9 続・中谷さんがやってきた
「そうだねぇ、僕は223があれば、まぁやっていけるかな。徹君はどうだい?」
「え、俺?俺も、まぁこのいつメンでだらだら会話出来れば、別に」
後藤さんも徹君も意外と強かった。じゃあ、中谷さんと食事を共にした感想は?俺の感想は一つだけ。食事をめちゃくちゃ綺麗に食べる女の子。俺はチラッと見たのだが、中谷さんのお椀にはご飯粒が一つも残っていなかった。
育ちが良い、のかな。どこかの富裕層のご令嬢だったりして。
「中谷さんと一緒に食事をした感想を、一言ずつどうぞ」
「うーん、食べ方、綺麗だったね」
「あ、俺もそれは思った!」
俺の質問に対し、後藤さんも徹君も俺が抱いたような感想を述べた。そうだよなぁ、めっちゃ綺麗だったよなぁ。残さず全部食べていたし、しっかりご馳走様まで言っていた。
でも、じゃあ、こう言われたらどうするか。
「中谷さんが明日も一緒に食事したいって言ってきたら、どうします?」
「えー……。あー……。絶対にそう言ってくるよねぇ」
「中谷さん、すっかり嵐に懐いてるしな」
今日だけ親切を尽くす。俺がヤケで選んだその選択肢は間違っていたのかもしれない。だって、中谷さんがあそこまでまともな判断が出来るとは思っていなかったのだ。まともな判断が出来ると分かっていたら、親切を尽くしたりはしなかった。明日から適当に避けることが出来るような、そんな患者だと少なくとも俺はそう思っていた。
人間の多くは親切にされれば親しみを抱く。中谷さんもそっち側の人間だったということだ。




