作戦会議
「今回の作戦は獣人にも協力を仰ぎたい。よろしく頼む」
ヴィルグは獣人が関わった事件なので、本当は関わらせなくない。しかし、消えた獣人を見つけるためには彼らの協力は必須だ。そのため、彼は皆に頭を下げた。
「リーダー。頭を上げてよ〜。僕は作戦に絶対に参加するつもりだったんだから」
ジンが穏やかな声でヴィルグの側に来た。その手には獣化したアカツキを抱っこして。
「アカツキは絶対参加だね」
サキも側にやってきて、笑顔でそう言った。だが、そんな彼にアカツキは言葉を返す事ができなかった。何故なら、この部屋には女性がいるからだ。アカツキは挙動不審で周りを見渡しながら、ジンにくっついている。
「ジン! 絶対に僕を離すなよ!絶対にあかんからな!」
「あははは」
そんな彼の様子にサキは笑っていた。ジンは「わかった、わかった」と苦笑している。
「ヴィルグさん」
私達もヴィルグの側に行き、声をかけた。だが、ヴィルグはそれを制した。
「ニーナ達は不参加だ」
「なっ、何で⁈」
「何でだよ?」
私とルイスは不服そうに頬を膨らませたが、ヴィルグは「駄目だ」と言うだけだった。
「全く、当たり前だよ! 君たち二人に何かあったら、シルル姉さんも俺も悲しいからだよ!」
サキが側まできて、私達の前でしゃがみ込んで、そのまま頭を撫でてきた。
「「…………」」
私とルイスは顔を見合わした。私達も彼らに協力したかったが、子供の私達ではできる事はない。その事実に歯痒い気持ちになった。
「さて……これから、作戦を立てる」
「少し、待って」
シルルがヴィルグに話しかけた。
「私も参加するわ」
その言葉に彼は目を見開いて驚いていた。
「人ごとではない気がするから……」
シルルは私とルイスを見た。その様子を見たサキはにっこりと笑った。
「ねえ、リーダー。シルル姉さんがいれば、心強いよね?」
「…………確かにそうだが……」
ヴィルグは一瞬、考え込んだが、すぐに答えを出した。
「わかった。よろしく頼む」
そして、シルルも作戦に参加する事になった。
「獣人が消えたのは主に屋台のあたりだ。彼らしか感じられない香りがするそうだ」
「じゃあ、僕達が適任だね」
そう言った、ジンはアカツキを見た。すると、彼も頷いた。
「そうやね。確かに、僕達が適任や」
そして、ジンとアカツキをメインにした作戦を立て始めた。
「実行はいつにするの?」
ジンの言葉にヴィルグは「三日後だ」と答えた。すぐにでも実行するつもりではあるが、準備も必要だからだ。
「三日後か……」
エメルは少しだけ俯いた。当たり前だ。彼は自分の妹が心配で仕方がないのだから。
「すまない」
そんな彼にヴィルグは気づいて、頭を下げた。
「だが、これが最短だ。準備無くしては実行は不可能だ」
「それは……わかっている。わかっているんだ。皆さん、協力に感謝する」
エメルは周りを見渡して、深く頭を下げた。それを皆が頷き返して、準備に取り掛かった。
「ねえ、シルルさん」
話し終えた彼女に話しかけた。
「……どうしたの?」
「私達はお留守番?」
私達というのは、私とルイスの事だ。私の隣にはルイスも立っている。
「ええ、そうよ。貴方達が作戦に参加するのは危ないわ」
「そっか……。やっぱり、そうだよね……」
確かにそうなのだが、何もできないのはやっぱり歯痒い。そう思っていると、シルルが頭を撫でた。
「……じゃあ、ルイスと船で待っている間に……貴方達にお願いでもしましょうか?」
「えっ?」
「これは、ニーナとルイスにしか頼めない事よ……」
私とルイスにしか? 私とルイスは顔を見合わせた。
「耳を貸して……」
彼女のすぐ側まで二人で近づくいた。すると、彼女は私達の耳元に口を寄せて小さくお願い事を囁いた。
「……良いかしら?」
その言葉に私達は笑って頷いた。その様子を見たシルルはまた、私達の頭を優しく撫でたのだった。




