悪魔がウチにおりまして・1202
ウチには悪魔がいる。
「みきゅっ!?」
悲鳴を上げた悪魔が。
「ニンゲン、やべいです。深爪です」
その割には落ち着いて、うわお。
とてとて歩いてきた悪魔の後ろにはぽたぽたと赤いシミ。
手を肩まで上げているが一筋の赤い線。
「病院?」
「いえ、たぶん縛れば止まります」
なるほど、自分じゃできないから、やれと。
「クモ、降りてきてー」
ロフトの上に居たクモが覗き込むと目を見開いた。
そのまま飛び降りて、なんなら落ちてきて悪魔をぐるぐる巻きにする。
「やり過ぎじゃない?」
悪魔、なんかむぐむぐ言ってるし。
口の当たりの糸を……切れない。
「クモ、このままだと悪魔酸欠になるよ」
ところで悪魔って酸素呼吸してるのだろうか。
その答えを導くために、そのまま放置を……。
「するなです!」
おぉ、根性でかみ切ったか。
「クモちゃん良いですか。身体を全部縛ると逆に血圧が上がって血が止まりません。局部です、なんなら手首をすこーし縛れば良かったです。なのでこの糸を解くです」
切羽詰まってるのか1から10まで説明してる。
珍しいこともあるものだ。
それを受けたクモは納得したように脚を叩く。
さて、糸を切ろうと……切れない。
「クモちゃん、もしかして力の限り強い糸出しました?」
クモは右側目を閉じながら頭を掻いている。
「クモ、お転婆なんだからー」
あれ、クモの性別どっちだっけ?
「お転婆ってる場合じゃないですー!もしかしてボクはこのままさなぎになるしか無いのですか!」
さなぎにはならんだろうよ。
「解けないのは仕方ないでしょう、今日の晩御飯はクモにあーんしてもらいなさい」
それくらいはやりなさいね。
「でも血が止まらなかったらどうするです?赤さなぎになったら」
赤ずきんみたいに言わないの。
「そんなミミちゃんに朗報!」
最近よく湧くわね、イモ虫。
「今!貴殿の相手をする余暇などありはしない!曲者ぞ、であえであえー!」
余裕なくてキャラ変わってるよー。
「このみーの目を以てすれば!糸の中を透視するなどたやすく候!いかに、いかにー!……うん、ちゃんと止まってる」
乗るな、イモ虫。
「良かったじゃない、ちゃんと止まってるって」
悪魔の顔が明るくなったが、すぐに眉にシワが寄る。
「……それはありがたいのです。でも、これどうやって抜け出すです?」
……さて、夕飯の支度を。
ウチには悪魔がいる。
「すまんです、クモに縛られて動けなくなったです……嘘じゃないですー!」
電話口で怒鳴られている悪魔が。




