11 持ち込み禁止物
「僕、思ったんだけどね、息子に鉄の鎧をまとわせたらどうかな」
「却下ッス」
デリケートな部分に重たいものも一緒にぶら下げようって?痛いって、それだけで痛いって。でも、後藤さんの対処法を却下したものの俺も良い対処法を思いついたわけじゃない。鉄君は再びうとうとしていた。
再び、沈黙。
「……まぁ、いざとなったら何とかなるさ」
「そッスね」
結局、重要な会議は後藤さんと俺の思考放棄によって終わった。いくら怒っていても、中谷さんは俺たちの息子には手は出さないさ、きっと。そんな希望的観測を胸にぼちぼち、夕食に行こうか。また爆睡し始めた鉄君を叩き起こし、俺と後藤さんと眠い目をこする徹君で食堂に向かう。
いつもの席に中谷さんがいる。間もなく配膳車も来る。そんないつもと変わらない光景に、俺は何故か安堵した。雨と傘の件で不安になっていたのかな、俺。らしくない、らしくないぞ。
「ねぇ、聞いてよ、嵐君ー」
「どうしたんだよ、品川さんの話か?」
俺と後藤さんと徹君が席に着くなり、中谷さんがブーブー言い始めた。品川さんの話で合っていたらしく、中谷さんは珍しく愚痴をこぼす。病棟移動にならないかな、あの人。
「今日は私、寝癖とか無いでしょー?」
「あぁ、綺麗にまとまってる」
「でしょー?なのに、あいつ私を見るなり、また髪が乱れてるとか言い出してさー……」
因縁もいいところだ。食堂を見回してみると、中谷さんと同じような目に遭ったらしき女性患者たちが不機嫌そうな、あるいは泣きそうな顔をしていた。品川さん、そのうちクビになるんじゃ。あぁ、女性患者全員で師長に訴えたら可能かも。




