだと思う。

 「こういう話、ジョージ先輩は聞いくれないんっすか?」

 「あいつ転生者じゃないし。見た目ああだけど、中身が純和風なのよね。」かぐや姫は言った。「彼にクープ・デュ・モンドのパティシエの作ったドルチェの話したってついてこれないのよ。」

 「俺もついていけてませんよ?」

 「こういう話についてこれるのってアンタだけなのよねー。」

 「だから、ついていけてないですって。」

 「んでさ、納言グループの女子たちとも話して見たんだけどさ、和食って高くても映えないじゃん?懐石料理みたいんならともかくさ。西京焼きが美味く漬かってるだの言われても渋過ぎんのよ。」

 「俺の話聞いてます?」

 「お、居た!モモちゃん、またかぐや姫と話してた!」そこにやってきたのは喜久兵衛だった。「二人ともタコパしようぜ!タコ焼き!ネネっちも来るって!」

 「行く行く!」ネネさん行くなら参加っす!

 「かぐや姫もおいでよ!」

 「ヨロシクてよ。」かぐや姫も言った。

 結局下級クラス全員参加で、学校の片隅にある交流用のホールにたこ焼きパーティーの準備を始めた。

 「桃太郎君はたこ焼き食べたことあるの?」とネネさん。

 「もちろんありますよ。」

 「ソースはちゃんと専用のなんですの?」と、かぐや姫。

 「ソースってなんだ?」喜久兵衛は尋ねた。

 「醤油なんじゃないの?」

 意外にもたこ焼きの扱いに長けていたかぐや姫が、仕切りながらたこ焼きを竹串で器用に回し始めた。その時、ホールに最上級クラスの1年たちが入ってきた。

 「ああ、かぐや様!こんなところに居た。」一番前に居たのは蛇沢だ。テストの時、喜久兵衛を半殺しにした奴だ。「こんなところで、油を売っておられましたか。」

 「姫、おやつの時間にございます。」もう一人がかぐや姫に言った。

 なんだ、こいつら。かぐや姫のジイやにでもされたのか?

 「ちょっとわたくし今、手が離せませんの。今日は皆様がたで楽しんでくださいまし。」

 「そんな・・・本日は私どもとお茶会をたしなんで頂く順番にございます。」

 ひょっとして、かぐや姫のやつ、クラス持ち回りで貢がせてんの?

 「本日のどるちえを準備いたしました。」蛇沢が言った。「かぐや様が舶来ものがお好きとおっしゃっておりましたので、今回は外国の珍しいお菓・・・どるちえを取り寄せ致しました。」

 かぐや姫が顔を上げた。手はそのまま次々とたこ焼きを返していく。うめぇな。生前どっかでバイトしてたろ。

 「なに?」

 「金平糖にございます。」

 「パス。」

 チーズケーキとかだったら行ってたんだろうなぁ。

 「そんな、姫!」

 「今日はかぐや、クラスの皆様と交友を深めますの。」かぐや姫は相変わらず次々とたこ焼きを返しながら言った。「次、また、よろしくお願いいたしますわ。」

 「そ、そうですか・・・。」

 最上級クラスの連中はがっくりと肩をおとして、出口へと向かった。

 ちょうど、そこに喜久兵衛が鰹節のパックを抱えて入ってきた。「かぐや姫~、貰って来た!」

 「くそ下級人間どもがっ!」蛇沢がすれ違いざまに喜久兵衛を思いっきり蹴り飛ばした。

 突然、横っ腹を思いっきり蹴り飛ばされて喜久兵衛が吹っ飛ぶ。

 鰹節のパックが宙を舞った。

 「うぐぐぐ。」喜久兵衛はお腹を押さえてうずくまった。

 「喜久兵衛君!」ネネさんが慌てて喜久兵衛に駆け寄った。「なんてことするの!」

 俺も喜久兵衛と蛇沢達の間に割り込む。

 「てめぇ!なにしやがる!!」クラスの熱血漢、修三が叫んで、蛇沢に躍りかかった。

 「下級ごときが、選ばれた俺たちにかなうと思うな。」蛇沢も呼応する。

 ホールに入ってきた最上級クラスの5人と、下級クラスの一人を除いた全員が一斉に戦闘態勢に入った。

 修三と蛇沢がお互いの胸倉をつかみ、空中にいくつもの魔法陣が浮かんだところで、一人だけ、たこ焼きを返していたかぐや姫が声を張った。

 「騒々しい!たこ焼きが冷めてしまいますのでやめてくださいまし。」

 お前のせいなんですけど。

 「かぐやのために争いたいのなら、こんなちんけなところで戦わないで、再来月の校内大会できちんと対戦してくださいまし。」かぐや姫は言った。「かぐや、そういうところで皆様が取り合ってくださったら少しときめいちゃいますわ。」

 「良し!そうしよう!」蛇沢が大喜びで反応した。

 「その通りだ!俺たちがこんなところで争うなんて馬鹿げている!」修三も二つ返事で同意した。

 男子たちが、魔法陣を引っ込めたので、下級クラスの女子たちも魔法陣をしまった。

 すげえな・・・かぐや姫。

 「思い上がりの甚だしい下級クラス共。」蛇沢が俺たちに向けて中指を立てて言った。「逃げんじゃねえぞ?みんなの前で公開処刑だ。泣いたって許してやらねえ!」

 「そっちこそ命拾いしたな。首を洗って待ってやがれ!」修三も負けずに言い返す。

 「知ってるか?なんでクラス分けなんかするか。世の中に何で1軍と2軍があるか。」蛇沢は言った。「下級クラスは弱いから下級クラスなんだ。弱いお前らがいると強い俺たちの邪魔になるから、お前らは隔離されてんだよ!お荷物!」

 蛇沢達は俺たちをあざ笑うと去って行った。

 「鰹節を持ってきてくださいな。鰹節がパックで本当によかったですわ。」かぐや姫が火加減を調整しながら言った。

 こいつの周りだけ何の揉め事も無かったかのようだ。

 「突っ立ってないで皿を持って並んでくださいまし!鉄板が小さ過ぎて火加減がどの場所も強すぎますの。焦げないうちに!早く!!」




 次の日、かぐや姫が校内大会で優勝したクラスの物になるという噂が校内を流れ、全てのクラスが大会にエントリーを出した。

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