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「よっと」

 塞がっていた丸い隠し扉を開けると、そこはひかりに聞いた通りの場所だった。

 幽霊の学校にある図書室の中だった。

 図書室の中にある『映像記憶保管室』と呼ばれている場所。(その名前をジラはひかりから教えてもらった)その床のところに、その秘密の抜け穴は続いていた。

 映像記憶保管室の中にはとてもたくさんのテレビがあった。(それもとても古い形をしたテレビだ)

 テレビはすべて真っ暗な画面をしていて、沈黙していた。

 ジラは隠し扉を閉じると(すると、本当にそこに扉なんてあるとわからないように、ぴったりとその丸い扉は床にはまった)

「ちょっと休憩」

 と壁に背を預けるようにして床の上に座り込んで、ジラはいう。(秘密の抜け穴は思っていた以上に、とても長い距離があった。この縦穴の中の梯子を上り下りする作業はジラでも少し疲れるくらいに大変な作業だった)

 世界は無音。

 薄暗い世界には、なんの音も聞こえてこない。 

「あの家をまめまきは一人で作ったのかな?」

 と少しして、ジラは言った。

『そうですね。間取りが一つしかない、簡単な構造の家でしたけど、小さな女の子一人でそのすべてを作るには、少し難しいと思えます』みちびきがいう。

「あの家は、きっと、地下に捨てられた迷子の子供たちの、ロストチャイルドたちの家なんだと思う」

 ジラは言う。

『ジラ。あなたが出会った、あの無数のロストチャイルドたちがあの家を作ったと考えているのですか?』みちびきはいう。

「うん。ロストチャイルドはきっと、幽霊ホロウの失敗作のことなんだと思う。あるいは、幽霊たちが、その最後にたどり着く姿。幽霊はただ単にその最後に活動を停止させるのではなくて、ロストチャイルド(迷子)になる。まるで成仏できないまま、この世界を彷徨っている悪霊のように」

『それは幽霊ホロウに心があるから、ですか?』

「あるいは、心と呼ばれているものの、似て非なるものがあるから、……なのかな?」

 ジラは天井を見つめている。

『そのロストチャイルドたちが幽霊ホロウであったときに作った家。それが笹百合まめまきの家であるとジラは思っているのですね』

「そうだと思う」

 ジラは言う。

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