第89話:チンピラ
俺は身体が揺さぶられる感覚に襲われる。それによって少しずつ意識が覚醒していく中で聞き慣れた美しい美声が聞こえて来るのが分かった。
「び……や…ま! びゃく…さま! 起き…下さい!」
うるさいな。もう少し寝させて欲しい。
俺を起こそうとしている者にもう少し寝かせて欲しいことを伝える。
「後…五分」
そう言い覚醒仕掛けていた意識を二度寝する為に意識を手放そうとしたが、そこで俺を起こそうとしているものとは別の声が聞こえてくる。
「主! 起きろ! 夕食の時間だ! 」
意識が覚醒仕掛けているので先程よりもはっきりと聞こえて来た、その声は聞き慣れた凛とした声であった。
だが、俺は意識を手放した。
白夜が意識を手放してからティアーナとオリヴィアが必死になり白夜に声を掛けたり身体を揺さぶったりして、白夜を起こした。
白夜が起きたのは白夜が意識を手放して約十分後の事だった。
白夜が起きたのを確認してティアーナが疲れたように言う。
「やっと起きましたか」
「すまん。ティアーナ、オリヴィア。何か異常に眠かったんだよ」
オリヴィアが少し心配そうに言う。
「疲れていたのではないか?」
「そうかもな」
「確かにそうですね。実際に魔力を大量に消費しましたし」
「そうだな。という事でおやすみ」
俺はそう言い布団に潜り込もうとしたらティアーナとオリヴィアに止められる。
「白夜様! せめて夕食を終えてから寝て下さい!」
「そうだぞ。主」
「分かったよ」
俺は今頃になってセレーネとロゼが居ないことに気がつく。
「あれ? セレーネとロゼは?」
「セレーネとロゼちゃんでしたらスライムと一緒に近くの酒場で席を取ってもらってます」
んっ? スライム?
あっ! すっかり忘れてた! 影薄いなあいつ。
て言うか酒場かー。夕食って事は今夜だから絶対に誰かに絡まれそうだよな。と言うか既に絡まれていそう。
はぁー、行くのが面倒くさくなってきたな。でも、行くけど。もし、セレーネとロゼついでにスライムに何かあったらいけないし。
「そうか。じゃあ、その酒場に行くとするか」
俺はそう言いベッドから降りて部屋から出るために扉に向かう。
「分かりました」
「はっ」
ティアーナとオリヴィアは返事をして俺の後ろを着いてくる。
酒場の場所は分かっている。
まだ少し眠たいが、眠気に負けずに酒場に着くことが出来た。
酒場に着いてすぐに、ティアーナとロゼとスライムを探すとすぐに見つかった。
予想通りガラの悪い男二人に絡まれていた。
セレーネはガラの悪い男二人を睨み付けておりロゼはスライムを膝の上に乗せてギュッと抱きしめているのが見える。
セレーネとロゼとスライムを見た後に周りを見ると周りに居る人達は何事もないかのように食事をしている。
俺はセレーネ達に近ずきながら男二人を観察していると片方の男がロゼを下卑た目で見ていることに気付く。
あの男絶対にロリコンだろ。と言うか頭大丈夫か? いくらロゼが可愛いからって下卑た目で見るのはどうかと思う。
そんな事を思いながら、俺がある程度近付くとロゼが不意にこちらを向く。すると、ロゼが目を見開き急に立ち上がりトテトテと走って来る。
幸い男二人はセレーネの横にいた為に止められることは無かった。
だが、ロゼが抱きしめていたスライムは床に落ちてしまっていた。
ロゼはスライムに目もくれずにトテトテと走って来たので俺はロゼを優しく受け止め持ち上げる。
すると、スライムもこちらにポヨン、ポヨン、ポヨンと飛び跳ねながら向かって来て俺のすぐ近くまで来ると大きく飛び跳ねて俺の頭の上に乗る。
そんなやり取りを見ていた男二人は少し怒り気味に口を開く。
「何だてめぇー!」
「いや、それはこっちのセリフなんだけど」
「舐めてんのか!」
「はぁー」
面倒臭いな。と思いため息をついてしまった。それによって男二人の顔が怒りに染まる。
「ふざけんなよ!」
「てぇめー! 俺達を舐めてっと痛い目見るぞ!」
「はぁー。本当、面倒臭いので大人しくしてくれませんか?」
俺はそう言った瞬間に男二人に向けて殺気を放つ。
かなり強めに殺気を向けた為に男二人は気絶してしまう。
「大人しくしてくれたんですねありがとうございます」
俺はそう言う。
こちらの様子を伺っていた人達は何が起きたのか分からずにポカーンとしているようで、何人かは口が少し開いたまま固まっている。
セレーネ達が取っていた席の近くには男二人が気絶しているので、他に空いている席を探す。
幸い端っこの席が丁度、人数分空いているのを発見したので俺は空いている席に向かう。
セレーネはいつの間にか俺の後ろに居た。
俺が歩き出したことによってティアーナ達も歩き出す。
ポカーンとしている人達を気にせずに空いている席に座り何事も無かったかのように俺とロゼとスライム以外はメニュー表を見て今日の夕食を決め始める。
俺は勿論、おすすめを頼むつもりだ。
「白夜様は選ばないのですか?」
「俺はおすすめを頼むつもりだ」
「そうですか」
ティアーナはそう言いメニュー表を見始める。
ロゼは何を注文すればいいんだ?
俺は膝の上で大人しく座っているロゼに話しかける。
「なぁ、ロゼ」
ロゼが首を回して俺を見てくる。
「ロゼは何が食べたいんだ?」
すると、ロゼは前を向き置いてあるメニュー表をパラパラとめくって行く。
この店には一つの席に一つメニュー表が置かれている。
俺達が座っている席はカウンターの様になっているので、俺達は横並びに座っている。あっ、目の前は壁だ。断じて目の前にマスターとかがいる訳では無い。
ロゼがメニュー表をパラパラめくる姿は何か分からないけどとても可愛い。
少ししてロゼがパラパラめくる手を止めて指を刺す。
「これが、良いのか?」
ロゼはコクリと頷く。
どんな料理か分からないけどまぁ、いいか。
「ティアーナ。ロゼはこれが食べたいみたいだからよろしく」
「分かりました」
それから、少しして皆決まったようでティアーナが店員さん呼ぶ。
「すみません」
頼むものが決まっ頃にはポカーンとしていた人達も元に戻っている。
「お待たせしました。ご注文は如何なさいますか?」
ティアーナが店員さんに次々と注文して行く。
勿論、ロゼが選んだ食べ物も言っていると思う。
最後におすすめを頼んで終わった。
料理を注文してしばらく待つと料理が運ばれて来た。
「お待たせしました」
店員さんはそう言い料理を置いて行く。
俺の目の前にはやはり、何かのステーキが置かれる。
なんのステーキか聞いてみたところ、今回はオークのステーキでは無く何とハイオークのステーキらしい。
そして、ハイオークのステーキとは別に俺の目の前には鳥の丸焼きが置かれる。
この鳥の丸焼きはロゼが注文した料理らしい。俺はてっきりオリヴィアが注文したものだと思っていたが違ったらしい。
ティアーナはパン、スープ、サラダだけだ。
セレーネもティアーナと殆ど同じでただ、スープが違う種類というだけだった。
オリヴィアは何かのステーキとパン、スープ、サラダだ。
早速、ハイオークのステーキを食べようとしたのだが、かなり食べにくかったのでロゼを左隣のあえて空けていた席に移動させる。
勿論、鳥の丸焼きも横に移動させた。
すると、ロゼはナイフとフォークを持ってぎこち無いながらもナイフで鳥の丸焼きを切り分けてフォークで刺して口に運ぶ。
ロゼを見ると美味しそうに食べているのが分かる。
そして、俺もナイフとフォークを持ってハイオークのステーキをナイフで切り分けフォークで刺して口に運ぶ。
口の中に入れた瞬間にこれまで食べたオークのステーキよりも美味しいことが分かった。
味わいながらハイオークのステーキを食べる。
しばらくして、皆食べ終わったので店員さんを呼び代金を払ってから酒場を出た。
酒場を出た後、俺達は風呂を入りに行ってから宿屋に戻った。
特に何事もなかったが、あえて言うのだったら風呂上がりのティアーナ達を見た男達が俺に殺気を向けて来た事ぐらいだ。
後で知ったのだが、あの酒場は少し良い酒場だったらしい。
なのに何で、あんなガラの悪い男二人が居たのかは謎だ。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
ブックマークと評価していただけるととても嬉しいです。
唐突ですが、サブタイトルを変更したいと思います。変更するのはオークション〇 (〇〇編)だけです。
少しずつ変更して行きます。ペース的には二日に一つくらいの予定です。何分まだ考えていないので。
それと今回もオークション〇 (〇〇編)にしていますが、オークション編が終わるまではこれまでと同じようにしていきます。
かなりややこしくなると思いますがご了承下さい。
アドバイスなど、してくれると嬉しいので、アドバイスよろしくお願いします。他にも何かあれば遠慮無くどうぞ。
この作品に良さそうな作品名があれば教えて下さい。もしかすれば、その作品名にするかもしれませんご協力よろしくお願いします。
魔物の名前とかにあまり詳しくありません、なのでなんでもいいので教えてく貰えれば嬉しいです。
これからもこの作品をよろしくお願いします。




