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囚われの獣人②

「スゥ……クシュンッ……」


 シオンは自身のくしゃみと同時に軽く目を覚ました。だが、もう一度目を瞑ろうとした時だった。アカツキ達の会話が耳に入ってきたのだ。そのため、軽く目だけを瞑りながら、その話に耳を傾けた。


「王女? この国の王女って言うたん?」


「そうよ。何度も言わせないで」


 この国の王族である彼女がここにいる。その事実にシオンは軽く首を傾げた。何故なら、シオンは今いる場所にある程度の検討がついていたからだ。


「何でこんなところで鎖で巻かれとるん?」


「…………」


 だけど、彼女は何も答えない。


「じゃあ、質問を変えるわ。ここは何処や? 僕達は船にいた筈やけど?」


「ここは……時計塔の真下。そして、貴方達は魔法で転移させられたようね」


 シオンはその言葉で耳をさらに澄ませた。だが、獣化している今はそこまで耳がいいわけではない。会話を聞き取るだけで精一杯だった。


「時計塔の真下……」


 小さく呟いた言葉はしっかりとアカツキの耳にも届いたようだった。


「シオン! やっと、起きたん?」


「…………寝てる……スゥ」


「…………どっちや」


 だが、何も答えないシオンにアカツキは呆れたようにため息を吐いた。


「話に戻るけど……僕らをここに連れてきた理由は?」


「簡潔に言うと、売り飛ばすため」


「そうか」


「驚かないの?」


 てっきり、驚くと思っていた彼女は落ち着いた様子のアカツキに訝しげな瞳を向けた。


「何となくそうかなぁって思っていたからな」


「はっ?」


「僕な……こんな状況初めてやないねん」


 アカツキは細い目をさらに細めて笑った。


「初めてじゃないって……」


 だが、彼女の言葉を無視して、アカツキは隣の柵に話しかけた。


「ジン。もう、起きとるやろ?」


「あれれ? バレてた?」


「バレてる、バレてる。そして、双子のネズミも起きとるやろ」


 アカツキはもう片方の柵に話しかけた。すると、ピッタリとくっついて並んで横になっている二人のネズミは起き上がると、笑った。


「おはよう、アカツキ」

「おはよう、アカツキ」


「さっさと起きたら、良かったやろ?」


 すると、その問いにジンが答えた。


「話の邪魔をしちゃ駄目だと思って……」


 双子のネズミはその言葉に頷き返していた。


「邪魔なわけないやろ。今の状況を考えなあかんのやから……」


「そうだね……確かに、この状況はやばいね……。リーダー達はいつ頃来るかな?」


 ジンの言葉に反応したのはゼノアだった。


「助けにくると思っているの?」


 その言葉に彼女以外の皆が笑った。


「当たり前。うちのリーダーは仲間を見捨てないからね」


 ジンは彼女に微笑んだ。しかし、その笑みを向けられた彼女は後ろに下がり距離を取った。その行動に皆が首を傾げた。


「……リーダーとやらはお前達に信頼されているのだな」


「当たり前やろ。僕らが認めたリーダーやで。それにしても、君はどうしたん?」


 後ろに下がった彼女の様子が気になったのでアカツキはそのまま問いかけた。


「……すまない。本能だ」


 その言葉にジン以外が納得した。

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