27
かげろうはひかりの横にひかりと同じように体育座りをして座った。(その前にかげろうはひかりに「ちょっとだけ待ってね。ひかりちゃん」と言ってから、自分の隣の部屋にあるよぞらの部屋のドアをノックしてみたのだけど、よぞらはなぜかこんなに遅い時間なのに、まだ自分の部屋にいないようだった)
「なにがあったの? ひかりちゃん」
にっこりと笑ってかげろうは言った。
「うん。あのね……」
そう言ってひかりは自分の身に起こったことをかげろうに話し始めた。二人の幽霊たちはその小さな手をぎゅっとお互いにつないでいる。怖い話をするときはいつもこんな風にして、かげろうはひかりと話をしていた。かげろうは頼りない幽霊なのだけど、今朝のよぞらのように、あるいは今夜のひかりのように、かげろうはよく友達の、この世界にたった三人しかい幽霊たちから、こうして(かげろうくん。かげろうちゃん。僕の、私の)話を聞いて、……と言ってもらうことが多かった。(かげろうは勉強や運動などの学校の授業ではあまり二人の役に立てなかったから、こうして友達の二人に話を聞いて、と言ってもられることはなんだか自分が必要にされているみたいで嬉しかった)
ひかりの話は今日の特別授業のことだった。
かげろうとよぞらがテストの成績が悪かったため(かげろうはいつも通り、よぞらはいつもよりも点数が下がったため)ひまわり先生のお仕置きを受けている間(今日のお仕置きの電磁鞭での百叩きが、いつものようにすごく痛かったことを思い出して、かげろうはその顔をしかめた)成績の良かったひかりはひまわり先生の言いつけ通り、映像保管室(通称、記憶の間)である映像を見て、その感想をひまわり先生に伝えること、と言う特別授業を受けていた。
そのひかりの受けた特別授業とは、『人類の暴力と戦争の記録』を見ることだった。
ひかりはたくさんのテレビに囲まれた薄暗い映像保管室の中で、その人類の暴力と戦争の記録を、かげろうとよぞらが地下で百叩きのお仕置きを受けている間、ずっと一人で見ていたらしい。
それは、ひかりの『生まれたての純粋な心』を無茶苦茶に破壊するのに、十分すぎるくらい、刺激的で残酷な映像の洪水だったらしい……。
かげろうはその話を聞いて、ぶるっとその背筋を震わせた。(ひかりはぎゅっとかげろうの手を握った)




