41 白黒の都市の風景
誰かじゃない。他人じゃない。あなた(君)が決めるんだよ。君自身が決めるんだ。そのための心じゃないか。……そのための命じゃないか。
白黒の都市の風景
晩餐会と白黒の街
窓の外ではとても激しい雨が降っている。
……本当に、とても強い雨だ。
そんな雨降りの空を、黒いミニスカートのパーティードレスに身を包んだマゼンタ・Q・ジラは、一人で、壁一面に広がる大きなガラス窓のそばに立って、ずっと、……ただ、ぼんやりと眺めていた。
ジラは、雨があまり好きではなかった。
……悲しいことをたくさん、思い出すからだ。
ジラのいる豪華な装飾や家具の並べられた大きな部屋には、ジラ一人しかいない。ジラはここで、次の仕事の契約をするために、これから会う約束をしている人を待っていた。
とても大きな権力を持っている人物だ。
ジラのいる部屋の通路を挟んで隣のホールでは、晩餐会が開かれている。この巨大な白黒の街のあらゆる権力や人脈、お金を握っている、いわゆる上流階級と呼ばれる人たちが、そこでは今、また新しい悪巧みをするために、パーティーを開催しているのだ。選挙も近いので、票集めのような、そんな理由もあるのかもしれない。
ジラはマゼンタ色のふわふわの髪の毛を、いつものようにポニーテールの髪型にしていた。耳元には星と月のイヤリングをしている。仕事中ではないので、相棒の人工知能、みちびきは、今はここにはいない。これは『本当に普通』のイヤリングだった。
ジラの見ている街の風景はあらゆるものが白黒だった。
この街に『色はない』。
色彩は存在していないのだ。(少なくともジラの瞳にはそう見えたし、ジラの心はそう思った)
ジラは黒いミニスカートのパーティードレスのほかにも、手には白い手袋、足元には黒のストッキングを履いている。足元はガラスのハイヒール。そして、その右手には、いつものように仕事用の特殊な秘密道具を持っているのではなくて、今日は黒い小さなブランド品のバックを持っていた。
「……雨、やまないかな?」
そんな風にため息をついて、ジラが言ったときだった。
誰かがジラのいる大きな部屋に近づいてくる気配を感じた。(ドア越しでも、あるいは壁越しでも、ジラにはその気配が確かにわかった)




