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開かない扉②

 ベッドに二人で並んで横になった。しかし、横になった所で眠たくはない。たくさん寝たからだろう。それはルイスも同様だった。先程までは眠たそうだったが、目が覚めたのか植物図鑑を読み始めていた。


「……ルイス」


「…………」


「ルイス」


 彼に声をかけているのに、返事を返してくれない。そのため、彼の邪魔にならないようにベッドから降りようとしたら、服の端を掴まれた。


「……どこに行くんだよ」


「えっ? あっ……私も本を探そうと思って……」


 この部屋には小さな本棚がある。植物図鑑から絵本まである。だけど、一度は目を通しているため、読む気にはならなかったのだ。だが、彼が相手をしてくれないので、私もとりあえずは本を探そうと考えたのだ。そうしないと、エメルの事や船の爆破について考えてしまう。


「…………俺と一緒に読めばいいだろう」


 そう言った彼は私に植物図鑑を手渡してきた。そのため、私は彼の横へと戻った。


 一方、その頃のシルルはヴィルグと合流していた。


「チビ達は良いのか?」


 ヴィルグはてっきり、シルルは幼い彼女達の側に付いているものだと思っていた。爆破された瞬間、なりふり構わず、走っていく後ろ姿を見たからだ。


「……大丈夫よ。今は寝ているわ……それに、扉には魔法をかけてきたから」


「……そうか」


 ヴィルグは扉の魔法については触れなかった。何となく予想はついているからだ。幼い子供達が部屋から出ないようにと変な輩を部屋に入らせないためのものだろうと。


「なあ、あんたは……ここに来るまでの間にエメルは見たか?」


「…………いいえ」


 二人の会話はそれで終わってしまった。だが、二人とも会話よりも爆破された船内を見る方に集中していたからだ。


 シルルはしゃがみ込み、爆破に使われたと思われる砕けていた石に触れた。


「……魔力が違うわ」


 その小さな呟きは彼の耳にもしっかりと届いていた。


「どう言う意味だ?」


 彼女は視線を彼に向けると、立ち上がった。


「……これに組み込まれた魔力が二つ。一つは爆破させたであろうエメルの魔力。もう一つは……知らない魔力」


 その言葉にぴくりと反応を見せたヴィルグは彼女に問いかけた。


「エメルの魔力? 奴の魔力がわかるのか?」


 その言葉に頷いて見せた彼女は言葉を続けた。


「彼から……微量に魔力が漏れていたわ。何かに魔力を注いでいたのでしょう」


「何か?」


「そうね……例えば、爆破に使われた魔道具?」


 目を見開いたヴィルグは彼女に詰め寄った。


「何故、すぐに言わない」


 突き刺さるような視線を向けられたシルルだが、そのまま冷たい視線を彼に返した。


「……魔力が漏れ出る事は可笑しなことではないからよ。少しでも魔力を持つものは動揺するだけで漏れでる事があるの。今の貴方のようにね」


「…………すまなかった」


 二人の間に沈黙が訪れた瞬間だった。サキの大きな声が響いた。


「リーダー!! やばい事が起きた!!」


 彼の表情はいつものような爽やかさなど全くなく、額に冷や汗を浮かべて焦っていた。その事にヴィルグは只事ではないと感じた。


「何が起きた?」


「そっ、それが……俺が少し部屋を離れている間に獣人が皆、獣化したみたい」


「はっ⁈」


 この船内にはアカツキやジン以外にも獣人が乗っている。サキが言うにはその獣人達が皆、獣化してしまったらしい。


「自分で獣化したのか?」


 その言葉にサキは首を横に振った。


「アカツキが言うには自分の意思に反して勝手に獣化してしまったって……」


「くそっ……」


 船の爆破に意思に反しての獣化。この船で一体に何が起きているのかとヴィルグは頭を抱えた。そんな彼の側で話を聞いていたシルルはすぐに部屋を飛び出した。


「えっ⁈ シルル姉さん⁈」


 サキは突然部屋から飛び出してきた彼女に驚いた。


「サキ、エルフを追いかけろ。多分チビ達のところだ。俺はアカツキ達の所へ向かう」


 彼はその言葉に頷くと、シルルの背中を追いかけた。そして、ヴィルグも同様にすぐにアカツキ達の元へと向かった。

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