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69 ドーナッツの穴

 ドーナッツの穴


 くすくすっと白い幽霊の女の子は楽しそうに笑った。


 ジラはそのスケールモデルを見て、この街はまるで巨大なお墓のような場所だと思った。(幽霊の暮らしている幽霊の街。それはよく考えればお墓でもおかしくないように思えた)

「あなたは昔からなにも変わらないね、ひまわり」

 とジラはいった。

「あなたはずいぶんと変わりましたね、ジラ。その髪の色も、瞳の色も、体つきも、それから名前も、なにもかもが変わりました」

 とひまわりはいった。(それからひまわりはずっと手に持っている透明な飲み物の入ったグラスを口に向けて一口だけそれを飲んだ。さっきからちょっとだけ気になっていたのだけど、そのたびにひまわりの口につけている薄いピンク色の口紅がその良透明なグラスにひまわりのくちびるの形に付着していた。その付着した口紅をひまわりは白い手袋のついた指でそっと拭っていた)

「まあ、いろいろとあったからね」ジラはいう。

「遺伝子もいじっていますね。あなたは私と一緒だったころ、『ピュア』だった。でも今はピュアではありません。主に身体能力に関わる部分だと思いますが、人の手を入れていますね。寿命も伸ばしているのですか?」

 ひまわりは言う。

「身体はいじっている。でも寿命は伸ばしてないよ。命を大切にしようと思うのなら、長生きがしたいと思っていたら、スパイだなんてそんな危ない仕事は最初からしていないよ」と(ようやく、小さく笑って)ジラはいった。

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