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アイリスレポート

今回は、一部分で特定人物の視点で書かれています。

 初めまして、レヴォルティオン帝国臣民のアイリス・クレインです。 


 両親と死に別れ、祖父母に捨てられたわたしは、反帝国を掲げるテロリスト「明けの革命戦線」に参加していました。

 今にして思えば、随分短絡的な行動ですが、帝国へのやり場のない怒りを持て余し、そして当時生きていくには形振り構っていられなかったのが本音です。


 そんなわたしですが、紆余曲折を経て帝国第一皇女、ヴィルヘルミナ・エルザ・フォン・ハイゼンベルグ様の、侍女見習いになることとなりました。


 今日は、わたしの主人であり友人である皇女様のある一日をご紹介いたします。


*******************


 姫様の朝は早い。


 その日にある授業の予習をするため、朝の五時には起きて身支度を整えたら、机に向かっています。

 もちろん、彼女の身支度を手伝う為、わたしは、もう少し早くに起きます・・・・・・・・・凄く、眠いです。


 二時間ほどすると予習が終わり、朝食を取るため姫様が下へ降りてきます。

 わたしも関わりのある先の事件で、姫様に仕えていた侍女や女中たちが全員殺されたため、補充要員が来るまでの間、今はわたしとアルバート城で侍女として働いていたベテランのおばさんたち――全員、それなりの名家の婦人だとか――の三人。計四人で、作業を分担してします。


 とはいえわたしは、今も修行中の身であるので、おばさんたちに怒られながら仕事を覚えています。


「では、行ってまいります」

「行ってきます」


 登校時間になり、姫様とわたしは学校へと行きます。


 本来なら、侍女として覚えるべきことが山積みのわたしですが、姫様の秘書をしているアンナさんの計らいで、アイディール学園の中等部に編入させて頂きました。

 なので今は、昼間学校へ行って勉強し、帰ってからは侍女としての仕事をやっています。

 久しぶりの学校生活に戸惑うこともありましたが、何とか頑張っています。


 わたしの話は置いておいて・・・・・。


 学校へ登校するのはわたしたちだけでなく、姫様の騎士である、フローラさんとペトラさんも一緒です。


 お二人は本来、帝国軍の軍人さんらしいのですが、わたしの中にある怖い軍人さんのイメージとは正反対。

 お二人は仲良しで頼りがいのある優しいお姉さんたちです。


「フローラ!後生だから、宿題を写させてくれ!!今日、持っていかなければ、私の命が終わってしまう!!」

「嫌よ。大体、私たちの宿題の量なんて、姫様に比べれば少ないんだから。自分でどうにかしなさいって」

「くそっ・・・・・こうなったら、フレミー殿に頼むしかない!」

「やめなさい!フレミー殿に迷惑でしょ!!」


 ・・・・・・・・な、仲良しで・・・頼りがいのあるお姉さんたちです。


「それじゃ、アイリス。またあとでね」

「アイリス。しっかり、勉強しろよ!」

「・・・・・・彼女も、貴女だけには言われたくないと思うわよ」

 わたしと姫様たちは、校門で別れます。

 姫様はわたしと同い年ですが、飛び級して高等部の三年に在籍しています。


 年上の人たちと一緒に授業を受けるというのはどういう感じなのか、わたしには想像出来ませんが、主であり、友人でもある姫様は凄い!と敬服します。


 お昼。

 姫様はいつも、昼食を中庭で取っています。


 その理由は・・・・・


「はい!沢山あるから、一杯食べてね」


 ルーン王国王女、フェリシア様が毎日お弁当を作ってくるのです! 

 相伴を与るのは、姫様を始め、クレスト連邦の王女アリエル様、高等部の生徒会長クレア様、フェリシア様の騎士のフレミーさん、ペトラさんにフローラさん、騎士さんたちの後輩であるプリエさん。


 一部の人間からは、”花園”などと言われているそうです。

 

 最近、姫様はフェリシア様の影響からか、料理に興味を持ってるようです・・・・・わたしも、頑張らないと。



 放課後、姫様は真っ直ぐ帰宅する場合と、寄り道される場合とあります。


 わたしも、たまに寄り道について行ったりしますが、行く先々で姫様には初体験なことばかりの様で、終始驚いてばかりです。



 自宅へ帰ってくると、姫様は今日の授業の復習を始めます。


 周りからは天才と言われる姫様ですが、努力を怠りません。アンナさんの話では、もう何年もそうだと言うことです。


 復習を終え、夕食を取り終わった姫様は、就寝支度を整えて早い時間にベッドへ入ります。


 早寝早起き・・・・・姫様は、いつも規則正しい生活を心がけているのです。


 そしてまた、新しい一日が始まります。



 駆け足で姫様の生活をご紹介しましたが、いかがだったでしょうか?


 一部の方に悪い方向へ誤解されている姫様ですか、少しでも本当の姿を皆さんに知っていただければ、家臣として友人として嬉しいです。


 では、またの機会に。


***************


「こ、これは・・・・・・・・・・・・・・・・」


 映像が終わり、ヴィルヘルミナは茫然と画面を見つめて呟く。


「アイリスちゃんから、ヴィーの本当の良さを皆に知ってもらいたいって相談を受けてね。みんなで協力して作ったの」

「ミーナさんに~気が付かれないように~・・・するのは~・・大変でした~」


 フェリシアとアリエルが「大変だったね」と言い合う。

 ちなみに、映像を取った超小型好感度カメラは昊斗そらとたちが提供している。


「構内の映像は、姉様たちやペトラたちがお撮りになったのは分かりましたが・・・教室の、しかも事業風景は・・・・」

「それは、ヴィーのクラスメイトの方々に頼んだの。皆さん、大喜びで協力してくれたよ」


 テロ事件以降、性格が百八十度変わったヴィルヘルミナに、当初クラスメイトは戸惑ったが、今までの行いを正すように、直向きに頑張る年下のヴィルヘルミナの姿に、いつしかクラスメイトたちの中には父性と母性に似た感覚が芽生えていた。


 今回の撮影に対して、彼らは頑張る娘の姿を撮る父親・母親の心境だったのは言うまでもない。


「そ、そうだったのですか・・・・・ですが、これではわたくしのプライベートが白日の下に・・・アイリス、こういう事は事前に一言相談が欲しかったわ」

 自分の為と言うことは理解したヴィルヘルミナだったが、さすがにこれは困ると難色を示した。

 先の誘拐事件のことも考えると、この映像を公開するのは危険だった。


「ごめん・・・ミーナ」

 アイリスはただ、周囲が持つヴィルヘルミナへの誤解を解きたかっただけで、他意は無かった。だが、ヴィルヘルミナの反応を見て、アイリスは余計なことをした、と俯く。


「ア、アイリス、落ち込まないで。確かに方法は賛同できないけど、あなたの気持ちは嬉しかったわ。ありがとう」

 俯くアイリスの肩に手を置くヴィルヘルミナ。


「でも~・・・せっかく作ったのに~このままにするのは~・・・勿体ないですね~・・・・・そうだ~!ライナルト様とディートハルト様へ送っては~・・・いかがでしょう~?」

「えぇ?!」

 アリエルの提案に、ヴィルヘルミナが飛び上がる。

「いいですね!!お二人も、ヴィーがルーン王国でどんな生活をしているか、気にされているでしょうし」


 他人に見せる訳にいかないが、身内ならOKでしょ!とフェリシアも賛同する。


「兄様たちに、お見せするのですか?!・・・・・」

 兄たちに先ほどの映像を見られることを想像し、恥ずかしさで顔を真っ赤にするヴィルヘルミナ。


 結局、ヴィルヘルミナの抵抗も空しく、映像は帝国に居る二人の兄たちの下へと送られた。



 その後、映像を見た兄たちからヴィルヘルミナに手紙が届いた。

 元気そうで安心した、と書かれていた手紙に、ヴィルヘルミナは笑みを溢していた。


 そして、なぜかペトラにも第二皇子のディートハルトから手紙が送られてきた。


 それを見たペトラが、顔を引き攣らせて真っ青になっていたのを見かけ、アイリスは首を傾げるのだった。


 話の中の映像は、フェリシアたちがアルターレ護国に出発する前に撮影され、帰ってきた頃に編集が完成しました。



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