悪魔がウチにおりまして・1300
ウチには悪魔がいる。
クマの手を装備した悪魔が。
「がおー!食べちゃうですー」
お手手にクマの手袋を付けた悪魔がなんかやってる。
「狐ちゃん、猟銃」
「ニンゲン殿、ためらい」
こういう時は思い切りが大切よ。
「ニンゲン!?いきなり凶器を持ち出すなど!」
アンタも恐ろしい手袋付けてるじゃない。
「どう見てもぬいぐるみにそこまでやるなですー!」
じゃあそもそも威嚇なんてしないの。
「ミミ殿、そんな愛くるちい手袋、如何ちたので?」
狐は悪魔の手袋をふにふにしながら尋ねる。
「福引で貰ったですー、ねーうぱちゃん」
悪魔の後ろにいたうぱに目をやると、これまたふわふわのたてがみを生やしている。
「肉食ばかりですね」
「ですです『おつよいあにまる』の福引なので」
悪魔はうぱとハイタッチ。
「おつよいあにまる?」
「最近出てきた、動物のぬいぐるみブランドですー」
どうやら強めの動物をかわいくがコンセプトのようで、クマやライオンだけでなく、トラ、オオカミなど肉食動物を中心にゆるくやってるらしい。
「そういえば狐も肉食では?」
「某たちは雑食です」
むすっとした狐、ごめんて。
「その福引、誰でも引けるので?」
うぱのほっぺを引っ張りながら尋ねると、悪魔は首を振った。
「ぬいぐるみ5,000円以上で1回ですー」
つまり最低1万以上使ったわけか。
「そのぬいはどこに?」
「かおりちゃんにあげたですー」
いけませんよー、そんなほいほいあげたら。
「ボクたちがしたかったのは福引なので、ねー?」
うぱと一緒に首を傾ける。
「ぬいぐるみってどんなのよ」
「これですよー」
悪魔がスマホを取り出すと、そこにいたのは大きなぬいぐるみをだっこした女の子。
「誕生日だったので奮発ですー」
ちゃんと特別な日なら仕方ありません。
「でも、このぬいぐるみ」
「ステゴサウルスです」
コンセプト、いず、どこ。
「強い動物です」
恐竜を動物判定していいのか微妙でしょ。
「でも、嬉しそうねぇ」
写真で微笑んでいる女の子。
「珍しく、良いことしたね」
「珍しくって何です!?」
そこは皮肉でしょ。
ウチには悪魔がいる。
こっそり自分の部屋にティラノを運んでいる悪魔が。




