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すぴーどすた~☆ ~近衛学園初等部女子フットサル部~  作者: 四季 雅
第1章 ☆チーム結成編!☆
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☆③─4話 お嬢の恋路は苦難あり?


 そんなこんなで高級車によって運ばれる俺と雪姫。



 雪姫は窓から学校までの道のりを確認しているが、俺はやっぱり落ち着かないので教科書でテスト範囲を復習して気を紛らわせる。怖いお兄さん達に囲まれながらやる勉強ってなかなかスリリングな感じがして暗記がいつもより進む気がするなぁ……。とんでもない勉強法を発見してしまったものだ。



 俺が教科書を眺めていると、運転している一茂がソワソワしながら俺のことをチラチラ見てくる。なんだよ。



「あ~、アニキ。今いいっスか?」


「勉強で忙しい。話しかけるな」


「じゃあ降りてください」


「……話とは?」



 この車から叩き出されたら一巻の終わりなので素直に話を聞いておこう。絶対良い話じゃないだろうから無視したかったのに。


 期待なんてせずに切り出される話を待っていると、



「アニキって好きな女います?」


「急にどうした」


「いや、まぁ……」



 一茂はポリポリと頬を掻きながら、藪から棒にそんなことを聞いてくる。

 よく見れば後部座席に座っている克二と三郎もソワソワしていた。なんだこいつら。気持ち悪っ。



「他意はないんですよ? ただ、そこんとこどうなのかな~なんて」


「お前もしかして……」



 俺が怪しんでいると三人組は全員ギクリと体を揺らす。やっぱりそうか。お前……





「俺のこと、好きなのか?」


「違うわッ!!」




 興奮のあまりバシッとハンドル叩いてその拍子にプーっ! とクラクションが鳴った。うるせぇ!

 俺の反応に後ろ二人もガックリと肩を落とす。何を期待しての質問なんだよ……



「あー、アニキほら着いたぜ。ほら行った行った。後ろのお嬢さんも着きましたぜ」


「おう。助かった」


「あれ? いつの間に学校に……」



 一茂はさっきの会話をするんじゃなかったと頭をバリバリと掻きながら溜息をつく。


 雪姫はしっかりと窓から通学路を確認していたはずなのに学校が近づいていることにまったく気づいていなかった。明日の通学もダメそうじゃん……



「じゃあ、お嬢によろしく。あと、もう極道をタクシーに使わないでくださいね」


「安心しろ。さすがに俺も二度はごめんだ」



 さぁ。ここからは全力ダッシュだ、と走り出そうとすると。



「アニキ!」



 後部座席の窓が開いて三郎に呼び止められる。なんだよもう。



「テスト前に一本どうすか?」


「いらねーよ!!」



 差し向けられるタバコを叩いて俺は走り出した。





 そこからは高等部と初等部で違う俺と雪姫は別れる。ここからなら自分のクラスにいけるというので見送りはなしだ。(内心本当に大丈夫か、とも思ったが)



 俺はダッシュして教室に駆け込むと、──なんとかギリギリ朝のホームルーム前に間に合った。


 周りの生徒は息も絶え絶えになって入り込んできた俺のことを変な目で見てくる。これに関してはいつもと同じなのでスルー。


 今はただ間に合ったことを喜ぶべきだ。ふー。



 そこからは先生の話を聞いて、お待ちかねの一時間目が始まる。



 が、そこでとんでもない事態に気づいた。




(筆箱忘れた……!)




 考えられるうちの中で最悪の忘れ物をしてしまった。家か? それともヤクザの車の中か?


 マズイ……どうすれば……!



 俺があたふたと迷っていると、無情にも始業のチャイムが鳴り響く。


 やばい。テストが配られ始めてる。ちょ、ちょっと待ってくれ……!



 先生に「筆箱忘れました」なんて言うのはなんとなく恥ずかしい。周りからは心の中で「お前何しに学校来たんだよ」とかツッコまれそうで嫌だ。けれど、このままじゃテストを白紙で出すことになってしまう。



 かくなる上は、白戸か綾瀬にシャーペンでも借りるしかない。



 綾瀬は……ダメだ。もう集中モードに入ってしまっている。席も若干遠いので声を出せない今、借りることは不可能か。



 白戸、お前しかいない。

 俺は後ろの席の方を向いて手を振ったりして合図を送る。

 さすがのあいつもテストになると寝ていたりはしない。すぐに変な動きをしている俺のことに気づいた。


 ジェスチャーで「シャーペン貸してくれ」と救難信号を送る。出来る限り必死感を出して。

 もうすでにテスト用紙を配ろうとしている先生は不穏な目で見ていてこれなら筆箱忘れたと言ってしまった方が恥も少なかった気がするが……


 白戸は奇行に走る俺を見て若干引いていたが、どうやら俺の言わんとすることを察したのか、自分の筆箱からペンを取り出す。


 床の上を滑らせてそれを渡してきた。ナイスぅ!!



 ペンも手に入ったことで安心して用紙を受け取り、開始の合図と共にテストの解答に入る。


 それにしても白戸。いつもは嫌な奴だと思っていたが、本当に困っている時はなんだかんだ助けてくれる。ありがとな。これでなんとかテストを受けることが──




(ってこれ、ボールペンじゃねーか!!)




 ボールペンにだってシャーペンが入っていたりする物もあるのに、渡されたのは純粋な黒だけのボールペン。

 今こんなもん必要としてるわけねぇだろ……! もうテストは始まっている。こんなんでやれるわけ──






 桜庭楓はボールペンでテストを受けた


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