悪魔がウチにおりまして・1306
ウチには悪魔がいる。
水晶に手をかざしている悪魔が。
「ニンゲンの未来を当てましょうー」
「どしたの?頭打った?」
まんまる水晶に手をかざし、薄いヴェールを被って気分は占い師ですか。
「ふっふっふ、ボクの真の力を見せてやるですー」
まぁ、ヒマだから付き合ってあげますか。
「見えます……今日の晩御飯は生姜焼きです!」
「カレンダー見たでしょ」
「……」
なんか言いなさい?
「ニンゲン、今日は水難の相があります。ずぶ濡れになるでしょう!」
「お風呂、まだだからね」
「……」
なんか言いなさいって。
「ニンゲンがいじめますー」
クモに助けを求めるがクモはロフトから見下ろしてひとつため息。
「クモちゃーん!かむばーっく!」
逃げてないの、呆れられてるの。
「なんでそんなインチキ占い始めたの?」
「この前童話を読んだですっ」
悪魔が出してきたのは砂漠のおとぎ話。
おんやぁ?
「占い師、出てこないよね?」
「このお話しているのは占い師ではないのですかっ!?」
珍しい読み間違えしてるじゃない。
「占い師要素無くない?」
悪魔がぱらりとページをめくると、挿絵を無言で指さした。
今悪魔がしている恰好にそっくり。
「これ!これ!占い師じゃないですかっ」
その気持ちもわかる。
「たぶんこれをモデルに占い師のイメージが決まったのよ」
私もよく分からないけど、みんな口元にヴェール付けてるよね。
「それならボクがこれを付けている意味はっ」
「ない」
あくまで衣装でしょ。
悪魔はヴェールを取ると床にふんわり投げた。
「弱いわね」
「レンタルなので」
借り物壊しちゃダメだもんねぇ。
「ミミ殿、またあらぶってますねぇ」
狐が外から帰ると笠をひっかける。
「ごんちゃん!ボクに占いを教えて」
「お断りちます」
悪魔、そのままヘッドスライディング。
「ごんちゃん!?」
「そもそも某の修める占いはミミ殿には不向き、お引き取りを」
西と東の差はあるよねぇ。
「そこをなんとか!」
「なりませぬ」
その後の押し問答は20分くらい続いた。
ウチには悪魔がいる。
「もういいの?」
「頭、坊主にするのは嫌です」
それも騙されてるって。




