10 続・中谷さんがやってきた
そんなこんなで三人で明日からのこと、中谷さんのバストサイズのことなどを話していたら寝る前の薬の時間がやってきた。今日、夜勤は誰だっけ。あぁもう、また忘れてしまった。あとで気になりそうなことは全部メモしなきゃ駄目だな。
タイミング良く、話が途切れたところで扉がノックされる。
「寝る前のお薬ですよー!」
そう、元気に223へ入ってきたのは石見さんと同期の、同じく付き合いの長い看護師さんだった。名前は宮田さんと言う。宮田さんのトレードマークはいつも絶えない笑顔。怒っている時でも笑顔は絶やさない。若干、怖い面もある。
さて、頑張って飲みますかねぇ。
「はーい、嵐君!頑張って飲んでねーゆっくりでいいからねー!」
「……いつも思うんですけど、これ、致死量の薬だったりしないッスか?」
「大丈夫よ!今まで死んだことないでしょー?」
「あったら困ります」
俺に渡された「眠る前」と書かれた透明な小袋の中には、軽くODする時に飲むような量の薬が詰め込まれていた。主治医の院長曰く、記憶障害に特効薬は無いが他の症状を軽減させることで回復に繋がる可能性もある、とのこと。俺、記憶障害の他に精神症状ないんだけど。この大量の薬が抑えているのか……?
とりあえず、俺は何回かに分けて大量の薬を飲んだ。薬だけでお腹いっぱいに出来そうだ。
「はぁい、よく飲めました!」
「ねぇ、宮田さん。中谷さんの部屋、もう回りました?」
「ううん、これからよー?どうして?」
「いや、破壊されないように気を付けて」
「?」
後藤さんも徹君も薬を飲み終わり、俺から謎の忠告を受けた宮田さんは不思議そうな顔をして223を出て行った。要らない心配だと分かっていても、あの破壊音を忘れることは出来ない。例え、中谷さんとは食事をそれなりに楽しく食べた仲でも、だ。




