061.痕跡
第三十二階層の後半はひたすら急勾配を上り続ける厳しい地形だった。
足場が悪い上に進行方向右側は切り立った崖になっていて、魔物と戦うにはすこぶる都合の悪いフシチュエーションであった。
そしてアリ種にしろムカデにしろ、その崖をものともせずに自在に動き回るときている。
先頭を走るヤンが崖側に対して土魔法の土崩しを放って崖の壁面に取り付いた魔物どもを一気にまとめて土砂ごと下まで叩き落してくれていなかったら、戦闘頻度が跳ねあがっていたのは間違いない。
階層突入から僅か一時間でボスエリアに到着。
エグい、エグすぎる。
通常は半日から一日(魔物との遭遇頻度による)はかかる行程だった。
七騎士は少し呼吸が荒い程度だが、セインズはかなりへばっている。
ジーグはさすがに案内人だけあって表面上は平静を保っているが、マリオに至ってはまだ後方に遅れている。
ダミアンとリンがサポートする形で三人一組で魔物を排除しつつ走っているのだった。
「この階は、じゃあゲイルさんたちやる?」
両手を膝についてぜいぜい肩で息をしているゲイルに対してそれを言うのかヤン。
「……はぁっ…はぁっ……ちょ、ちょっと休憩を……」
「じゃあ、レオさん?」
インターバルを乞うゲイルを無慈悲にスルーしてレオナルドに振るヤン。
レオという呼び方にピクリと反応したマルスだがここは我慢。
「いいのか?」
「レベルアップしときたいでしょ」
ヤンのあけすけな言い方に苦笑しながらも、一歩前に出るレオナルド。
「アタシもいいかしら?」
ナラクがレオナルドに続いて前に出る。
「うん、いいよ」
「ならオレも……」
マルスが前に出ようとした瞬間、ハリーに肩を掴まれる。
「っと、ははは。すんませんなんでもないッス」
ハリーに睨まれて愛想笑いをしながら引き下がるマルス。
「なるべく早く倒してよね」
レオとナラクの背中に容赦ない要求を浴びせるヤン。
まぁ、ここの代理主はキンググリズリーだし、中層でも一回やってるから問題はないだろう。
うん、比較的あっさり倒してしまった。
開幕直後にレオナルドが氷剣「アディヨーグ」をキンググリズリーの腹から背中に貫通させ氷魔法でカチンコチンにしたところへ、ナラクが【多段突き】レベル5を文字通り乱れ撃ちしてキンググリズリーを粉々に砕いて終了。
さすがのキンググリズリーもレベル50を遥かに超えた七騎士メンバー二人相手では分が悪かったということか。
「よし」
観戦者たちに背を向け誰にも聞こえないほどの声で呟いたレオナルド。
右手はわかるかわからないぐらいの小さなガッツポーズ。
「やったわぁぁぁぁぁ! レベル55よ! ゴーゴー! ゴーゴー!」
踊りながら嬌声をあげるナラクを、観戦者たちは引き攣った笑顔で眺めていた。
ようやく呼吸が整ったセインズの面々だけはどこか不本意そうな顔だった。
「はい次行くよー」
ナラクの踊りを中断するようにヤンの声が響く。
「え~~~っ、もうちょっと勝利の余韻に浸らせてぇ~~」
身をくねらせるナラクの背中をレオナルドが無言で小突くと、一瞬でモードを切り替えたナラクはそそくさと仲間たちの元へ戻るのだった。
* * * * *
第三十三階層に入るとヤンの様子がまた一層険しくなったようにジュノ軍曹は感じた。
父親が失踪した階層に今自分がいるのだから当然と言えば当然なのだったが、ジュノ軍曹はまだそこまでの事情は知らないのだった。
この階層は急勾配の上り下りの連続で足腰に過剰な負担がかかる構造になっていた。
切り立った崖の谷を進む部分では道の前後と左右の斜面からの挟撃に合い、かなりの劣勢を強いられたが、ロスティとキリトの広範囲魔法を最大火力で連発することによりなんとか脱出したのだった。
高火力範囲攻撃手段を持たないセインズだけでは到底切り抜けることはできなかったであろうという事実に、ゲイルは今後のパーティの成長方向について改めて考えさせられた。
マリオとジーグも同様で、特にマリオは七騎士の使用する魔法の威力と正確な制御に圧倒されながらも、もし今後『MAX』で上層を攻略することになったら、この大量の高レベル魔物に囲まれた場合の打開策が必須になると身に染みたのだった。
ヤンのスピードについて行くことによる疲労と、上層の高レベルの魔物を大量に裁かなければならないことによる消耗。
このダブルパンチが時間が経つほど全員の身体に積み重なっていった。
休みなく進み続け、またも一時間ちょっとで階層主エリアへ到着。
「あ~、またアイツかー」
ヤンの何の感慨もない声が響いた時、「アイツ」の意味を理解した一同は戦慄する。
(ただし、初見のジーグとマリオはきょとん)
順当ならば代理主のキングオオムカデが相手になるはずが、何の因果か再びあのギガントアシュラムが立ちはだかっていたのである。
どうやら上層フロアではランダムに代理主がギガントアシュラムに置き換わるのではないか、というのがこの情報を後日聞いたゲル爺の仮説だったのだが、今この段階では誰もそんなことは思いもよらない事態なのだった。
そして、今回は通常のアシュラムまでもが大量に湧いて出て来た。
状況から考えてギガントアシュラムが召喚しているものと思われる。
これは所謂ザコ無限湧きボス戦になるのでは、という予測に一同更に暗澹となる。
「レベル5ですね」
キリトが淡々と冷静に鑑定結果を告げると、更に空気が重くなる。
「今回はゲイルさんたちにやってもらうよ」
しかし、前階層以上の強行軍にゲイルのみならずキキ以外全員グロッキー状態のセインズ。
言葉も出てこず、目だけで辛うじてヤンに訴えるゲイルだが、ヤンはスルー。
「それじゃハリーさん、そっちで普通のアシュラムの方をお願い」
ヤンはハリーに指示を出すと、ハリーは無言ですぐに動き始める。
七騎士たちがそれに続き、まずはザコのアシュラム狩を開始。
ギガントアシュラムの方はというと、まだ初期位置でじっとしている。
余裕なのか、そういう行動ロジックなのかは不明。
「これ塗って!」
腰のポーチからヤンが取り出したのは――エリナおばさんからもらった試供品、バルベル軟膏・極赤と黒の二種類だった。
「どこに塗るんだ?」
ゲイルの方に伸ばした薬を、横からキキが受け取って確認する。
「どこでも。ダメージがあるところ。足とか腰とか。でも手や首でもいいよ。たぶん」
「たぶんってなんだよ」
キキがそのいい加減な内容に思わず笑ってしまう。
「エリナおばさんの新作なんだ。実験実験」
「ああ、エリナさんの……じゃあ安心だ」
納得したのか、すぐゲイルのところに近づいて首筋と腕に極赤と黒を順に塗っていく。
「なんだこれ……え、あ……おおっ!」
急に元気になったゲイルがキキの持つ軟膏を少し分けてもらうと、バッとズボンを下ろして剥き出しの自分の両足に満遍なく塗り出した。
「いいな、これ。すっきりするし、筋肉がラクになる」
ゲイルがズボンを上げてストレッチよろしく体を動かし始めた。
その間にキキはアーロン、エース、セイラと順に軟膏を塗っていった。
一瞬、レオナルドが怪訝な表情でセインズチームの様子を眺めていたが、詳細までは把握できなかったのかすぐに戦闘に戻る。
「アレ、まだあるか?」
ジーグがヤンに尋ねる。
「試供品だからアレだけ。キキ兄ちゃんから受け取って使って」
「わかった。それにしても準備万端すぎるな、お前は」
「ボクじゃなくてエリナおばさんだよ」
とくだん照れた様子もなく淡々と答えるヤン。
苦笑いを浮かべながらキキの方へ向かうジーグ。
セインズはキキも含め、どうやら臨戦態勢が整ったようだった。
「あ、みんなザックは下ろしていいよ」
そう、実は今の今までセインズたちのみならず七騎士までもが律儀にヤンの重石入りザックを背負っていたのだった。
そりゃ疲れるでしょうよ、うん。えらい。よく頑張った。
* * * * *
いきなりギガントアシュラムが魔法を放ってきた。
いつの間にか泣き顔になっていた。
「おい! 話が違うぞ」
ゲイルがヤンに叫ぶ。
中層で戦ったギガントアシュラムは泣き顔の時は剣に属性魔法を付与して襲ってきたが、今回はその剣先から直接魔法をぶち込んできた。
あくまで剣の届く範囲を警戒する近接型ボスだったのが、遠距離攻撃を使うようになったとなるとまるっきり別な対応が必要になるのだった。
「仕方ないよ。まだ戦うの二回目だし」
「レベル5だしな」
ヤンの言葉の後にキキが繋げる。
「任せてください」
ジュノ軍曹が一番前に出ると聖なる盾を展開し、飛んでくる三属性魔法を全て防いでくれた。
属性魔法の盾は弱点属性に弱いというデメリットがあるが、聖魔法の盾は全属性(唯一闇には弱い)に有効なので運用面でコスパに優れているのだった。
「このまま前に出ます」
ジュノ軍曹は聖なる盾を維持したまま、前進するとその後を追ってセインズメンバーも前進。
ギガントアシュラムは雨あられと魔法を放ってくるが、ジュノ軍曹の盾はびくともせず、効果を発揮し続けている。
「ペクちゃん、大丈夫?」
ヤンが心配そうに横で声をかけると、ヤンの方を見て笑って頷くジュノ軍曹。
「キキ兄ちゃん、アレできる?」
「今ならいけそうだな」
ヤンのリクエストに応えてキキは魔導弓に切り替え、再びアレの体勢に入る。
が、キキが魔導弓に魔力を集中し始めた途端、ギガントアシュラムの顔が怒りに切り替わると(ギガントアシュラム的には)全力疾走で接近し、六本の剣を振り回し出した。
ガギン!
ガガガ、ガギン!
ガ・バリン・ギン、ドッ!
ジュノ軍曹の盾が破壊された。
ヤンが瞬時にジュノ軍曹を抱えて横っ飛びで避けたので剣は地面を叩いたが、間一髪であった。
「おらああああッ!」
ゲイルが【身体強化】を使用してギガントアシュラムの右懐に突っ込む。
一緒にセイラがメガハンマーに水属性を付与しながら続く。
一歩遅れて左側の懐目がけてアーロンとエースがダッシュ。
「【竜巻渦】」
アーロンが面積を圧縮した渦をギガントアシュラムの両脚の間に発生させる。
中心部が非常に狭いのでそこは安全地帯ではなくむしろ対象を固定する力が働く。
渦は上に行くほど大きくなるのでギガントアシュラムの上体は完全に渦の中に包まれる形になり、腕の動きも自由が効かなくなる。
「当たるなよ!}
エースが大声で叫ぶが、渦の音が大き過ぎておそらくア-ロン以外のメンバーには聞こえていない。
ガガガガガガガガガンッ!
エースの放った【雷撃】がギガントアシュラムの頭上から炸裂すると土の焦げる臭いが周囲に充満した。
雷魔法は多少は効くらしい。
ギガントアシュラムの猛攻が一瞬硬直したように止まったところへ、ゲイルとセイラが全力の一撃を右足に叩き込むと、右足の膝が破壊されガックリと右膝をつくギガントアシュラム。
「アーロンさん、そのままでお願いします」
ジュノ軍曹の声がしたかと思うと、アーロンの作った渦に外から大きな水玉が接触して爆発し、渦の中の湿度が急上昇。
「じゃあオレも!」
セイラもジュノ軍曹の真似をして水球を渦にぶつける。
これでもうほとんど渦の中は暴風暴雨の嵐状態。
ギガントアシュラムは怒りモードにも関わらず、攻撃するというとりも思うように動けずもがいているような状態になっていた。
「行くよ!」
ヤンの声が響いた瞬間、セインズメンバーとジュノ軍曹はギガントアシュラムからさっと距離を取る。
その刹那、巨大な矢――【巨化螺旋水矢】が胸のど真ん中を貫いた。
バゴオオオオオオッ!!
大音響と共に破壊されたギガントアシュラムの破片がドンドンと地面に落下。
今回は一発で核を破壊した模様。
「やった!」
「さすがキキ!」
「一撃とかハンパねぇよ、ハハハハ」
メンバーが思わずキキの方を振り返ると、キキはやや消耗した様子ながらサムズアップで応える。
一斉にキキの下へ駆け出して、そのまま抱き着くセインズ四人。
「やめてくれ、疲れてるんだ」
キキの願いは誰も聞いてはくれなかった。
「あ、もう終わったみたい」
ロスティが崩れ落ちるギガントアシュラムを見て仲間に告げる。
「早いな」
「ヤンが手伝ったんじゃねーの」
レオナルドが意外だったという口調で言うとマルスが憶測を口にする。
「前より威力が増してる……」
ロックが心から感嘆した様子で呟く。
中層で見た時と同じ威力であればレベル5の今回はもっと与えるダメージが減っているはずなのにまさか一撃で仕留めるとは。
「あれを独学で身に付けたということの方が信じられませんね」
キリトもほぼロックと同じような心境であった。
「まぁステキ!」
ナラクの嬌声は当然ながらみんなにスルーされる。
「こっちももう少し狩りたかったな」
珍しくハリーが感傷めいた言葉を口にしたので、それを聞いたレオナルドとマルスがびっくりしてハリーの方を凝視していた。
意外と無限湧きアシュラム戦もそれはそれで楽しかったらしい。
「あいつら、本当にやりやがった……」
マリオがほとんど愕然とした表情で消滅していくギガントアシュラムと喜ぶセインズの様子を眺めていた。
初めて見る巨大なアシュラムの姿にただただ圧倒されていた自分と、それを見事に倒して見せた格下だったはずのパーティ『セインの息吹』。
なによりその討伐時間たるや、先の階層の七騎士もそうだったが、とても上層の代理主戦とは思えぬような短さなのだった。
「どうだ、お前も早く追いつきたいだろう」
ジーグの言葉は煽りなのか、純粋な励ましなのかマリオは感情がぐちゃぐちゃでよくわからなかったが、唯一はっきりしていることは「このままじゃ終われねえ」ということだった。
* * * * *
「ヤン、どうかしたのか」
階層主戦が終わってまた休憩なしで先へ進むのかと思っていたら、ヤンの様子がおかしかったのでジーグが近づいて言った。
「ここだ」
「ここがどうかしたか」
「とうちゃんがいなくなった場所……」
「なに!?}
ジーグが知っている情報では、エルは第三十三階層の階層主を倒した後、セインへ戻る途中で行方がわからなくなったということになっていた。
その場所は第三十三階層の中であるとはされていたが、場所が場所だけにこれまで実際に行方がわからなくなった位置を特定するための調査は行われていなかった。
当時深淵(エルが案内についていたパーティの名称)の聞き取り調査では、案内人不在の状態で記憶を頼りになんとかセインまで戻ってきたので、具体的な場所まではわからない、ということでそれ以上は確認不可能とされていた。
「どうしたヤン」
異変を察知したのかキキもやってきた。
「とうちゃんはここで消えたんだ。とうちゃんのドリルの痕跡が残ってる」
「本当か!?」
キキはヤンの言葉を疑うことなくすぐに受け入れた。
痕跡の意味はよくわからないが、ヤンがドリルのことを口にする時はよほどの時だと知っていたのだ。
「痕跡っていうがヤン、もう五年も前なんだぞ」
「いえ、ヤンが言うなら間違いないです」
ヤンではなくキキがジーグにきっぱりと告げる。
「キリトさーん、ちょっと来てーー早く!」
ヤンがキリトへ大きく手を振って招く。
すぐに駆けてくるキリト。
「どうかしましたか」
「この辺の魔力や罠とか呪術みたいなものの痕跡ってわからない? だいぶ前のものなんだけど」
「どうでしょう、とりあえずやってみます」
キリトは槍を地面について両手で柄をしっかり握り締めると、何か唱え始めた。
「これは……」
キリトが難しい顔をする。
「どう? なにかわかった?」
ヤンがキリトを今にも食べてしまいそうなくらいの勢いで覗き込んで尋ねる。
「かなり前のもののようですが、確かに空間の歪みの痕跡があります」
「なんだそれは」
誰よりも早く食いついたのはジーグ。
「聖魔法にポータルという魔法があるのですが、その時に生じる歪みによく似ています」
【ポータル】とは予め設定していた場所に瞬時に帰還する魔法で、帰還場所は一ヵ所のみで毎回事前に設定しておく必要がある。
範囲内の人物全員を対象にすることができるが、消費魔力が膨大で術者の負担も大きいため現実での使用頻度は極端に少ないのだった。
「罠、か」
キキが呟くとヤンもキキを見て頷く。
「待て。強制転移のスクロールは確かにあるが、迷宮内で使った例はないはずだぞ。そもそもここでは転移系の魔法やアイテムは無効化されるんじゃなかったか?」
ジーグが年長者として塔則を思い出しながら説明する。
「正しく動作しなくてもいい、のであれば使ってみることは可能ですね」
キリトが言うと、全員が黙り込む。
「あるいは改造してあるとか」
キキが更に恐ろしいことを言い出す。
ということはやはりあの時の深淵がエルを嵌めたんだな、とジーグは確信したが、それをここで言うのは躊躇われた。
「こりゃ戻ったらゲル爺に報告だな」
努めて話題を明るい方にしようとジーグは頑張った。
「ジーグさんもゲル爺知ってたの?」
ヤンが驚いた顔で聞くと、ジーグではなくキキが答える。
「おれも知ってるくらいだ。意外と有名人なんじゃないか」
「誰ですか?」
王国の報告書に載っていなかったのは既出だ。
「おっかしいなぁ、そんなことないと思うんだけど」
ヤンはなぜか不満そうにしている。
「ヤン、エルさんはここで転移罠のようなもので迷宮内のどこかへ飛ばされたってことでいいのか?」
キキが話を本題に戻す。
どこか少し安心したのか、ヤンの様子が少し落ち着いたように見えた。
「キリトさん?」
ヤンがキリトに改めて確認する。
「誰がというのは私にはわかりませんが、状況から見て可能性はある、というか高いと思います」
「……とうちゃん」
ヤンが小さく呟いたのを、キキだけは聞き逃さなかった。
「なにやってんだ、まだ行かねぇのか」
そこへ空気を読まずにマリオが乱入してきた。
「マリオ。エルさんはここでどこかへ飛ばされたらしい」
「は? なに言ってやがる。なんでそんなのがわかるんだよ」
ジーグに食ってかかるマリオ。
今ここでその説明をまたやり直すのは面倒なのでジーグはまぁまぁと抑えるだけに留めて、ヤンの方へ目で合図を送る。
「それじゃ、次行くよー」
片手を上げて大きく声に出しながら、既に走り出すヤン。
「おい、ふざけんな。待て!」
ちゃんと説明しろというつもりなのか、真っ先にヤンを追いかけるマリオ。
ジーグとキキがすぐに続き、近くで様子を見ていたジュノ軍曹も合流。
キリトは七騎士のメンバーに合わせながら進み、セインズと保安局二名はその後に続いて走る。
ヤンは相変わらず急いでいたが、明らかにこれまでと表情が違っていた。
だが、後に続く者たちにとっては容赦のない全力疾走であることに変わりはなかった。





