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すぴーどすた~☆ ~近衛学園初等部女子フットサル部~  作者: 四季 雅
第1章 ☆チーム結成編!☆
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☆②─14話 よそはよそ! うちはうち!



 朝8時。俺は目を覚ました。今日は土曜日で休みだからもう少し寝ていてもいいかなと思ったのだが……


(今日は凪と出かけるんだよな。グータラ寝てても良いことないし)


 俺はすぐに起き上がり1階のリビングに降りた。


「おはよう」



「かー君おはよー!」


「おっす楓」


「おにぃおはよー」


「なんだなんだ。全員起きてたのか」


 俺はいつも通り凪の横に座る。

 さっき挨拶した時に思ったが……なぜか俺と顔を合わせようとしてくれない。これから出かけるっていうのに素っ気ないなー。


「父さん。今日、凪と出かけるから」


「おー、そうか。気をつけろよー」


 父さんは新聞を読みながら返事をする。その反応からわかったけど凪は言ってなかったんだな。出かけること。


「それにしても出かけるにしたって今時、妹と遊ぶ奴がいるのかよ。なんか用事があるわけじゃねえんだろ?」


「別にいいでしょ。よそはよそ。うちはうち。お母さんもそう思うよね?」


 父さんがからかってきたが、凪がすぐにそれを否定する。

 その考えは良いと思うけど俺としても同年代と出かけたいという思いはある。高校生にもなって妹と遊ぶってなぁ……。


「私もなっちゃんと同じ考えかなー。家族の仲が良いのはとっても嬉しいことだもん」


「そうだよな。俺もそれ言おうと思ってたんだよ。さすが小春だ」


 母さんがぽわぽわとした口調で話す。父さんはすぐに賛成したがさっき違う意見出してたよな?


 父さんはとにかく母さんに弱いから意見を母さん寄りにコロコロ変える。

 俺と凪が父さんを叱ったりしても全然聞かないくせに母さんが叱るとすぐに反省するんだよな。母さんは滅多に怒ったりしない人だけど。



 俺は母さんが出してくれたトーストにハチミツをかけて食べる。


 これは完全に余談なんだが、基本的に桜庭家の朝は和食洋食どっちかなんて決まっていない。

 食パンが余っていたらそれを食べる、冷蔵庫に食材があったりご飯を炊いていたなら和食になったりする。

 そういうわけで和洋混合だから、4人全員に朝は和食洋食どっちが好きと分かれていたりする。俺と父さんは朝は和食派で凪と母さんは洋食派だ。ここでもハッキリと分かれるんだな俺たちは。


「ね。おにぃ、ちゃんとカッコイイ服着てよね。一緒に歩くんだから」


「カッコイイ服って言われてもなぁ」


 凪はチョコクリームをつけた食パンをパクパク食べながらチラッとこっちを見る。


 オシャレな奴ならそういうお願いも難なくこなせるんだろうけど、こちとら中学はサッカーばかりで高校はぼっち。そんなやつが期待に応えられるわけがない。いつもの普段着で遠慮なくレッツゴーするぞ。


「それより今日何するんだ? 何か買いたい物でもあるのか?」


「近所のショッピングモールに行こうと思ってるんだけど」


 ショッピングモールか。あそこなんでもあるもんな。それで良いと思うよ。となると昼食はフードコートかな。


「じゃあまた11時にな。あ、ほっぺにチョコクリームついてるぞ」


「じ、自分でとる! とるから!!」


 俺がまたクリームをティッシュで拭いてやろうかとしたら自分で拭いちゃった。何度もお兄ちゃんのお世話になるのは恥ずかしいのかね。

 別に膝の上に座るとかあーんとかそんな悶えるくらい恥ずかしいこと以外なら俺はしてあげてもいいんだけどな。こんな考え方もシスコンなのかな?




 俺は自室に戻ってノートを開く。11時までフットサルのことを考えようと思う。


 考えるのは戦術や選手のこと。


 いくらサッカーがちょっと上手くたってフットサルの世界ではまだまだなんだ。

 監督としての技量が選手の成長に追いつけないようなことがあってはならない。選手が不足なく力を出せるように、監督こそが選手以上に努力をしなければいけないのだ。


「凪が入るとしたら攻撃の手札が増える。本当に戦略が広がるよな。亜子と組ませるのも面白いな。いや、あえて守備的に使うのもアリか……?」


 フットサルは基本的にゴレイロ以外は全員攻撃に全員守備。

 前の試合ではわざとなゆちゃんに攻撃を制限させてフィニッシャーに据えたわけだけど普通はそんなことやろうとしてもあれだけあからさまにはしない。


 うちのチームの攻撃陣である舞依と亜子は揃って守備が下手だ。

 これもまだ経験不足ってのもあるが、そもそも守備を深く教えていないという面が大きい。


 亜子は運動神経が良いから無い経験をそれでカバーしている感じである程度食らいつけているのだが……



(舞依がなぁ……)



 来栖谷との数試合の中でわかったことだが舞依はスピード以外てんで弱い。


 ドリブルのことは前からわかっていたことだが、守備も下手とは思わなかった。舞依はすごく素直な性格だからフェイントにかかりまくるんだよな。

 それならまだいいけど一度見た、まったく同じフェイントにもかかったりするからいけない。舞依は攻撃特化しすぎというか、考えて動いたりするような細かな動きがとても苦手。


 こういうのはとにかく練習だったりもあるけど、一番は自分の中で何がいけなかったか、どうするべきなのかを考えることが重要なんだ。これに関しては舞依と話し合って詰めた方が良さそうだ。


「あとは守備が上手い選手がもう1人くらい欲しいな。宇津木となゆちゃんもよくやってくれているけど、来栖谷の菜穂ちゃんみたいに個人技がある選手相手には辛そうだ」


 来栖谷との試合では菜穂ちゃんの個人技にゴリ押しされる展開が多かった。それが実際に効いていた。


 組織的な守備になれば宇津木の感覚も良い。なゆちゃんの動きもとても良かった。

 だからボールを奪えたけど、1対1の連続になってしまえばすぐに崩壊した。こういうのには守備が強い、上手い選手というのが必要。



 言葉にしにくいけど……ディフェンスにだって色んな技術がある、それをたくさん知ってる選手。ディフェンスのスペシャリスト。


 もし、凪以外にもう一人入れるという話があるならそういう選手が欲しいな。



「あくまで理想を言えばだけどな」


 俺はノートに思いついた戦術や現状の課題などを書き留めておいた。


 すると気づけばもう10時45分。

 集中してるとすぐに時間が来る。準備しなきゃだ。遅れたら怒られる。行先がショッピングモールから天国に変わってしまう。



「あ、おにぃ。遅い」


「ちゃんと11時に出たのに遅いってお前な……」



 着替えて財布とスマホをポケットに入れ、外に出る。

 するとそこで凪が待っていた。待っていたのだが……



「なんか、気合い入ってるなぁ」


「そ、そう? 別に? 普通だけど?」



 白のブラウスに水色のデニムスカート。女の子らしいデザインであるブラウスに甘くなりすぎないようにデニムスカートをチョイスしたわけだ。


 「可愛い」を推すよりも「清楚」な感じを前に出すスタイル。

 こう言ったら語弊がありまくるけどまるで女の子が年上の彼氏と一緒にお出かけするために少しだけ背伸びをしてみたコーデ。


 しかも持ってるカバンも肩にかけることができる可愛らしいリボンがついたベージュ色のポーチ。

 たしかあれは凪のお気に入りの物で普段のお出かけには出てこないやつだ。それだけでも今回に力を入れていることがわかる。


 なぜ俺がこんなに服のことについて語るのか。


 別に詳しいわけじゃない。ただ単に昨日の夜に「凪は服を買うのかな?」とそのために女の子の服を色々調べた結果ほんのちょっとだけわかるようになったよってだけの話である。


 そうじゃなければこんな根暗陰キャが女子の服なんかを語ってたら完全にヤバイ奴だ。




「じゃあ……行こっか、おにぃ。で、デートに!」


「そうだな!……って、ちょっと待てい!!」




 凪はさぁ行こうと歩き出すが今の発言に兄のツッコミが入る。いや行けねぇよ!


「なに!? 今更行かないとか言うの!? 男に二言はないとか言ったじゃん!」


「さらっと昨日にはなかった情報を出しといてそれを言うな! なんでデートなんだよ!」


「おにぃは私とデートするの嫌なの!?」


「おにぃは妹とデートなんか普通はしないの!」


「よそはよそ! うちはうち!」


「うちヤバすぎるだろ……」


 とんでもねえな桜庭家。兄と妹がデートなんかしちゃうのかよ。


 でも、これは元々俺と凪がまた仲良くなるためのお出かけなんだよな。そう考えれば……デートと言うのもおかしくはないのか? うーむ。


 なんだか最近ロリコン疑惑が出るほどにロリとの交流があると思えば今度はシスコン疑惑が出るほどにシスターとの交流がすごいことになっている気がする。とうとう妹とデートか……。


「そうだな……。ここで嫌々言っても仕方ない。行くか。デートに」


「う、うん! 行こ、おにぃ!」


 って、おい! 腕に抱き着くなっ!!


 はぁ。もう最近の俺大丈夫なのかなぁ。人様の目に入れるにはキツイ人間になっているような気がするよ。




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