悪魔はウチにおりまして・1189
ウチには悪魔がいる。
ゴムをにょーんとしている悪魔が。
「ふんっふんっ」
元々の長さ5センチ程のゴムをにょーんするのを繰り返している。
「筋トレ?いきなりどうしたの?」
「ニンゲン!まっそーにならないですかっ」
なりません、と言うかそのゴムそんな伸ばして切れないの?
パッと見、悪魔は両腕をピンとしている。
1mは越えているのではないか?
「こっちのゴムは強靭です!まっそー!」
その技術、こっちに頂戴。一儲けしましょ。
「ミミ殿、腕を鍛えてもお腹の肉は落ちませんよ」
湯呑を傾けた狐の言葉に悪魔はゴムを引きちぎる。
あぁ、勿体ない。
「ごんちゃん!アナタには悪魔心がないのですかっ!」
「狐ですので」
そこ、コテコテの漫才やらないの。
「ボクは少しでも痩せたいのです!妖怪おもーちーの魔力でちょっとばかりふくよかになってしまったこのお腹とバイバイしたいのです!」
いないわよ、そんな妖怪。
「ほほう、それならば致ち方ありません。ぽん殿からもらったヤミアカリの石焼イモ、要らないのですね」
「たべうーたべうー」
一気に意思が負けたじゃないの。
「ニンゲン殿はいかが?」
もちろん頂こう。
クモとうぱも呼んで仲良くイモをぱくついていると、食べ終えた悪魔がいきり立つ。
「こんなことではいけないっ!」
皮まで食べてていまさら言いますか。
「ごんちゃん!ボクは真剣に」
「さて、クモ殿。先ほど仕込んで置いたろーすとびーふの熟成具合を」
狐、ひょっとしてわざとやってない?
「いやぁ、ザリ殿から素晴らちい作り方を聞いて。赤ワインで浸してから焼くと芳醇に……ミミ殿、だいえっとでしょう?」
「たべう」
悪魔、よだれの滝。
「いえいえ、痩せるためにこんなにも脂たーっぷりで、あまーいそーすは毒ですよ」
「むきー!」
珍しく狐が悪く見えてきた。
狐の切り分けたお肉のひとかけらを口に含む。
確かに、ジューシー。
「今度ザリガニに作り方聞こうかしら」
「ぜひぜひ。ミミ殿は食べたくないようなので某たちで」
「たべうー!」
悪魔は口を大きく開けて待っている。
そこにクモが少し小さめに切ったお肉を投げ込む。
ゆっくりとした租借、満面の笑み。
「ニンゲン、お肉は、宝です……」
そこまでですか?
ウチには悪魔がいる。
「実はミミ殿、朝ご飯抜いているので。健康に悪くて仕方なく」
ダイエットだけで友だちに迷惑かけないの。




