悪魔がウチにおりまして・1304
ウチには悪魔がいる。
低い声で咳込んでいる悪魔が。
「ニンゲン、お薬ー」
布団で寝込んだ悪魔がゴロゴロと転がってくる。
「ちゃんと歩きなさい」
布団にくるまったまま転がるものじゃありません。
「作者に移された?」
作者も絶賛風邪引いてるらしいから。
「いえ、ちょっと遊び過ぎました」
そんなことでこんな寝込む?
「こんなことなら『どきっ☆悪魔だらけのおしくらまんじゅう』に参加しておけばよかったです」
なんなの、その絶妙に気になるタイトルは。
「悪魔族の風物詩です、みんなで寄り集まって酒を飲み、ぶつかり合って最後まで立っていたら優勝です」
想定以上に荒々しいお祭りだった。
「そうですとも!」
なぜかハゲかつらを被った羊が飛び出してくる。
「ミミ君不参加のせいで私は1ヶ月この有様!ああ、口惜しい、口惜しい!」
「げほっ!羊さん、ウィルス持ち込まないでくれます?」
「おかしい!」
相変わらず仲いいなぁ。
「負けたは負けたんだろうけど。なんでかつら?」
それだけで済んでるならむしろ温情じゃない。
「日常をこの格好で過ごすのが温情で?」
私は絶対嫌だけど。
「このかつらは歴代の敗者に授けられる不名誉なんです」
嫌な伝統もあったものだ。
「別に外しても構わないのですが、ちょっと美味しく、皆がお茶奢ってくれたりします」
実質の名誉じゃない。
「そうは言っても羊さん、ボクがいないだけで負けるなんて情けないですー」
どういうルールかわからないのでなんとも言えないけれど。
「牛さんも来ませんでした」
「……」
悪魔は目を反らし、わざとらしく咳込む。
「そのおしくらまんじゅう、何人でやるの?」
「……3人、です」
そりゃ怒られるって。
「でも!牛さんは出ると思って!」
「牛さんは膝に水が溜まって病院でした」
2/3故障なら勝てないでしょ。
「なので、ここに貰ってきました」
羊は、ハゲかつらを取り出す。
「嫌です!こっちでは誰も慰めてくれません!」
「問答無用!」
「あー!」
ウチには悪魔がいる。
「取れば?」
「決まりですから」
律儀に辱めを受けている悪魔が。




