56 君がいて、私がいる。
君がいて、私がいる。
ジラはその場所にうずくまって体育座りの姿勢になると、そこで静かに泣き始めた。
……泣くつもりなんてなかったのに。
さっき、泣いてしまったからだろうか?
少し、涙もろくなってしまった気がする。
ジラは静かに泣いている。
一人で。(それはいつものことだった)
「かげろうに会いたい。あって、かげろうとお話がしたい」とジラは言った。
『そうですね。もうそろそろ幽霊竹田かげろうから、詳しいひまわり博士の研究や、幽霊や幽霊の街の情報を聞き出したいところです』みちびきがいう。
そういう意味じゃない、と言おうとしてジラはやめる。(言っても意味がないからだ)
でも、そんなジラの思いとは違って、ジラはなんとなく『もう私は、二度とかげろうとは再会できない』と思うようになっていた。
それはひかりについても同じだった。
あるいはまめまきについてもそうだった。
私はもう、きっと竹田かげろうとも、水玉ひかりとも、笹百合まめまきとも会うことはできない。
あのとき、『みんなと最初に出会ったとき、そのときが私とあの可愛らしい子供たちとの最初で最後の出会いの場所』だったのだと、ジラは思った。(理由はわからないけど、その思いは確信に近かった。考えれば考えるほど、そう思えるようになった)
「OK。よし。休憩終わり」
そう言って、泣きやんだジラは立ち上がった。
そのときには、もうジラはいつもの(笑顔の)任務成功率100パーセントの天才スパイ、マゼンタ・Q・ジラに戻っていた。




