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隣りの中谷さん  作者: はしたか みつる
持ち込み禁止物

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12 持ち込み禁止物

 明日の朝までこれ以上、中谷さんを刺激しないでくれよ。品川さん。絶賛、幼児退行中の中谷さんに怖い思いやら不快な思いをさせたら俺も許さないし、誰よりも中谷さんが許さないと思う。


 ピーがピーになって、ピーだろう。



 「嵐君、配膳車が来たよ」


 「え、あ、はい」



 後藤さんにそう声を掛けられ、俺は考え事の海に沈んでいたのだと気付いた。夕食、なんだろうな。最近は見ても忘れるから献立表は見ないようにしている。忘れてショック受けるの、俺だし。


 配膳車からは食欲をそそるような良い匂いがしてきた。



 「今日、カレーだったのか」


 「嵐君、カレー嫌い?もらってもいい?」


 「いや、カレーは好きな部類だし、中谷さんに全部あげたら俺、空腹で眠れないって」



 俺のカレーを奪っていきそうな中谷さんを止め、俺はカレーを一口食べる。んー……今日のルー、甘口かな。ここの病棟のカレーは毎回、ルーの種類が変わる。一度、激辛が出て患者の大半が食べられなかったことがあった。


 それにしても、何とも食事がしづらい。何でかって言うと、品川さんの視線が痛いのだ。そして、ついに品川さんが俺たちの方へ向かって歩いてくる。何か因縁を付ける気だ、絶対。



 「おい、雨宮。後藤。徹。そして、中谷。何で一緒に食事をしている」


 「……親しいから、ですけど」



 既にキレそうな中谷さんを制し、俺は無表情で品川さんを見上げる。


 ていうか、患者を呼び捨てってどうよ。

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