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ウソをついたら・・・・・・・

今日は、何の日?~♪

「トーカ!妾は、お菓子が嫌いなのじゃ!」

「え?」


 アルバート城からやってきたル−ルーが、開口一番そんなことを言い出し、冬華とうかは少々困惑する。


「じゃから、妾はお菓子が嫌いになったのじゃ!!」

 と、言いつつ彼女の視線は冬華とうかが作っているアップルパイに注がれ、何かを期待するように冬華とうかへと向かう。



「そっか・・・・・なら仕方ないね。ルーちゃんのために、焼こうと思ってたんだけどな」


 冬華とうかは、「残念・・・・」と言いながら作りかけのアップルパイを創神器ディバイスへ保管し、道具を片づけを始めた。


「!?ま、待つのじゃトーカ!妾は、”嘘”を言っておるのじゃぞ!なのに、なぜじゃ?!」

 思っていた展開とは違ったらしく、ルールーが慌てて冬華とうかにすがり付く。

「ルドラ・・・・・前にトウカさんから「嘘をついたらいけない。嘘をつく子にお菓子はあげない」って言われたじゃないか。忘れたの?」

 ルールーに「今からいいことがある」と言われ、後ろで様子を見ていたカグが苦言を呈する。

「じゃ、じゃが今日は”嘘をついたら、お菓子がもらえる日”と、フェリシアが言っておったのじゃぞ!これでは、話が違うではないか?!・・・・うわぁぁぁーーーん!!」

「・・・・・・・はい?」


「色々とごっちゃになってるな、それ」

 台所での一件を聞き、昊斗そらとたちが渋い顔をする。

 

 泣きながら説明するルールーの話しでは要領を得ず、情報元のフェリシアに聞こうと思ったが、すでに学校へ行っている時間なので、仕方なく比較的捉まりやすいフォルトに通信を入れ、話を聞いた。


 彼の話では、元はアルターレ護国で行われている行事らしく、日ごろ嘘をつくことを良しとしない巫女たちの息抜きとして、初代賢人が作った行事だと言う。

 当初、嘘をつくのに抵抗のあった巫女たちの後ろめたさを解消し、気持ちよく嘘をついてもらうために「嘘をついたらお菓子がもらえる」というのが、追加されたそうだ。

 その後、各国に派遣される祭事巫女が、派遣先の国に広めていき、ルーン王国でも、マーナが祭事巫女として派遣された頃から始まった、と言うことだ。


 今では、子供のためのお祭りのようなもので、大人たちはと言うと、お菓子店が今日のために趣向を凝らした限定商品を出したりするので、そちらを毎年楽しみにしているのだという。



「実は、今年になってやっと、息子のアルトが嘘をついたんだ。最初は、「パパ、きらい」って言われて僕も死ぬほど落ち込んだけど、「パパ・・・・・うそ」って服の袖を掴んできてね・・・・・もうそれはそれは可愛かったんだぁ!」


 と息子自慢を始めたフォルトだが、副官のアルフレットが空気を読んで「すみません、長くなるので」と昊斗そらとたちに頭を下げながら通信球を切ったのだった。



「つまり、エイプリル・フールとハロウィンが、一緒になってるということですね」

「そういや、初代賢人の覚書に、そんなこと書いてあったな」

 昊斗そらとたちはこの行事を作った初代賢人の覚書を、グラン・バースの共用語に翻訳(改訳?)しており、内容的にあまり思い出したくないものばかりだったので、忘れていた。


「こんにちは〜!お兄ちゃんたち、今日はヒドイ雨だね。ミユ、ずぶ濡れだよ」

 ルールーに遅れて、祭事巫女のミユがやってきた。


 全員が窓の外を見るが、日差しが降り注ぐ快晴。ずぶ濡れといいながら、ミユの巫女装束は一つも濡れていなかった。


「もしかして、ミユちゃんもお菓子をもらいに来たのかな?」

「うん!・・・・あれ?お兄ちゃんもお姉ちゃんたちも知らないの?今日は嘘をついたらお菓子がもらえる日なんだよ!・・・・ホントに、知らない?」


 昊斗そらとたちの反応を見て、ミユが「おかしいな」、と首をかしげる。


「・・・・仕方ない、作りかけのアップルパイ。焼いてくるから、待ってて」

 冬華とうかは、エプロンを着なおすと、台所へと消えていった。

 聞きなれないお菓子の名前に、ミユが目を輝かせる中、ルールーがソファーの上で不貞腐れていた。


「む〜・・・・なぜ妾は怒られて、巫女の娘は怒られないのじゃ!納得できん!!」

「ルドラのタイミングが悪かったんだよ。きっと」


 そんなルールーも、最終的に冬華とうかの焼いたアップルパイを食べて機嫌を取り戻していた。



 時刻は昼を過ぎ、そして午後。

 学生たちが、帰宅する時間となった。


 午前中の喧騒が嘘のように静かなベースの扉が、乱暴に開けられる。


「ソラトさん、トーカさん!!」

 血相を変えたフェリシアが、ヴィルヘルミナを抱き寄せて庇うように入ってきた。


 その後ろには、アリエルが同じようにアイリスを心配するように抱きしめて入ってくる。


「ど、どうした?!」

 只ならぬ雰囲気に、昊斗そらとたちの顔つきが変わる。

「お、お兄様・・・わたくし・・・・・・」

 自分の体を抱きしめ、カタカタと震えるヴィルヘルミナ。

 後ろに居るアイリスからは、すすり泣く声が聞こえる。

 よく見ると、二人の制服が所々着崩れていた。


「姫!!」

 そんな中、遅れてペトラが部屋に飛び込んでくる。

 部屋の中の光景を目の当たりにし、絶句するペトラだったが、血が滲まん限りに拳を握り締める。


「・・・・・・・・・今すぐ、姫たちに不貞を働いたモノどもを始末してきます。栄光あるレヴォルツィオン帝国軍軍人としてぇ?!」

 殺気をみなぎらせるペトラだったが、素っ頓狂な声を上げる。


「迫真の演技だったね、皆。はい、ミーナちゃんの分。これは、アイリスちゃんの分ね。フェリちゃんと、エルちゃんにもあるよ」

 先ほどまでの悲壮感は何処へ行ったのか、可愛らしい包みを手にした冬華とうかが、ヴィルヘルミナたちに手渡していく。

「ありがとうございます、トーカお姉様!」

「ありがとうございます・・・・・」

「私たちもいいのですか?!」

「わぁ〜・・・得しちゃいましたね〜、フェリシアさん〜」

 甘い香りの漂う包みをもらい、少女たちの顔に笑顔が咲き誇る。


「だけど、さっきのウソは感心しないぞ。特に、ヴィルヘルミナとかは冗談にならない場合があるからな。今度からはもう少し、明るいウソにしておけ」

「申し訳ありません、お兄様」

 「ごめんなさい」と素直に頭を下げる姫たちに、昊斗そらとも「分かればいい」と笑顔で許す。


 状況についていけず、放心するペトラ。


 そんな彼女の後ろにフレミーとフローラが、心配そうにペトラを見つめていた。


(ペトラ殿・・・先ほどの打ち合わせ、聞いていなかったのでしょうか?)

(どうだろ・・・・・・まぁ、学校出る直前まで教官殿に扱かれて、ボケてたからなぁ・・・聞いてなかったのかも)

 そう言って、放心するペトラの肩を、フローラがポンポンと叩く。

「ペトラ、気が付いてる?今日が何の日か」

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・?何の日?フローラの母上の誕生日か?」

「何でよ!!まったく・・・・・・今日は、”嘘をついたらお菓子がもらえる日”でしょ!!」

「は?」

 何の話だ?と言わんばかりに、首をかしげるペトラ。

「え?・・・・・・・・・・もしかして、ペトラ殿は知らないのですか?」

 部屋中に、本当に知らないの?と言う空気感が充満する。

「・・・・・・・・・・・し、ししし知っているいるに決まってだろう!?何を馬鹿なこと言っているのだ、フレミー殿は!さ、先ほどのも、姫たちの演技に真実味を待たせる為の演技だ!あ、あはははは!!」

 知っていないとマズイ、と悟ったのか、慌てて取り繕うぺトラ。


 ―あぁ、やっぱり知らないんだ。


 その場にいた全員が、ペトラに哀れみの視線を送る。


「なら、ウソをついたペトラにも、お菓子を上げないとな」

 テーブルの上に置いてあった袋を手に取り、昊斗そらとはお菓子の袋を手渡す。

 しかし腑に落ちないのか、ペトラの頭に疑問符が浮かぶ。

「え?・・・・いや、私は別にウソは言っていないぞ?」

「ん?ウソを言っていないなら、じゃコレはあげられないな」

 そう言って、昊斗そらとがペトラの手から袋を取り上げる。

「え?え??あれ?待ってくれ・・・私はウソを言って、いやそうじゃなくて・・・・あれ??」 

 完全に言葉の罠に嵌り、思考の迷路から出られなくなったペトラ。


 その顔は、いつもの凛々しい姉御然としたものではなく、十八歳の女の子の表情だった。


 結局、そのまま十数分もの間、ペトラ百面相の鑑賞会は続き、その後可哀想だとして、ネタ明かしされたのだった。



「ふふ、当分このネタでペトラをからかえるわ!覚えてなさい・・・・・・」

 フローラがガッツポーズをしながら、小声でそんなことを言っているのを、聞いてしまったフレミーは「今度は一体、何があったんだろう?」と、二人の関係を心配するのだった。

 

エイプリルフールと言うことで、それらしいネタ回ですが、なんか違ったかな?


コンセプトは、地球の文化が、異世界で間違って広まったら?です。


時間があれば、こういったイベントネタはまた書きたいですね。

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