46 心の爆弾
心の爆弾
ちくたくと胸の奥で音がする。その胸の奥の爆弾はやがて爆発して、いつか私を粉々に吹き飛ばす。
ロストチャイルドたちが、ジラの周囲を包み込む。
それはやがて、黒い子供の形から、混ざり合い、溶け合って、やがて大きな黒い渦のような形に変わる。
その黒い渦がジラのことを包み込む。
すると瞬間、ジラの心の中に『とてもどす黒い感情が、湧き水のように』湧き出した。
そのどす黒い感情を久しぶりに感じて、ジラは……まずい。と思う。
やばい。やばい、やばい。
この感情はやばい。
この感情に心を支配されると、……『きっとたぶん、私はここで死ぬ』。こいつらに殺される。
……いや、そうじゃない。
……いつだって、『私を殺すのは、私自身の心』だった。
そんなずっと忘れていた久しぶりに出会った自分の子供時代の感情を思い出してジラは混乱する。
ジラは走り続けている。
こいつらから逃げるために。
でも、どこかで絶対に逃げ切れないと思っている自分もいる。
……『なぜなら、自分自身から逃げることは絶対にできないからだ』。
そのことをジラは強く、経験的に理解している。
やがて巨大なサイレンの音がジラの耳に聞こえてくるようになる。それはまるで今、この場所に空襲でも始まったかのような本当に激しい音のするサイレンの音だった。
そのサイレンの音はジラに『命の危機』を伝える音だ。
……私は今死にかけている。
私は今、死の淵にいる。
そんなことをジラは思う。
『こっちです。ジラさん。こっちに来てください』
そんな光る幽霊の女の子、笹百合まめまきそっくりな女の子の声が聞こえる。
その声だけが、その光り輝く姿だけが、今のジラを支えている。導いてくれる。
ジラはその声と姿だけを頼りに走る。
まめまきのところに。
あの、この黒い渦の中で唯一、光り輝いてる場所に向かって。




