悪魔がウチにおりまして・1187
ウチにはクモがいる。
にこにこしながらおにぎってるクモが。
しかし、器用に握るものだなぁ。
細い脚を使い、おにぎりを次々に作ってお皿に並べていく。
「クモ、どうしたの?」
せっせと握っている手を止めて喜びのバンザイ。
『帰ってきてる』
帰って……あぁ。
「はしれそりよー!」
思い当たった時に季節外れの歌が聞こえてきた。
「終わったわよ、クリスマス」
「信じられません、ボクまだやれますっ」
やれるのかどうかじゃないのよ。
戯けたことを抜かす悪魔の足元に4匹のクモ。
頭にトナカイの角を付けているのはアンタ?
「ですです、可愛いでしょう?」
心無しかコモンずたちが嬉しそうに角をいじっている。
コモンずたちが帰ってきたらクモが脚を叩く。
その音に反応したコモンずたち、おにぎりに向かって駆けだした。
「そっか、この子たちのために握ってたのね」
正月は終わったけど、帰省時期と言えば帰省時期か。
「クツシタ!そのおかかはボクのですっ」
いつの間にかコモンずと一緒におにぎりに食らいついていた。
「クモ、良いの?」
せっかくコモンずたちのために握ったのでしょ?
クモはにこにこしながら頷いている。
子どもたちが帰ってきておおらかになってる。
「むむっこのおかか!カツオじゃありませんねっ」
むぐむぐしていた悪魔がおにぎりを天に掲げた。
「この風味、味……これはカツオじゃなくブリですね!」
ブリって節れるんだ。
「ニンゲン、ブリ節知らないです?とある国の国家機密プロジェクトで作られた1品、養殖のできるブリで節ることで安価に節ることを計画されました」
自分でも言ったけど、節るって動詞、ないよね?
「でも、流行らなかったのはなんで?」
「釣った方が早かったです」
あー、わかるー。
「それに養殖してから加工でしょ?思ったより高くなったです」
そりゃ流行らないわねぇ。
コモンずたちはそんなこと気にせずにもぐもぐとおにぎりを食べ続けている。
「ほら、悪魔。おにぎり持っていっていいから」
首根っこを掴んで引きずっていく。
「なぜですか!もっと食べたいと言うのに!」
だからダメな部分が大きいなぁ。
「ほら、水入らずで話したいでしょ」
うちらが邪魔したら悪いからね。
「あー、おにぎらずー!」
本当にコメしか興味ないんだなぁ。
ウチにはクモたちがいる。
布団でコロコロ寝ているクモたちが。




