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52 尻尾の生えた人間 こらポンコツ。ちゃんと動きなさい。

 尻尾の生えた人間


 こらポンコツ。ちゃんと動きなさい。


 ジラは薄暗い縦穴の中にある梯子をのぼって、上に上に向かって移動をしていた。

 その秘密の抜け穴の存在をジラに教えてくれたのは、ひかりだった。

 幽霊の学校で、友達の幽霊ホロウである竹田かげろうと三日月よぞら(よぞらの名前を聞いたのははじめてだったのだけど、ジラはおそらく一番最初にかげろうと一緒にいた幽霊ホロウの男の子だろうと推測した)と一緒に三人でかくれんぼをしているときに見つけた抜け穴らしい。(その抜け穴はおそらくひまわりが研究施設に用意した自分だけの秘密の通路だろうとジラは思った。ひまわりがやりそうなことだ)

 ひかりはその抜け穴(とても深い縦穴だった)を通って、地下の瓦礫の山のある場所にまでやってきた。

 そこでひかりはこの『空き家』を見つけた。

 誰かがこの場所に時間をかけて(瓦礫を材料として)作ったと思われる家。

 そこには誰かがこの場所で生活をしているような痕跡があった。

 ひかりはその誰かに会うためにたびたび一人でこの家を訪れた。でもその誰かと出会うことはどうしてもできなかった。

 なのでひかりは手紙を置いておくことにした。

 あなたに会いたい、と書いた手紙。

 その手紙は次にひかりがこの家に来たときにはなくなっていた。

 その代わりに新しい手紙がその場所には置いてあった。

 それはひかりに当てたこの家に住んでいる誰かの書いた手紙だった。(とてもうれしかった)

 そんな風にして、ひかりはその名前も知らない誰かと手紙のやりとりを始めた。

 手紙の内容はひかりの幽霊の学校での日常を書いたものだった。(それが知りたいと手紙に書いてあった)

 その誰かとひかりは友達になった。

 ひかりは自分の名前と自分が幽霊ホロウであることを手紙に書いて、その誰かに伝えた。

 でも、その誰かは自分の正体も、名前も、決してひかりに教えてはくれなかった。(ごめんなさいと手紙には書いてあった)

「その女の子の名前がまめまき。笹百合まめまきちゃん」

 とひかりは言った。

「うん。たぶんだけど、そうだと思う」

 とにっこりと笑ってジラは言った。

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