悪魔がウチにおりまして・1198
ウチには悪魔がいる。
鉛筆を削っている悪魔が。
「ニンゲン、鉛筆とは無常な物です」
まぁ常に削れているからね。
「そういう意味ではないのです」
ぷくっと頬を膨らましながらこちらに鉛筆を向けてくる。
「いいですか、ニンゲン。円錐というのは円柱の1/3しか体積がありません」
いきなりちゃんとした話になってきたわね。
「つまりこの職人が1本1本丁寧に作り上げた鉛筆も、1/3しか使えないということです」
悪魔の持っている鉛筆を見る。
コンビニでも売っているひとつばえんぴつだった。
「ニンゲン、世界は無常です。どれほど努力をしても、愛しても1/3しか使えないのです」
「そうねー」
急に面倒になっちゃった。
「ボクはこの世界の2/3を救いたいのです、ニンゲン」
「頑張れー」
この子が張り切るのは良いことじゃないからなぁ。
「そんなわけでニンゲン。今日の晩御飯はカレーが良いのです」
繋がりがないのよ。
「何の話?」
「カレーに入れる食材全て使えば2/3を救える気がするのです」
そんな量、皮を剥いてません。
「要するにカレーが食べたいの?」
「そうとも言います」
そうとしか言ってないだろうが。
「別にいいけど、肉あったかな」
別に野菜だけのカレーでも良いけど……。
「ないなら買ってきます!イノシシですか、クジラですか!」
そんな高級食材は使いません。
「久しぶりにチキンカレーが食べたいかも、ムネ肉あったら買ってきて」
「え!?そこはモモ肉では!?」
おっと、ダイエットしている者の発言とは思えませんなぁ。
「脂身多いじゃない、ムネならさっぱりよ?」
「何をおっしゃるニンゲンさん!」
はい、私人間です。
「脂身じゅわー、お肉やわやわがいいのです!」
「いただけません……」
狐が話の途中にひょっこり壁から出てくる。
なぜ埋まっていたのですか?
「脂身は身体の老化を進めます、ニンゲン殿ムネ肉を」
狐ってそういうのこだわるんだ。
「健康ばかり気にしていても仕方ありません!たまには不健康を、身体に悪いものを!」
ジャンクフード食べたくなる時もあるなぁ。
「じゃあ、悪魔、バラ肉買ってきて炒める?」
「めう」
ちゃんと応えなさいよ。
「では!行ってくるです!ムネ肉ファイヤー!」
「……ミミ殿、最近小動物になってませんか?」
元からじゃない?
ウチには悪魔がいる。
カレーオン豚バラを美味しそうに食べている悪魔が。




