悪魔がウチにおりまして・1305
ウチには悪魔がいる。
ヒーロースーツを着ている悪魔が。
「へーんしん!とう!」
もうしてるのよ、変身。
「我が必殺のミラクルソリューションダイナミック……」
長々しい口上の途中で被っていたマスクを外す。
「いやん」
いやんじゃないのよ。
「ボク、恥ずかしくて古墳に入れないです」
それは生贄?それとも主として?
「せめて観光と思ってほしいのです」
ゆっくりヒーロースーツを脱ぎながら綺麗に畳む。
「そんな衣装、どこから借りてきたの?」
さすがにこんなもの、買ってないよね?
「知り合いのコスプレ好きから借りたですー」
あえていらない情報はスルーしますね?
「よくアンタが着れるサイズあったわねぇ」
コイツの体型は人間とはずいぶん違う。
そんな身体でも着れる服はなかなかない。
「これ伸びるですー、フリーサイズです」
さっき畳んだ服をみょーんと伸ばす。
確かに両手いっぱい拡げてもすぐに元に戻った。
「その友だち、こっちの人?」
こんな便利な素材、こっちには無い。
「いえ、ヒーローに憧れてよくこっちに来てますから」
悪魔族も趣味は色々ねぇ。
「こっちではヒーローは人気なのですー」
アンタらを倒す役なのに?
悪魔はふるふると首を振る。
「力が弱くても立ち向かう勇気、それがよいのですよー」
コイツらからしたらそう写るのか。
「でも弱いのになるのってどうなの?」
「ニンゲンもネコのコスプレくらいするでしょう?」
しませんが?
「憧れとか、かわいいものには誰でもなりたいのです。ねー、うぱちゃん?」
気が付いたらヒーロースーツに頭を突っ込んでいるうぱ。
その身体にぴったりくっついた謎のスーツを嬉しそうに着ている。
「似合うの、なんなんだろ?」
「ボクの方が似合うです!」
どう見てもこっちの方が似合うのよねぇ。
赤いスーツを着たうぱはポージング、そのまま光る玉を生み出した。
「うぱちゃん、内容変わるので無しで」
「ぷー」
たしなめられ、玉を消す。
なんだったのだ、今のは。
「ニンゲン、知らない方が良いことも有ろうなのです」
嫉妬かなくて危なくない?今の危なくない?
「というわけでうぱちゃん、秘密を守るためいつものパトロールですー!」
「ぱー!」
そのまま止める間もなく、2匹の動物は走り去るのでした。
ウチには悪魔がいる。
「りんご飴売ってました」
「ぱー!」
カラフルな飴をたくさん持ってきた悪魔が。




