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悪魔がウチにおりまして  作者: 長峰永地


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1310/1318

悪魔がウチにおりまして・1299

ウチには悪魔がいる。

鉄板に油を塗っている悪魔が。


小麦粉を溶いた生地を流し込み、小気味いい音を立てている。

「なに、それ」

まるでお店でも開けそうな大きい鉄板にいつものことかと諦めつつ。

「あくま焼きです」

ついに自らに苦痛を処しますか。

「それは焼き悪魔です。今回はあくま焼きです」

何が違うの?

「ニンゲン、タコ焼きはタコを中に入れます。人形焼きは人形の形だけです」

言わんとしていることはわかりました。

「つまりたい焼きのバッタもんと」

「オマージュです」

確かにオマージュでいいか。

「問題は中に何を入れるか考えているのです」

焼き始めてから?

「もちろん、普通のものも入れます。あんこ、クリーム、ピーナツバター」

最後だけで充分個性なんだよなぁ。

「でもこのままでは埋もれてしまう。ニンゲン、なにかいい案はないですか?もちろんあんこではありません」

その注意、いるかなぁ?

「あんたの好きな物でいいんじゃない?」

どうせ普通におかしなもの練り込むでしょう。

「うぱちゃんに聞いたらイチゴと言われました、高いです」

クリームじゃなくて実のほうかぁ。

「クモには聞いたの?」

「クモちゃんは黒蜜と言われました」

それ、美味しそうじゃない?

「試したら全部流れちゃいました」

蜜だとそうなっちゃうよね。

「代わりに生地に練り込んで妥協してもらったです」

クモ、ロフトの上からサムズアップ。

「そうなるとねぇ」

すでに結構個性的だと思うけど。

「ミミ君!それならばこうしたらどうですかっ」

羊がクローゼットから飛び出してくると、嬉しそうに微笑んでいる。

「羊さん、1枚噛みたいですか?」

言い方が悪い。

「せっかく黒蜜で甘い生地なのでしょう?それならば、あえてしょっぱいものを挟みましょう」

羊はベーコンの塊を取り出すとサイコロ状に切り分ける。

「……このベーコン、美味しいですー」

美味しいものの前には無力の悪魔、羊とがっちり手を握りあう。

「どうも。ぽん君に頼んで置いた特注品、こんなところで役にたってよかった」

あのモグラ、なんでもやってるなぁ。

「では早速、お店の場所を」

羊の温度で始まりかけたお店計画、悪魔は首を傾げている。

「出さないですよ?ボクが個人的に楽しむだけです」

ピザ窯に続いて邪魔なものをすぐ増やす!


ウチには悪魔がいる。

「なんでやらないの?」

「営業許可面倒です」

あーそれは確かに。

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