悪魔がウチにおりまして・1297
ウチには悪魔がいる。
目の前でシェイカーを振っている悪魔が。
「こちらジンライムですー」
それってシェイカーいらなくない?
出されたカクテルに口を付ける、美味しい。
「ところでいつものザリガニの店じゃないのは?」
悪魔は大きく手を振った。
「いいじゃないですか!たまにはちゃんとしたバーに居たって!」
ちゃんとしたバーじゃなくしたのはアンタのうどんでしょう。
「ボクは与えられたことをやっただけです!むーむー!」
新しい怒りの付け方をするのはやめなさい。
「空いてますか?」
「開いてるから入れるですー!」
意味が違うでしょうよ。
狐がむっつり顔で入ってくると、低い声で注文する。
「バーボン」
「カクテル作りたいですー!」
「ミミ殿、バーテンダーは注文を素直に出すものです」
あれ、狐が珍しく強い……と思ったけど、普段から強かった。
「どうしたの?狐ちゃん」
「某も酔いたい時はあるものです」
「バーボン並盛ー!」
悪魔はジュースグラスに並々注いだバーボンを出す。
「……やり過ぎでは?」
「たまにはいいのですっ」
まぁ、それで酔えるなら。
「某は、頑張ったのです」
いきなり涙酒ですか?
「ごんちゃん、聞きますよ」
「毎日、それこそ毎日頑張ったのです」
珍しく要領を得ないわねぇ。
「来る日も来る日も積み重ね、それを頑張って」
「ごんちゃん、何を言いたいのです?」
悪魔に言われた!?
「詳しくはwebで」
余裕あるなら聞かないわよ!?
「バーボン追加ですー!」
潰す方向に舵切った!?
「薄い!」
「原液です!」
狐がボケに回るとしっちゃかめっちゃかになることがわかった。
「まぁミミちゃん、こう言ってることだし」
グラスを拭きながらイモ虫が頷く。
「何もわかってないでしょ」
「無理じゃない?今回そういうオチでしょー」
オチとか言わないの。
「ボクはバーテンダーできたから満足です」
「マズい!もう一杯!」
こんなにも帰りたいバーになるなんて思わなかった。
ウチには狐がいる。
「何を失敗したのです?」
「進級試験です。もう少し大きい社を任せて貰えるところでちた」
そりゃ荒れるわねぇ。




