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05


 さて、一体なんと言えばいいのか、寮を焼け出されてここまで避難してきました全裸で、とでも言えと?

 とか思いながらやってきた商家のおじさん、アンドレイおじさんを迎えたわけだが。

 ちなみに、このアンドレイおじさんだが、これは愛称で本名アンドウ・レイさんである。

 最初聞いたとき日本人かよ!と思ったわけだがアンドウが名前でレイが姓らしいと聞いてそれはそれで色々と微妙な気分になったものだ。

 なんか機動兵器のパイロットみたいだとか名前がアンドウって、とか愛称のが名前より長くないか、とか色々と。

 ちなみに、営んでる商会の名前はレイ商会という、どうでもいい話か。

 それはそうと、現状に至る説明をどう言ったものかと悩んでいたのだが、正直当事者である俺よりもおじさんの方が事情に詳しかった。

 よって俺は、逆に説明を受ける立場になっていた。

 大変だったね、という心底同情した声を掛けられてから始まったおじさんの話はこうだ。


 学園の小学部一年用の寮の一棟が授業時間中、内部に殆ど人が居ない中で上層部が丸ごと吹き飛ぶ大爆発を起した。

 起したとは言ったが実際には内部ではなく外部からのなんらかの魔法行使によるものではないかとの事。

 犯人は不明、複数の反社会、反王政勢力の関与が噂されるが学園のそれも人が居ない状態の寮を狙う意図がわからず、その為に広義の意味で該当するものが多すぎて特定が出来ない、というか変に捜査の進みが遅く感じられるとの事。

 授業は当日以降中断し、被災した寮の生徒は空きがある他の寮で一時的に預かっているらしいとの事。

 犯人の目星も意図もつかめない状態であり学園は事態が落ち着くまで全ての寮生の外出を制限。

 しかし、学園の対応は混乱しており鎮静化はいつになるか不明で、尚且つどういう経緯か校長が更迭されたらしく当日以降その姿を見た者がいない。

 そして、それにもかかわらず後任の校長は就任せず、そのため更に混乱に収集がつかないとの事。

 この事態を受けた保護者達の動向も王国各地からの出身者ばかりの為に当分わからず、説明もままならない。

 被災した寮も再建するかどうかも現状では検討すらできる段階にないのではないかとの事。

 様々な事柄が落ち着くまでは当分は学園での授業は行われない、というか混乱が酷く授業どころじゃないので当分の間は俺はここに居た方がよさそうとの事。

 

 以上がおじさんからの説明なんだが、いや、いやいやいや、なんだこれ。

 火事かと思ったら何某かのテロ的な何かかもしれなくて犯人不明とな?

 つか、該当する反体制組織が多いって何だよ、そんなに居るの?

 っつーか校長、校長が更迭されたってどういうことよ?

 当日以降姿を見た者が居ないとか何それ、なんか責任取らされたの?

 犯人、ってかちゃんとした原因がはっきりしてない段階で校長にいきなり責任取らせたの?

 それも相俟って対応に混乱がって学園って馬鹿なのか、いや学園の上の組織が馬鹿なのか?

 色々と言いたいことがあるんだが、よくもまあ俺無事だったよねこんなのの渦中にいて。

 そう言った俺に何かおじさんが微妙な顔になった。

 うわ、嫌な予感、と身構えた俺に更なる事実が告げられる。


 ちなみに、犠牲者はゼロで怪我人すらいないらしい。

 しかし、当初は一人行方不明者が居て当時その被災した寮の一室に居たことが判明して生存が絶望視されていたらしい。

 後日、その生徒は生存が確認されたらしく犠牲者、行方不明者は幸運なことにゼロになったらしいが。

 

 俺のことである。


 また悪目立ちかよチクショォォォォォォ!

 コレどういうことだよ、授業時間中に寮が大爆発して渦中に居た唯一の人間っておま、しかも現場から離れた場所にて発見されるとか、これは犯人扱いされても仕方ないんですけど。

 うわあ、うわあ、またやっちまったよ勘弁してくれよ。

 そう思って頭を抱えるが、おじさん曰く犯人扱いはされていないらしい。

 なんでも、現場の様子から外側からの力の行使であること。

 そうでなくてもこの世界に『自分で魔法を行使できない奴』が今回ほどの規模の爆発を起すことができる道具がそうそうない、日用品にはまず存在しない、為に嫌疑はかかってないとの事。

 はあ、珍しくこの体質が役に立ったというべきなのか、こんな体質じゃなきゃそもあの場に居合わせることもなかっただろうから逆だと言うべきなのか。

 ほっと胸をなでおろす俺だったが、しかしそうは証明されてもですよ、結局今回の事で更に学園内で悪目立ちしたのは間違いないよなあ、と暗澹たる気分になった。

 俺のそんな状況を既に打ち明けているので知っているおじさんは慰めてくれるが、この人は『村』の面々の変な所も知っていてなまじっか変な理解があるので時々変なキラーパスが入る。

 今回も、慰めつつさり気に、実は寝てる間に可燃性の何某かの物質を放出したり爆発させる秘儀が『村』にあるわけじゃないよね?とか聞いて来やがるし。

 ねーよ!なんだよその体質は、可燃性の物質だの魔素だのを出す秘儀とか、元となる知識少ないからアレだが聞いた事ねーよ。

 可燃性ミリオンアンディ君ってか、なんだよその思春期拗らせたヤンデレに鐘楼ごと燃やされそうな名前は、いや元々その坊主に似た響きの愛称ですけれども。

 くっそ、何代か前の村長に続き王都で爆発騒ぎを起した二人目みたいな扱いは止めてくれないかなぁ!?

 俺は間違いなく被害者、色んな意味で被害者ですよーチクショウ。

 

 そんなやり取りをしつつも、とりあえずは学園が落ち着いて授業が再開、というか寮の再建や別の部屋が宛がわれるまではこの別宅を使用していいと言われた。

 というか、学園もなんか今回の事で色々と負い目やら負債を背負ったし、それに託けてこのまま寮じゃなくてここに済んだらどうか、多分要請すれば通るんじゃないかな、と言われた。

 なんだろうね、多分善意で言ってんだろうけど、なんか危険物を出来るだけ隔離しておきたい的な発言に聞えるのは気のせいか。

 続けて、なんだったらもう学園なんて通わなくていいんじゃないかな、とか言い出すし。

 更に続けて、生活費とかは既に君の口座に大量に振り込まれ続けてるし、既に十年ぐらい普通に生活できる額が、って何それ聞いてないんですけど!?

 なんかすっごい聞き捨てならない台詞が、王都来てから金を使うことがなかったから口座確認してなかったけどどういうことよ。

 そう思い聞いてみると、なんでも毎月村の行商の商品に紛れて俺への仕送り用に売却する品がここ半年継続して存在すると。

 なんでも今までの商品に比べて色々と手が込んだ品で一品物だから高値が付くと。

 普通に現時点で使いきれない額がある村の面々の口座からではなく、何故にわざわざ手間をかけて専用の商品を?と村長に聞いたところ。

 余剰作物やら数打ち物を売った金では真心が足りない、とか言う頭の痛い回答が返ってきたらしい。

 何か俺が王都行くときの餞別にも似たようなこと言ってなかったかあの人ら。

 で、その売却益を毎回振り込むのもおじさんの仕事になってて、なんか既に頭の痛い金額になってる上に俺が全然使ってない、っていうか寮住まいで使う機会なんてそりゃないだろうから気付いてない可能性も考えてそろそろ言おうと思っていたと。

 お、おおう、なんてこった、勘弁してほしい。

 なんでこうも善意のプレッシャー掛けてくるのか村の皆様、ありがたすぎてシンドイです。

 て、手紙で必要ない旨を伝えねば、こうやんわりと、と思ったんだがおじさんから笑顔で止められた。

 え、凄く良い品で流通止めたくないからやめて欲しい?

 えっ、今まで口止めされてたから『村』の面々に俺の現状を黙ってたんだからその位はお願いできないかって、アッハイ、わかりました。

 え、既に村の面々はお金に頓着するような状況にないから、基本町とのやりとりなんて廃品を勿体無いから持ってきてる程度の認識だからむしろ金をじゃんじゃん使えって、いやあの。

 儲けさせて貰ってる手前、今まで言わなかったが、というか『村』の人達に言っても理解してもらえなかったが、もうこれ以上殆ど使わない金を銀行の口座に振り込むのに商売人として耐えられない、って、うう、スイマセン。

 いや、でも、だから使えって、もう何もしなくて遊んで暮らしてもいいから使えって、いやいやいやいや。

 そ、それならおじさんの方で商売に役立て、え、十分儲けてるからいらないって。

 もう十分以上に儲けさせて貰ってる上にこれ以上融資を受けるとか堕落したくない、って貴方が今俺に言ってる事がそういう話なんですけどぉ!

 駄目だ、凄いまともだと思ってたけどこの人も『村』の変なとこが絡むと変な人だ。

 いやいやいや、自分で遊ぶ金は自分でバイトなりなんなりして稼ぎますから!

 学園通わなくてもそれぐらいは、それぐらいは自分で賄いますからぁ!

 

 必死の説得もあってかおじさんには納得いただきました。

 まあそう言うだろうとは思ってたんだけどね、とか言って苦笑してるけど、アンタ全力で俺の遊び人生活を推して来たじゃないですか。

 この人もなんか違うベクトルで油断ならないという事に気がついて冷や汗が流れる。

 下手に言う通りにしてると間違いなく不労所得の遊び人としての人生を歩まされかねん。

 いや、凄い魅力的な話ではあるが、本当に魅力的な話ではあるが、まだ俺はそんな心境になるほどには変な悟りは啓いてないから勘弁していただきたい。

 こりゃ何かこの歳でも出来るバイトでも探して、自分の遊興費ぐらいは稼がないとあっという間に堕落しかねん。

 俺はバイトを探そうと、密かに決意するのだった。


 


 


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