悪魔がウチにおりまして・1203
ウチには悪魔がいる。
考える悪魔になっている悪魔が。
「ニンゲン、ボクは思うです」
箱に座りアゴに手を当てて下に俯いたまま、話しかけてくる。
「この体勢、腰に来ます」
立ち上がれ、明日のために。
「だったらなんでそんな体勢してるのよ」
「この姿勢でいると、なんか賢くなった気になるからです」
その発想がすでに頭悪いんだけど。
「この目線の先にあるのは、天国でしょうかそれとも煉獄でしょうか」
マイナーな獄の方チョイスしないの。
「地獄見てるんでしょ、たしか」
本来もっと大きな彫刻の一部って聞いたことある。
「そんなことではないのです!ニンゲン!」
今、グキっていったけど大丈夫?
「そっと、そっと座らせてくださいなのです……」
ほらほら、おじいちゃん。いきなり立つからですよー。
「ついでにイチゴみるくを所望するです」
自分で動け。
イチゴみるくと聞きつけてうぱが目を輝かせながらコップを持ってくる。
「うぱちゃん、ありがとうです」
そのイチゴみるくを口に含んだ悪魔はふぅと息を吐く。
「……私は、何を見せられているんだ?」
「天国じゃないです?」
「うぱうぱ」
この光景の是非は置いておいて。
「アンタ、天国が良いところにしていいわけ?」
確か、人間を堕落させるために来てるんでしょ、コイツ。
「ですです。ニンゲンたちが天国に行くのを阻むのがボクの仕事。つまり天国は良いところです」
なんかゆるいんだけど。
「でもさ、天国って神ちゃんのいるところでしょ?」
ご飯的に地獄では?
皆まで言わず察したのか悪魔は目を細める。
「ニンゲン、別に神ちゃんがご飯作るのは羊さんにだけですよ」
「ところが聞いてください!」
悪魔の腰かけた箱の中から羊登場。
悪魔、そのままひっくり返る、声すら上げない。
「聞く前に悪魔の腰にダイレクト効いてるみたいだけど?」
「おやミミ君!恨みしかありませんがどうしました?」
何をされたんだよ、悪魔に。
うんともすんとも言わない悪魔は放置、うぱに任せましょう。
「で、アンタ以外にも作ってるの?」
「ええ、最近天国食堂に行ってるみたいで」
……人に振る舞ってるの、あの子。
「どうやら、お金を頂く場合レシピの重要性に目覚めたらしく。この前作ってくれたサバ味噌は絶品で」
また渋いものを。
「逆に言うとサバ味噌以外作らせて貰ってません」
完全に矯正させられてるじゃない。
「おかげで、週4サバ味噌ですが……まぁ今までよりは」
アンタも苦労してるのねぇ。
ウチには悪魔がいる。
「あ、ヤバいです。コレ、完璧に逝ったです」
仰向けで虚空を眺めている悪魔が。
全治、1ヶ月でした。




