13 持ち込み禁止物
品川さんは中谷さんを睨む。中谷さんも品川さんを睨む。あああ、ヤバい。このままじゃヤバい。えーと、俺が盾にならなきゃいけない場面だよな?そうだよな?今すぐ品川さんを追い払おう。このままじゃ大惨事になる。
「……品川さん、別に俺らが誰とどう食事してても関係ないッスよね」
「あぁ?何だ、雨宮。こんな淫らな光景、見て放置しておけるわけがないだろう」
「なんスか、親しい者同士でカレー食ってるだけなのに淫らとか……」
──あんたの頭と目が淫らなだけなんじゃないスか?
……俺は言ってしまった。後藤さんがスプーンを取り落とす。徹君が吹き出す。中谷さんがガッツポーズをする。それぞれの反応をする仲間たちの為、俺は更に続けようとして……やめた。
これ以上言ったら、品川さんが俺の息子に何かしそうな勢いで怒り出すだろう。
「雨宮。誰に向かってそんな口を利いている」
「ただの看護師の品川さんッスね」
「看護師は患者より偉い。俺に謝罪しろ、雨宮」
「……あんた、何なんスか」
もう呆れの溜め息しか出ない。俺はもう品川さんを放置することにして、刻一刻と冷めていく甘口カレーを口に運ぶ。次のカレーは中辛がいいなぁ、なんて思いつつ。品川さんは俺を見下ろし、無言で圧を掛けてくる。
あーもう、面倒くさいな、この人。
「品川さん、飯の邪魔ッス」
「知るか。俺はお前がそれを完食したあと、お前を隔離部屋に入れる」
「はぁ……」
ヒラの看護師が何を勝手言ってるんだか。
そんなことをしたら師長に何を言われるかすら分からない馬鹿なのか。




