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ラスボス前の街が、はじまりの街に宣戦布告した結果――レベル93の将軍が木の棒でスライムと戦う羽目になった  作者: 出水克幸
初心者冒険者がラスボス前の街に行く

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攻略記録その24 世界を救う勇者、初心者を盾にする


「戻せ」


 勇者が言った。


「何をです?」


 レオンが聞いた。


「我のレベルを」


「僕に言われても」


「九十二に戻せ」


「無理です」


「昨日まで九十二だった」


「知ってます」


「四天王を三人倒した」


「すごいです」


「今」


 勇者。


 自分の表示を見る。


《Lv10》


「十だ」


「僕より三つ上です!」


「慰めにならん!」


 終焉都市ヴァルハラ。


 冒険者組合。


 世界を救う勇者一行。


 勇者。


 大魔導士。


 聖女。


 剣聖。


 そして。


 レオン。


 レベル7。


 この五人が。


《初心者支援パーティー》


 として認定された結果。


 世界最高峰の四人は。


 全員。


 レベル10まで落とされていた。


 正確には。


 本来の力を制限されている。


 装備。


 使えない。


 高位技能。


 使えない。


 魔法。


 ほぼ使えない。


 勇者の現在の技。


《斬る》


《強く斬る》


 二つ。


 大魔導士。


《火の玉》


《少し大きい火の玉》


「名前まで初心者向けにする必要あるか!?」


 大魔導士が叫んだ。


 聖女。


《小治癒》


《少し祈る》


「少し祈るって何!?」


 剣聖。


《斬る》


《もう一度斬る》


 剣聖。


 無言。


 ミーナ。


「一番かわいそう」


――――


「では」


 グレンが腕を組んだ。


「レオンをパーティーから外せばよい」


 全員。


 止まる。


「……」


 勇者。


 レオンを見る。


 レオン。


 勇者を見る。


「それだ!」


 勇者が叫んだ。


「外せ!」


《パーティーメンバーを退出させますか?》


「はい!」


《退出できません》


「なぜだ!」


《共通クエスト進行中です》


「何の!?」


《神器・冥界鍵の所有権移転》


 勇者。


 机を叩く。


「貴様が持っているからだ!」


 レオン。


「僕も返したいです!」


《クエスト完了まで対象メンバーを固定します》


 勇者。


「固定するな!」


 ミーナ。


「もう一緒に行くしかないですね」


 勇者。


 頭を抱える。


「四天王最後の一人」


 グレン。


「黒騎将ヴァルムか」


「推奨レベルは?」


「九十五」


 レオン。


「僕七」


 勇者。


「我十」


 大魔導士。


「私も十」


 聖女。


「十」


 剣聖。


「十」


 沈黙。


 レオン。


「……行けます?」


 勇者。


「普通なら行けん」


「じゃあ?」


「普通ではない方法を探す」


 ミーナ。


 勇者を見る。


「染まるの早いですね」


「貴様らの街で三日過ごせばこうなる!」


――――


 黒騎将ヴァルム。


 魔王軍四天王。


 最後の一人。


 居城。


《黒曜砦》


 ヴァルハラから。


 徒歩二時間。


 本来なら。


 勇者一行にとって。


 いつもの遠征だった。


 今日は。


 違う。


「敵!」


 レオンが叫ぶ。


 街を出て。


 四分。


《終末狼》


《Lv77》


 三匹。


 勇者。


 剣。


 抜く。


《装備レベル不足》


「くっ!」


 初心者用鉄剣。


 抜く。


「我がこんな剣を!」


 狼。


 飛ぶ。


 勇者。


「《聖光――》」


《現在使用できません》


「忘れていた!」


 狼。


 迫る。


 レオン。


「勇者さん!」


「分かっている!」


 勇者。


《斬る》


 ざく。


《3ダメージ》


 勇者。


「三!?」


 終末狼。


《HP 2847/2850》


「減ってない!」


 ミーナ。


「逃げて!」


 世界を救う勇者一行。


 開始四分。


 野犬から撤退。


――――


「何だこれは!」


 勇者が走る。


「なぜ我が狼から逃げている!」


「レベル10だからです!」


「頭では分かっている!」


 狼。


 追う。


 剣聖。


「俺が止める」


 振り返る。


《斬る》


《4ダメージ》


 剣聖。


「……」


 もう一度。


《もう一度斬る》


《5ダメージ》


 剣聖。


「技名に対して一しか増えていない」


「落ち込まないで!」


――――


 聖女。


「回復します!」


《小治癒》


《HP+12》


 勇者。


「助かる!」


 狼。


 一撃。


《HP-84》


「足りん!」


 聖女。


「私も知ってます!」


 大魔導士。


「火の玉!」


 ぽん。


《8ダメージ》


「もう嫌!」


 世界最高峰の四人。


 初心者支援。


 何一つ支援されていない。


――――


 その時。


 狼。


 急に。


 止まった。


 三匹。


 レオンを見る。


 レオン。


「……僕?」


 狼。


 唸る。


 一歩。


 近づく。


 表示。


《重要クエスト対象者》


《保護処理を実行します》


 レオン。


「保護?」


 狼。


 飛びかかる。


 レオン。


「うわっ!」


 牙。


 直前。


 止まる。


《ストーリー進行に必要な対象です》


《戦闘不能になりません》


 レオン。


「え?」


 狼。


 噛む。


《0》


 もう一度。


《0》


 狼。


 前足。


《0》


 レオン。


「……痛くない」


 勇者。


 止まる。


 グレン。


 止まる。


 ミーナ。


 嫌な予感。


「まさか」


 勇者。


 レオンを見る。


 狼を見る。


 もう一度。


 レオン。


「僕」


「動くな」


 勇者。


 真顔。


「え?」


「そのまま立っていろ」


 ミーナ。


「勇者さん?」


 狼。


 レオンを攻撃。


《0》


 勇者。


 目。


 輝く。


「使える」


「ダメ!」


――――


「レオン」


「はい」


「前へ」


「嫌です」


「死なない」


「怖いです!」


「我々は死ぬ」


「もっと嫌です!」


 勇者。


 肩。


 掴む。


「世界のためだ」


「世界を盾にしないでください!」


 ミーナが叫んだ。


 だが。


 理屈。


 完璧。


 レオン。


《クエスト重要人物》


《戦闘不能保護》


 勇者。


《Lv10》


 保護。


 なし。


「初心者を守る勇者が」


 ミーナ。


「初心者の後ろに隠れない!」


 勇者。


「戦術だ!」


「最低の戦術!」


――――


 終末狼。


 三匹。


 レオンへ。


 攻撃。


《0》


《0》


《0》


 レオン。


 目を閉じる。


「怖い!」


 勇者たち。


 後ろ。


 攻撃。


《3》


《8》


《4》


《2》


 狼。


 レオンしか見ない。


「なぜ我々を攻撃しない?」


 グレン。


「ヘイトが」


 ミーナ。


 言う。


「レオンに固定されてる?」


 勇者。


「ヘイト?」


「敵が誰を一番狙うかです」


 勇者。


 考える。


「つまり」


「はい」


「レオンが敵を引きつけ」


「はい」


「我々が後ろから殴る」


「はい」


 勇者。


「理想的な盾役では?」


 レオン。


「僕、剣士志望です!」


「今日から盾だ」


「職業を決めないで!」


――――


 一匹。


 倒すまで。


 十二分。


 三匹。


 三十六分。


 勇者。


 疲労。


「狼三匹に三十六分……」


 剣聖。


 座る。


「魔王より精神的にきつい」


 レオン。


「僕、一回もダメージ受けませんでした!」


 聖女。


「よかったですね」


 レオン。


「はい!」


 勇者。


「次も頼む」


 レオン。


「嫌です!」


――――


 黒曜砦。


 到着。


 予定。


 二時間。


 実際。


 六時間十二分。


「日が暮れてる!」


 ミーナ。


 黒曜砦を見る。


 巨大な黒い門。


 兵士。


 魔族。


 城壁。


 そして。


 入口。


 表示。


《推奨レベル95》


 レオン。


「帰りたい」


 勇者。


「我もだ」


 ミーナ。


「勇者が言わないでください」


――――


 正門。


 魔族兵。


「勇者!」


 武器。


 構える。


「ついに来たか!」


 勇者。


 剣。


 構える。


「黒騎将ヴァルムへ伝えろ!」


 魔族兵。


「ここを通りたければ我々を――」


 レオン。


 一歩。


 前。


 魔族兵。


 レオンを見る。


 表示。


《重要クエストアイテム所有者》


 魔族兵。


「……」


 武器。


 下げる。


《ストーリー進行対象者を確認》


《通行を許可します》


 門。


 開く。


 勇者。


「……」


 ミーナ。


「……」


 魔族兵。


「どうぞ」


 レオン。


「ありがとうございます」


 勇者。


「待て!」


 魔族兵。


「何だ」


「我々は?」


《同行者》


「同行者!?」


 勇者。


 四天王。


 三人。


 倒した。


 現在。


 レオンの同行者。


――――


 砦内部。


 敵。


 大量。


 しかし。


 全員。


 レオンを見る。


《重要人物》


 攻撃。


 しない。


 勇者たち。


 後ろ。


 ついていく。


「……戦わず進める」


 大魔導士。


「楽ですね」


 ミーナ。


「完全にボスまでスキップしてる!」


 勇者。


「悪くない」


「勇者がショートカットに目覚めないで!」


――――


 分岐。


 右。


 左。


 中央。


 勇者。


「右だ」


 レオン。


「こっち光ってます」


 左。


 床。


 淡い青い線。


《クエスト対象への最短経路》


 勇者。


「左だ」


「切り替え早い!」


――――


 宝箱。


 途中。


 レオン。


「あります」


 勇者。


「開けるな!」


 全員。


 反応。


 速い。


「何でですか?」


「貴様は二度と宝箱へ近づくな!」


「そこまで!?」


 魔王城。


 トラウマ。


 勇者にも。


 伝染。


――――


 黒曜砦。


 最上階。


 巨大な扉。


《ボスエリア》


 勇者。


 深呼吸。


「ここだ」


 レオン。


「ヴァルム?」


「ああ」


「強いです?」


「強い」


「どれくらい?」


「昨日の我でも油断できん」


 レオン。


 勇者。


《Lv10》


 見る。


「今日は?」


「聞くな」


――――


 扉。


 開く。


 巨大な広間。


 中央。


 黒い鎧。


 身長。


 三メートル。


 大剣。


 黒騎将ヴァルム。


 四天王最後の一人。


「来たか」


 勇者。


 一歩。


「ヴァルム!」


 ヴァルム。


「勇者よ。よくぞ――」


 レオン。


 入る。


 ヴァルム。


 止まる。


「……誰だ?」


 レオン。


「レオンです」


「知らん」


「僕も初めて会いました」


「そうだろうな」


 勇者。


「話を続けろ」


「うむ」


 ヴァルム。


「勇者よ。ついに貴様もここまで――」


《イベント条件を確認》


 ヴァルム。


 止まる。


「またか?」


 ミーナ。


「またです」


《四天王討伐数》


《3/4》


《勇者一行》


《到達》


《神器》


《6/7》


《神器・冥界鍵》


《到達》


 勇者。


「条件は揃った!」


《ただし》


 ミーナ。


「ただし?」


《冥界鍵所有者》


《勇者ではありません》


 勇者。


「……」


 レオン。


「僕です」


《イベント主役を変更します》


 勇者。


「待て」


《ボスイベント対象》


《レオン》


「待てええええ!」


――――


 音楽。


 鳴る。


 ヴァルム。


 レオンを見る。


 勇者。


 横。


《同行NPC》


 勇者。


「NPC!?」


 大魔導士。


《同行NPC》


 聖女。


《同行NPC》


 剣聖。


《同行NPC》


 ミーナ。


「勇者パーティー全員脇役になった!」


 ヴァルム。


 困る。


「我は」


「はい」


「勇者と戦うために」


「はい」


「ここで待っていた」


「はい」


「何年も」


「はい」


 レオン。


「すみません」


「なぜ貴様が謝る!」


――――


 イベント。


 続く。


 ヴァルム。


 本来。


「勇者よ!」


 と。


 言うはずの台詞。


「レオンよ!」


 レオン。


「はい!」


「貴様との因縁!」


「今日初対面です!」


「我が祖国を滅ぼした罪!」


「七歳の時、リスタにいました!」


「我が弟を!」


「知りません!」


「愛する者を!」


「ほんとに知りません!」


 イベント台詞。


 人物名だけ。


 差し替え。


 内容。


 そのまま。


 ミーナ。


「自動置換が雑すぎる!」


――――


「もうスキップしろ!」


 勇者。


 耐えられない。


《イベントをスキップしますか?》


 レオン。


「はい」


 ヴァルム。


「待て」


《スキップ》


 暗転。


 一秒。


 明転。


 ヴァルム。


 第二形態。


「なぜ我の変身まで飛ばした!」


 ミーナ。


「演出に含まれてた!」


 勇者。


「時間短縮にはなる」


「勇者さんが完全に染まった!」


――――


 戦闘開始。


《黒騎将ヴァルム》


《Lv95》


 対。


《レオン Lv7》


《同行NPC Lv10》


 レオン。


「無理!」


 ヴァルム。


「我もそう思う」


 勇者。


「しかし戦わねば進まん」


 ミーナ。


「何か方法を――」


 ヴァルム。


 大剣。


 振る。


 レオン。


 直撃。


「レオン!」


《0》


 沈黙。


《重要クエストアイテム所有者》


《戦闘不能保護》


 ヴァルム。


「……」


 勇者。


 目。


 輝く。


 ミーナ。


「やめて」


 勇者。


「レオン」


「嫌です」


「前へ」


「嫌です!」


「世界のためだ」


「その言葉二回目です!」


――――


 ヴァルム。


 レオン。


 斬る。


《0》


 斬る。


《0》


 突く。


《0》


 蹴る。


《0》


 ヴァルム。


 止まる。


「何だ貴様」


 レオン。


「僕も分かりません!」


 勇者。


 後ろから。


《強く斬る》


《5》


 ヴァルム。


 振り返る。


 レオン。


 前。


 ヴァルム。


 またレオンを見る。


「なぜこいつを無視できん!」


 ミーナ。


「クエスト対象だから!」


 ヴァルム。


「理不尽!」


 魔王軍四天王。


 初めて。


 攻略律へ。


 正論。


――――


 勇者たち。


 攻撃。


 五。


 七。


 四。


 三。


 ヴァルム。


 HP。


《179,982/180,000》


 勇者。


「……」


 レオン。


「何時間かかります?」


 大魔導士。


 計算。


「現在の火力なら」


「はい」


「二十時間以上」


 全員。


「無理!」


 ヴァルム。


「我も帰りたい」


 ボスまで。


 心折れた。


――――


「何かないか!」


 勇者。


 部屋を見る。


 柱。


 燭台。


 鎧。


 巨大な鐘。


 床。


 端。


 崖。


 レオン。


「あれ」


「何だ?」


 ヴァルムの後ろ。


 黒い鎖。


 壁へ。


 繋がる。


《ボスギミック》


《封印鎖》


 ミーナ。


「ギミック!」


 勇者。


「壊せ!」


 レオン。


 木剣。


 一撃。


《封印鎖を破壊しました》


「木剣で!?」


 ヴァルム。


「待て!」


 床。


 揺れる。


 ヴァルムの鎧。


 崩れる。


《防御力低下》


《-90%》


 勇者。


「これだ!」


 全員。


 攻撃。


《52》


《71》


《48》


「十倍!」


 ミーナ。


「それでも低い!」


――――


 二本目。


 鎖。


 破壊。


《攻撃力低下》


 三本目。


《行動速度低下》


 四本目。


 レオン。


「これも?」


 ヴァルム。


「それだけはやめろ!」


「何です?」


《ボス落下防止鎖》


 全員。


 止まる。


 ミーナ。


「……落下防止?」


 ヴァルム。


「見るな」


 勇者。


「壊せ」


「勇者!?」


 レオン。


「えい」


《ボス落下防止鎖を破壊しました》


 ヴァルム。


「貴様らあああ!」


――――


 ヴァルム。


 勇者へ。


 突進。


 勇者。


 避ける。


 ヴァルム。


 止まれない。


 床。


 端。


「……」


 ヴァルム。


 下。


 見る。


 深い。


 深い。


 穴。


 ミーナ。


「あ」


 ヴァルム。


「待て」


 落ちる。


「待てえええええ!」


 ひゅううううう。


 消える。


 沈黙。


《黒騎将ヴァルムを討伐しました》


「落下で!?」


 勇者。


 剣。


 しまう。


「勝ちは勝ちだ」


「勇者が言っちゃダメな台詞!」


――――


《経験値を獲得しました》


 レオン。


「え?」


《大量の経験値を獲得しました》


 ミーナ。


「待って」


 レオン。


 光。


《レベルが上がりました》


《Lv8》


 光。


《Lv9》


 光。


《Lv10》


「止まらない!」


《Lv11》


《Lv12》


《Lv13》


《Lv14》


 勇者。


 見る。


「上がるな」


《Lv15》


「止まれ!」


《Lv16》


 レオン。


「僕に言われても!」


 四天王。


 レベル95。


 討伐。


 経験値。


 大量。


《Lv21》


《Lv22》


《Lv23》


 レオン。


「二十三!」


 ミーナ。


「初心者卒業したばかりなのに!」


《初心者支援パーティー条件を再確認します》


 勇者。


「あ」


《低レベルメンバー》


《Lv23》


《レベルシンク上限を再計算します》


 光。


 勇者。


《Lv26》


 大魔導士。


《Lv26》


 聖女。


《Lv26》


 剣聖。


《Lv26》


 勇者。


 拳。


 握る。


「上がった!」


 ミーナ。


「そこ喜ぶレベルじゃないでしょう!」


 勇者。


「十よりマシだ!」


――――


《神器・冥界鍵関連クエスト》


《進行条件を達成しました》


 全員。


 止まる。


「来た!」


 レオン。


 表示。


《所有権移転が可能です》


 勇者。


「渡せ!」


「はい!」


 レオン。


 黒き鍵。


 勇者へ。


《神器・冥界鍵を渡しました》


 成功。


「やった!」


 勇者。


 神器。


 七つ。


《神器》


《7/7》


「揃った!」


 さらに。


《星断ちの聖剣》


《関連クエスト条件を達成しました》


 勇者。


「それも!」


 レオン。


「はい!」


《星断ちの聖剣を渡しました》


 勇者。


 受け取る。


 ついに。


 勇者。


 最終装備。


 手。


 戻る。


 勇者。


 震える。


「長かった……」


 ミーナ。


「三日くらいです」


「我には三年に感じた」


――――


 勇者。


 聖剣。


 装備。


《必要レベル90》


《現在レベル26》


《装備できません》


 沈黙。


「……」


 勇者。


「……」


 レオン。


「返します?」


「いらん!」


 勇者。


 聖剣。


 所有。


 回復。


 装備。


 不能。


 状況。


 半分しか直っていない。


――――


 その瞬間。


 空中。


 表示。


《四天王を全員討伐しました》


《神器を七つ集めました》


《勇者の最終装備を取得しました》


 勇者。


「よし」


《最終決戦への条件を満たしました》


 ミーナ。


「いよいよ?」


 勇者。


「ああ」


《魔王城への転移門を開放します》


 黒曜砦。


 中央。


 巨大な青い門。


 開く。


 向こう。


 魔王城。


 最深部。


 玉座。


 見える。


 レオン。


「あ」


 ミーナ。


「何です?」


「行ったことある」


《訪問済み地点を確認しました》


 ミーナ。


「待って」


《レオン》


《魔王城最深部》


《訪問済み》


《魔王戦》


《経験済み》


 勇者。


 顔。


 引きつる。


「経験済み?」


 レオン。


「チュートリアルで」


「我より先に?」


「はい」


《経験済みメンバーが存在します》


《重複演出を省略します》


 勇者。


「何を」


《魔王城攻略部分をスキップします》


 勇者。


「待て!」


《最終決戦地点へ直接転移します》


「待てえええ!」


 光。


 勇者。


 レオン。


 大魔導士。


 聖女。


 剣聖。


 ミーナ。


 一斉。


 消える。


――――


 魔王城。


 最深部。


 魔王。


 玉座。


「……」


 青い光。


 勇者一行。


 出現。


「魔王!」


 勇者。


 叫ぶ。


 魔王。


 立つ。


「ついに来たか、勇――」


《経験済みメンバーを確認しました》


 魔王。


 止まる。


「……」


 レオン。


 手。


 挙げる。


「こんにちは」


 魔王。


 顔。


 引きつる。


「貴様」


「はい」


「また来たのか」


「はい」


 表示。


《オープニング演出をスキップします》


 魔王。


「待て!」


 黒い炎。


 消える。


 玉座。


 消える。


 前口上。


 消える。


 音楽。


 途中から。


 始まる。


 魔王。


「我の登場を返せえええええ!」


 世界の最終決戦。


 開始五秒。


 ラスボスの一番楽しみにしていたところが。


 初心者一人のせいで。


 全部飛ばされた。

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