悪魔がウチにおりまして・1302
ウチには悪魔がいる。
ロウソクを捧げ持っている悪魔が。
「ニンゲン、幸せになりたいですか」
アンタが言うと一気に不幸せになりそうなんだけど。
「それは先入観です。ボクを信じても幸せになれます」
自分の胡散臭さは自覚しているようで結構。
「それにロウソク危ないでしょう」
「それも先入観です。ライトなんで」
あるよねぇ、ロウソク型ライト。
「今回は何に影響受けたの?」
「実はですねぇ」
悪魔が取り出したのはタブレット。
「このマンガがとっても面白くて」
画面には『炎で癒す・悩みの整え方』と表示されている。
「アンタ、こっちに来た目的は?」
「人間たちの堕落っ」
わかってるならいっかぁ。
タブレットをめくっていくと中には本当にストレスを癒す方法が書かれている。
「へぇ、アンタもストレスなんかあるの?」
「ボクほど日頃ストレスを受けながら生きている存在はありません!」
アンタのせいで私もストレスの時あるけどね?
「方法1。ロウソクの炎を見つめましょう」
「はいっ1」
悪魔が手に持ったロウソクを突き出してくる。
「揺れる炎を見つめることで癒されます」
「ゆらゆらー!」
手で揺さぶってもダメでしょう。
「方法2。カモミールティが効果的」
「こちらですっ」
「かもみるー」
差し出されるお湯に使ったヨモギ。
たまにとんでもない使い方をする。
「いーい?自分の尊厳は失っちゃダメ、わかった?」
「たすけてー」
頷くヨモギ。
なんで私は葉っぱに説教してるんだろう。
「こいつら、なんで普通にウチにいるの?」
「ぱさちゃんと仲が良いので」
不思議生き物同士共感するところがあるのかしら。
「方法3。寝る」
「身も蓋もないっ」
悪魔もそう思う?
「そんなゆっくり寝れるならストレス溜まらないんだよねぇ」
「ですねぇ」
さっきまでヨモギの浸かっていたお茶をすする悪魔。
「……ニンゲン、コーヒーあります?」
美味しくないだろうねぇ、ヨモギだし。
ウチにはヨモギがいる。
「いいですか、これからは煮出されたら美味しいお茶を出さねばなりません」
「たすけて?」
理不尽な説教を受けているヨモギが。




