攻略記録その25 ラスボスが、戦闘から逃げました
「我の登場を返せえええええ!」
魔王の絶叫から。
世界の最終決戦は始まった。
本来なら。
黒炎が玉座を包み。
歴代勇者の敗北が語られ。
魔王がゆっくり立ち上がり。
世界の命運を賭けた台詞があり。
勇者がそれに答え。
荘厳な音楽が流れ。
そこでようやく。
戦闘開始。
のはずだった。
全部。
飛んだ。
《経験済みメンバーを確認しました》
《重複演出をスキップしました》
原因。
レオン。
レベル23。
「……すみません」
レオンが小さく言った。
「謝るな!」
魔王が叫ぶ。
「貴様に謝られると余計に腹が立つ!」
「じゃあ謝りません!」
「それも腹が立つ!」
その横。
勇者。
剣を構える。
「魔王」
「何だ!」
「始まっているぞ」
「何が」
《戦闘開始》
魔王。
「待て!」
勇者。
「もう遅い!」
「まだ心の準備が!」
「ラスボスが言うな!」
――――
現在。
勇者。
《Lv26》
大魔導士。
《Lv26》
聖女。
《Lv26》
剣聖。
《Lv26》
レオン。
《Lv23》
対して。
魔王。
《Lv100》
ミーナが表示を見上げた。
「……勝てます?」
勇者。
「普通なら無理だ」
「やっぱり」
「だが」
勇者がレオンを見る。
レオン。
「嫌です」
「まだ何も言っていない」
「前回と同じ顔してます」
「どんな顔だ」
「僕を前に出す顔」
「勘がよくなったな」
「成長したくなかった!」
魔王が手を上げた。
黒い魔力。
集まる。
《魔王の攻撃》
《終焉の炎》
ミーナ。
「来る!」
勇者。
「全員散開!」
レオン。
「どっちに!?」
「どこでもいい!」
地面。
赤く染まる。
ほぼ全面。
ただし。
一か所。
青い円。
レオン。
「安全地帯!」
全員。
走る。
魔王。
「……」
ミーナ。
「どうしました?」
「我の技」
「はい」
「どこへ逃げればよいか最初から表示されるのか?」
「初心者がいるので」
「我の必殺技だぞ」
「初心者がいるので」
「……」
魔王。
終焉の炎。
放つ。
どおおおおおおおん!
玉座の間。
炎。
埋め尽くす。
安全地帯。
無傷。
勇者。
「親切だな」
魔王。
「黙れ!」
――――
「攻撃!」
勇者。
踏み込む。
聖剣。
振る。
《装備レベル不足》
すぽっ。
手から抜ける。
「まだ使えん!」
ミーナ。
「そうでした!」
勇者。
初心者用鉄剣。
抜く。
《強く斬る》
《17ダメージ》
魔王。
《HP 299983/300000》
一同。
沈黙。
魔王。
少し。
胸を張る。
「どうした」
勇者。
「腹が立つ」
「もっと言え」
大魔導士。
《少し大きい火の玉》
ぽん。
《21ダメージ》
魔王。
「弱い」
剣聖。
《もう一度斬る》
《19ダメージ》
魔王。
「弱い」
聖女。
「私は攻撃魔法がありません!」
魔王。
「知っている」
レオン。
木剣。
「僕も!」
ぺち。
《4ダメージ》
魔王。
「貴様が一番腹立つ」
「何で!?」
――――
「待て」
勇者が言った。
「レオン」
「はい」
「神器はもう渡した」
「はい」
「聖剣も」
「はい」
「関連クエストは?」
レオン。
確認。
《神器・冥界鍵》
《完了》
《星断ちの聖剣》
《完了》
勇者。
笑った。
ミーナ。
「あ」
「レオン」
「はい」
「パーティーを抜けろ」
「え?」
《パーティーから退出しますか?》
レオン。
押す。
《退出しました》
一秒。
《初心者支援パーティーを解除しました》
光。
勇者。
《Lv92》
大魔導士。
《Lv89》
聖女。
《Lv88》
剣聖。
《Lv91》
沈黙。
勇者。
聖剣。
持つ。
《星断ちの聖剣》
《装備しました》
白い光。
爆発。
魔王。
顔。
引きつる。
「待て」
勇者。
笑う。
「待たん」
魔王。
「さっきまで十七だったではないか!」
勇者。
「戻った」
「戻るな!」
《聖光斬》
一閃。
《28417ダメージ》
魔王。
「桁が違う!」
ミーナ。
「やっと本物の勇者に戻った!」
――――
レオン。
部屋の端。
「僕は?」
表示。
《パーティー未所属》
《戦闘参加者ではありません》
「見学?」
ミーナ。
「絶対そのままでいて!」
「はい!」
レオン。
座る。
魔王。
レオンを見る。
「貴様だけ帰れ」
「帰れません」
「なぜ」
「出口分かりません」
「もう嫌だ!」
――――
勇者一行。
本気。
大魔導士。
《天穿氷槍》
氷。
数十本。
魔王へ。
《19452》
剣聖。
連撃。
《8130》
《9271》
《11042》
聖女。
全体強化。
《攻撃力上昇》
《防御力上昇》
《魔力回復速度上昇》
魔王。
HP。
《72%》
「速い!」
ミーナ。
「これが本来の戦闘なんですね!」
勇者。
「ここまで来るのにどれだけかかったと思っている!」
レオン。
「三日?」
「貴様は黙っていろ!」
――――
魔王。
HP。
《70%》
表示。
《フェーズ移行》
魔王。
笑う。
「ここからだ」
黒い魔力。
全身。
包む。
「見るがいい!」
「はい!」
レオン。
見学。
嬉しそう。
「我が真なる――」
《形態変化演出を開始します》
魔王。
浮く。
鎧。
砕ける。
巨大な翼。
背中から。
現れ――
勇者。
「攻撃できるぞ」
魔王。
「……何?」
勇者。
聖剣。
振る。
《聖光斬》
《27110ダメージ》
変身途中。
直撃。
「ぐあああ!」
魔王。
空中。
よろめく。
「待て!」
大魔導士。
「本当だ」
《天穿氷槍》
「待てと言っている!」
《18332》
剣聖。
「隙だらけだ」
「変身中だからだ!」
連撃。
入る。
《7261》
《8034》
《9117》
魔王。
「変身中に殴るな!」
勇者。
「敵だぞ」
「演出というものがあるだろう!」
ミーナ。
「無敵じゃないんですね」
魔王。
「本来は!」
全員。
止まる。
「本来は?」
魔王。
「あ」
表示。
《経験済みメンバーによる演出簡略化の影響で》
《形態変化中の無敵処理を省略しています》
全員。
レオンを見る。
レオン。
「僕?」
魔王。
「貴様あああああ!」
――――
第二形態。
完成。
する前。
魔王。
HP。
《43%》
「七割から四割!?」
魔王。
翼。
半分。
まだ生えている途中。
片方。
小さい。
片方。
大きい。
ミーナ。
「左右違いますよ」
「見るな!」
《形態変化完了》
翼。
揃う。
魔王。
息。
荒い。
「我の第二形態が」
「はい」
「登場した時点で」
「はい」
「半分死んでいる」
「そうですね」
「こんな最終決戦があるか!」
勇者。
「勝てればよい」
魔王。
「勇者らしさはどこへ行った!」
勇者。
レオンたちと過ごした数日間。
思い出す。
「リスタに置いてきた」
ミーナ。
「私たちのせい!?」
――――
魔王。
第二形態。
《魔王・深淵形態》
新技能。
《黒星落とし》
《魂喰らい》
《深淵召喚》
《四天王再臨》
魔王。
「今度こそ」
両手。
広げる。
「来たれ!」
《四天王再臨》
「え?」
勇者。
「四天王?」
魔王。
「我が忠実なる四人よ!」
魔法陣。
一つ。
二つ。
三つ。
四つ。
光。
誰も出ない。
「……」
魔王。
「来たれ!」
光。
空。
《召喚対象を検索しています》
一秒。
《対象》
《四天王》
《全員討伐済み》
魔王。
「知っている!」
《召喚可能対象》
《0》
「知っているが復活する技だ!」
《討伐済みユニーク個体は再配置できません》
「そこだけ厳密!」
勇者。
「攻撃していいか?」
魔王。
「少し待て!」
――――
《代替召喚対象を検索します》
魔王。
「代替?」
ミーナ。
「嫌な予感」
《四天王と同等の役職を検索》
魔王軍。
城内。
ざわつく。
《候補》
《四天王補佐》
一人。
魔法陣。
光。
小柄な魔族。
出現。
「……」
魔族。
周囲を見る。
魔王。
見る。
勇者。
見る。
「私?」
魔王。
「……帰ってよい」
「はい」
消える。
ミーナ。
「代役が弱すぎる!」
――――
魔王。
HP。
《38%》
「こうなれば」
杖。
掲げる。
《黒星落とし》
天井。
消える。
夜空。
巨大な黒い星。
落ちてくる。
ミーナ。
「大きい!」
勇者。
「全員、防御!」
聖女。
《聖域》
剣聖。
構える。
大魔導士。
障壁。
レオン。
部屋の端。
「僕は?」
ミーナ。
「逃げて!」
レオン。
「どこへ!?」
床。
赤。
全部。
安全地帯。
なし。
魔王。
笑う。
「これは避けられぬ!」
《全体壊滅攻撃》
《発動まで15》
勇者。
「止める方法は?」
ミーナ。
周囲。
見る。
表示。
魔王の頭上。
《詠唱中》
《中断可能》
「中断!」
大魔導士。
「何で!」
「とにかく何か!」
剣聖。
突撃。
《沈黙斬》
魔王。
《無効》
「効かん!」
勇者。
《聖光断》
《中断失敗》
《10》
「まずい!」
レオン。
鞄。
見る。
「これ?」
一本。
薬草。
リスタ。
初心者用。
普通の薬草。
ミーナ。
「何する気!?」
「分かりません!」
レオン。
魔王へ。
投げる。
「えい!」
薬草。
魔王の顔。
ぺち。
《アイテム使用》
《薬草》
魔王。
「……」
《行動処理が競合しました》
「何?」
《アイテム使用を優先します》
《現在の行動をキャンセルします》
黒い星。
消える。
沈黙。
全員。
レオンを見る。
魔王。
レオンを見る。
レオン。
「……止まった」
ミーナ。
「薬草で必殺技キャンセルした!?」
――――
「もう一度!」
勇者。
薬草。
拾う。
魔王。
「待て!」
「投げればいいのか!」
「投げるな!」
魔王。
《魂喰らい》
詠唱。
勇者。
薬草。
ぽい。
《薬草》
《行動キャンセル》
「本当に止まる!」
大魔導士。
鞄。
「薬草ある!」
魔王。
「出すな!」
剣聖。
「俺も三枚」
「なぜ高レベルが初心者薬草を持っている!」
勇者。
「リスタで買った」
「またあの街か!」
魔王。
叫ぶ。
《深淵召喚》
ぽい。
《薬草》
《キャンセル》
「やめろおおお!」
――――
ラスボス。
攻撃。
しようとする。
薬草。
飛ぶ。
キャンセル。
攻撃。
薬草。
キャンセル。
「戦え!」
魔王。
「戦っている!」
勇者。
「これは戦闘ではない!」
「有効だ!」
「薬草を投げるな!」
「魔王に薬草が弱点だとは」
「弱点ではない!」
ミーナ。
「仕様の穴です!」
「もっと嫌だ!」
――――
薬草。
残り。
七枚。
「温存!」
勇者。
叫ぶ。
「危険な技だけ止める!」
魔王。
聞いている。
「作戦を我の前で言うな!」
大魔導士。
「通常攻撃なら薬草不要!」
魔王。
「言うな!」
魔王。
拳。
振る。
勇者。
防ぐ。
「今!」
攻撃。
HP。
《30%》
魔王。
「くっ」
《フェーズ移行》
ミーナ。
「第三?」
魔王。
笑う。
「今度こそ」
体。
崩れる。
黒い霧。
天井。
壁。
床。
すべて。
飲み込む。
「我こそは終焉そのもの――」
《形態変化演出》
勇者。
「殴れる」
魔王。
「待て!」
全員。
攻撃。
「変身中だぞ!」
勇者。
「知っている!」
「知っていてやるな!」
HP。
《22%》
《16%》
《11%》
「止めろ!」
《8%》
魔王。
第三形態。
完成。
した瞬間。
HP。
《7%》
魔王。
巨大。
禍々しい。
世界を滅ぼす姿。
残り七%。
ミーナ。
「すごい見た目なのに瀕死!」
「言うな!」
――――
魔王。
息。
荒い。
「我は」
「はい」
「世界の終焉だ」
「はい」
「何千年もの時を生き」
「はい」
「数多の勇者を葬り」
「はい」
「恐怖そのものとして――」
《残りHP低下》
《暴走状態へ移行します》
魔王。
「まだ話している!」
《暴走》
赤い光。
《攻撃力300%》
《速度200%》
《防御力50%》
勇者。
「来る!」
魔王。
消える。
一瞬。
勇者の背後。
「速――」
攻撃。
直撃。
《勇者 HP 14%》
「強い!」
聖女。
「回復!」
魔王。
次。
大魔導士。
《HP 9%》
「速すぎる!」
剣聖。
吹き飛ぶ。
レオン。
「勇者さん!」
魔王。
笑う。
「これが我の本来の力だ!」
ミーナ。
「やっとラスボスらしい!」
「最初からそうだ!」
――――
聖女。
回復。
間に合わない。
勇者。
薬草。
「投げる!」
魔王。
「その手はもう通じん!」
薬草。
飛ぶ。
魔王。
避ける。
「避けた!」
勇者。
「学習した!」
魔王。
「当たり前だ!」
大魔導士。
別方向。
薬草。
「こっち!」
魔王。
避ける。
剣聖。
薬草。
「三方向!」
「ふざけるな!」
魔王。
跳ぶ。
避ける。
薬草。
床。
散らばる。
「残り三枚!」
勇者。
「もう無駄にするな!」
レオン。
鞄。
見る。
一本。
瓶。
《終焉の霊薬》
魔王城の宝箱から。
取った。
最高級蘇生薬。
勇者。
まだ受け取っていない。
「これ」
ミーナ。
「ダメ!」
「なんで!?」
「一個しかない!」
「でも今ラスボスです!」
全員。
止まる。
確かに。
いつ使うのか。
最高級回復アイテム。
最後まで。
使わない。
よくある。
だが。
今。
最後。
のはず。
勇者。
「……まだ使うな」
ミーナ。
「なんで!?」
「何かあるかもしれん」
「ラスボスですよ!?」
「隠しボス」
「考えないで!」
最終決戦でも。
エリクサー的なものは。
使えなかった。
――――
魔王。
突撃。
勇者。
避ける。
その先。
レオン。
魔王。
止まる。
「……」
レオン。
「……」
《非戦闘参加者》
魔王。
攻撃。
振る。
《対象にできません》
魔王。
「邪魔だ!」
レオン。
「すみません!」
魔王。
「なぜ貴様はいつも我の前に!」
「僕も分かりません!」
勇者。
見る。
目。
変わる。
ミーナ。
「勇者さん?」
「レオン」
「嫌です」
「まだ何も」
「また盾にする顔です!」
「今回は盾ではない」
「じゃあ?」
勇者。
「壁だ」
「もっと悪い!」
――――
「レオンの後ろへ!」
勇者。
走る。
大魔導士。
走る。
聖女。
走る。
剣聖。
走る。
レオン。
「ちょっと!」
四人。
レオン。
背後。
魔王。
正面。
「出てこい!」
勇者。
「嫌だ!」
「勇者!」
魔王。
「正々堂々戦え!」
勇者。
「世界を守れればよい!」
魔王。
「お前、本当に勇者か!?」
ミーナ。
「最近ちょっと怪しいです!」
――――
魔王。
右。
回る。
勇者。
レオンの後ろを。
左。
回る。
魔王。
左。
勇者。
右。
レオン。
中心。
「目回る!」
世界の最終決戦。
ラスボスと勇者。
一人のレベル23を。
ぐるぐる回る。
魔王。
止まる。
「……もういい」
勇者。
「諦めたか」
「違う」
魔王。
玉座の後ろ。
歩く。
勇者。
「どこへ行く」
魔王。
壁。
触れる。
《魔王専用緊急退避路》
ミーナ。
「そんなのあるんですか!?」
魔王。
「城主だからな!」
秘密扉。
開く。
勇者。
「逃げる気か!」
魔王。
振り返る。
「逃げる」
全員。
固まる。
「え?」
魔王。
「我はもう」
指。
勇者。
「変身中に殴られ」
大魔導士。
「必殺技を薬草で止められ」
剣聖。
「四天王召喚は不発」
レオン。
「初心者には二度も城へ侵入され」
ミーナ。
「はい」
「しかも」
魔王。
怒鳴る。
「勇者が初心者の後ろから出てこない!」
勇者。
「戦術だ!」
「知らん!」
魔王。
退避路。
入る。
「今日はやめだ!」
「ラスボスが戦闘放棄した!」
――――
勇者。
「待て!」
追う。
秘密扉。
《魔王専用》
《入れません》
「開けろ!」
魔王。
向こう。
「嫌だ!」
「魔王!」
「帰れ!」
「最終決戦だぞ!」
「後日にしろ!」
「予約制!?」
扉。
閉まる。
《ボスが戦闘エリアから離脱しました》
沈黙。
《戦闘終了》
「……」
《討伐》
《未達成》
「……」
《ボス》
《逃走》
「逃走!?」
勇者。
膝。
つく。
「ラスボスに逃げられた……」
ミーナ。
「新しいですね」
「慰めるな」
――――
レオン。
表示。
見る。
「これ」
「何です?」
《魔王》
《所在不明》
ミーナ。
「……」
勇者。
「……」
大魔導士。
「……」
聖女。
「……」
剣聖。
「……」
魔王。
ラスボス。
最終地点。
不在。
「どうするんですか」
レオンが聞いた。
勇者。
答えられない。
勇者の使命。
魔王を倒す。
問題。
魔王がいない。
「探す」
勇者。
立ち上がる。
「どこを?」
「世界中」
「ラスボス探しから!?」
魔王を倒すための旅は。
最終決戦まで来て。
魔王を探すところから。
やり直しになった。
――――
一方。
魔王城。
地下。
魔王専用退避路。
魔王。
一人。
歩いていた。
「……」
怒っている。
とても。
怒っている。
「薬草」
呟く。
「薬草で」
拳。
震える。
「我の終焉の魔法が……」
先。
出口。
光。
魔王。
出る。
場所。
森。
静か。
鳥。
鳴く。
小川。
流れる。
魔王。
周囲を見る。
「ここは?」
看板。
『ようこそ!』
『はじまりの街リスタへ!』
沈黙。
魔王。
看板。
見る。
「……」
さらに。
《初回来訪を確認しました!》
魔王。
「待て」
《はじまりの街リスタへようこそ!》
「待て!」
《初心者向け案内を開始します!》
「我は初心者ではない!」
《まずは》
《冒険者組合へ行ってみましょう!》
魔王。
顔。
引きつる。
遠く。
リスタ。
見える。
町の入口。
ポポル。
笑顔。
「おお!」
魔王。
「……」
ポポル。
手。
振る。
「新しい冒険者の方ですかな?」
魔王。
世界を滅ぼす者。
レベル100。
ラスボス。
そして。
リスタ。
初回来訪。
だった。
魔王は。
勇者から逃げた結果。
はじまりの街で。
初心者になった。




