表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
81/88

開かない扉

「んっ……」


 ゆっくりと瞼を上げた。すると、目の前にはスヤスヤと気持ちよさそうに眠るルイスがいた。


「あれ……?」


 瞼をさすりながら、ゆっくりと上体を起こした。


 何で、私は寝ていたんだろう? 首を傾げながら、未だに夢の中を行ったり来たりしている。


「…………シルルさんと話していた筈なのに……」


 そう呟くと、意識がはっきりとしていった。


「もしかして……シルルさんが……魔法でもかけた?」


 そう思ったのは、眠たくなかったのに、彼女と話しているうちに気がついたら寝ていたからだ。


「ルイス、ルイスも起きてよ」


 私はいまだに気持ちよく眠っている彼の身体を揺すった。すると、彼の瞼はゆっくりと開いた。


「…………っ?」


 だが、まだ意識がはっきりしていないのか、枕に顔を埋めた。


「ルイスも起きてよ」


「…………起きてる」


 その声は少し不機嫌で、彼はまだ寝ていたいようだった。


「ねえ、起きて」


「…………起きてる」


 普段寝起きが良い彼が珍しく、枕から顔を上げない。それだけ、魔法の効き目が良かったのかもしれない。


「…………」


 私はルイスを横目で見た後にそっと、ベッドから降りた。そして、すぐに扉まで近づいた。


「シルルさんがいないから……仕方がないよね」


 部屋の中には私とルイスだけでシルルの姿はなかった。そのため、彼女を探す名目で部屋の外に出ようとした。


「……? あれ? あれれ?」


 しかし、ドアノブを何度回しても扉が開かない。内側についている鍵を確認するが、鍵がかかっているわけではない。


「なっ、何で?」


 もしかしたら、忘れてしまっただけで押しドアではないのかもしれないと思い、引いてみるがびくともしない。


「何で開かないの?」


 私は急いでベッドに戻り、もう一度寝直しているルイスの身体を揺すった。


「ルイス! ルイス! 起きてよ!」


「……起きてる」


「起きてないよ! 目を開けて! 私を見て!」


 彼の耳元で叫ぶとやっと、こちらを見てくれた。だが、その瞼は今にも閉じそうだ。


「どうしたん……だよ?」


「部屋の扉が開かないの。外に出られないんだよ……」


「…………」


 ルイスはゆっくりと身体を起こした。そして、そのままベッドから降りると、扉の前に立った。

 そして、ドアノブを手で回した。


「……開かないな」


 ルイスが触っても開かないとなると、考えられるのは一つだけだ。


「魔法?」


 ルイスは大きな欠伸をすると、その言葉に頷いた。


「ふああああ〜。十中八九そうだろうな」


「シルルさんが魔法を施したってことだよね? 何のために?」


 私は首を傾げた。すると、それを横目で見ていた彼は私の頭を撫でた。


「…………俺たちが部屋から出ないようにするためだろ?」


「えっ? なっ、何で?」


「俺たちを危ないことに巻き込ませないため」


 その言葉に私は納得した。確かに、寝る前のことを思い出すと、眠りから覚めた私は部屋を飛び出して、エメルさんを探しに行きそうだ。彼女もそう考えたのだろう。だから、扉に魔法をかけたのだ。


「……シルルさん」


 もう一度、扉に触れた。だが、その手をルイスが掴んで、引っ張った。


「無理やり部屋から出るなよ」


「でっ、出ないよ! 魔法がかかってるんだよ」


「…………」


 本当に無理やり出るつもりはない。だが、魔法が偶々解けていたら、出ようと考えていただけだ。

 しかし、ルイスにはその気持ちが見透かされていたのだろう。額を指で軽く弾かれた。


「痛い!」


「…………ほら、扉から離れるぞ」


 そして、彼に引っ張られる形でベッドの上へと二人で戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ